カトリックの動き
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「中国のキリスト教」の記事における「カトリックの動き」の解説
2010年12月25日には、ローマ教皇ベネディクト16世はバチカン市国サン・ピエトロ広場でクリスマス恒例の説教を行った際、先2010年11月より中国政府・中国共産党による、バチカン未承認のカトリック司教の任命やバチカン公認司教の弾圧を含めた中国国内におけるカトリック信者の弾圧について、「宗教と良心の自由に対する制限があっても心を失うことなく、キリストと教会への忠誠を保ち、希望の炎をともし続けるよう」訴え、また「政治・宗教指導者に、信教の自由を尊重する考えがもたらされることを願う」との異例のメッセージを述べた。バチカンの声明に対して、中国国家宗教事務局は「極めて無礼で根拠がない」と反論し、中国天主教愛国会の劉柏年名誉議長もバチカンを非難した。しかし、中華人民共和国政府公認の中国天主教愛国会は、バチカンのみならず、日本をはじめ、各国司教評議会にも正統なカトリック組織とは認められていない。 中国と歴史的に関わりの深いイエズス会初のローマ教皇であるフランシスコは就任当初から中華人民共和国政府との関係改善を目指す意向を示しており、2018年9月22日にバチカンは中国との間で長年の対立事項だった聖職叙任権の問題で暫定合意に至ったと発表した。バチカンは、中国政府が独自に任命した中国天主教愛国会の司教7人を追認する。一方、中国はフランシスコ法王をカトリック教会のトップと公認するなどの内容が盛り込まれている。この合意は、巨大な人口を持つ中国で布教を行いたいバチカン側が、中国に対して大幅に譲歩したとの観測もあり、中国国内の地下教会の信者たちは、「自分たちは見捨てられるのではないか」という大きな不安に襲われているとされる。法王は、「分裂を乗り越え、中国のカトリック共同体は一体になるべきだ。(合意は)過去の傷を癒し、中国のすべての信者の親交を回復する前例のないプロセスになる」と語り、中国の信者に行動を促した。合意はあくまで暫定であるため、現在の地下教会の司教や信者の処遇などなお不透明な部分も多い。法王は、地下教会の信者を念頭に「彼らはこれからも苦しむだろう」「和平合意が結ばれる時は、双方とも何かを失うのが通例だ」と語り、弾圧よりも対中関係を優先したと受け止められかねない発言をしており、中国の地下教会信者は、法王に対して失望の声が一層高まる可能性がある。カトリック教会内部では、この合意を根拠に、中国政府が信者に服従を迫るのではないかという危惧があるという。
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