カラー鋼板の性能
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/19 05:33 UTC 版)
カラー鋼板に求められる性能は、概ね次のように分類され、これに基づいて商品設計がなされている。 耐食性…原板コイル(=めっき)の耐食性+プライマーの耐食性+仕上げ塗料の耐食性の3要素が合算して、カラー鋼板としての能力が発揮される。現在カラー鋼板に用いられる塗料の大半はポリエステル樹脂系だが、より耐食性を高めるために、塗料中に特殊な成分を含有させたり、フッ素樹脂系を用いたりすることがある。また、仕上げに塩化ビニル樹脂フィルムをラミネートする特殊な鋼板(塩ビカラー鋼板)なども存在する。 意匠性…基本的には色調のこと。「カラー鋼板」と呼ばれる所以でもある。各メーカー毎に標準色と呼ばれる常時製造色があり、大半の需要家はそれから色を選択するが、特定顧客向けに特別な色を用意することもある。いうまでもなく、塗料中の顔料で規定されるが、住宅建材の環境規制強化に伴って塗料の鉛レス化が進展したため、(従来鉛によって発現していた)彩度の高い色調は得にくくなっている。その他、塗料に特殊な添加剤を混ぜて微細な模様を発現したり、メタリック調の色を用意するなど、各社でさまざまな意匠性をもつカラー鋼板が開発されている。また、プライマーの上に木目などの図柄を印刷する商品(プリント鋼板)や、塗装後ロールでエンボス模様を付ける鋼板(エンボス鋼板)といった製品もあり、一定の需要を獲得している。 その他の機能性…陽射しによる温度上昇を軽減する(遮熱性)、表面の汚れがつきにくい(防汚性)、磨耗に強い(耐磨耗性)など、さまざまな機能が付加されたカラー鋼板が開発されている。これらはいずれも塗料に特殊な添加剤を混ぜることで性能を発揮させている。 多くの製品では、基本となる塗料に所要の添加剤を混ぜることで希望する性能を発揮させている。一方で、添加剤が加わることで、色調の制約が大きくなる、原板との密着性が低下する、加工性が落ちる、表面の滑りやすさが変化する(実際の施工現場では、鋼板屋根材は勾配のある屋根に重ね置きすることが多く、極端に滑りやすい/すべりにくい製品は使い勝手が悪い)など、さまざまな制約や性質の変化が発生する。このため、どんな添加剤をどの程度用いるかは、メーカーにとって重要な研究対象となっており、メーカー各社が開発にしのぎを削っている。
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