カトリックの教会音楽家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/23 23:17 UTC 版)
「キリスト教音楽」の記事における「カトリックの教会音楽家」の解説
大きなオルガンを構える多くの教会では、メインの大オルガンは日曜祝日の主日ミサ(あるいはそれに準ずる土曜夕方など)において用いられる。それに対して平日のミサ、あるいはミサ以外にも晩課やロザリオの祈りなど多くの礼拝行事においても聖歌を歌うが、これらには大オルガンは用いず、合唱用の足鍵盤のない小オルガン(オルゲル・ポジティーヴ)を用いたり、ギターや電子キーボード、また伝統的なものではツィター(主に修道院などで用いられる)など、オルガン以外の小音量の楽器で伴奏を代用したり、あるいは無伴奏合唱で聖歌を歌う。また、若者たちのための礼拝では、ドラムセットやエレキギターなどのバンドを用いて踊りながらのゴスペルに伴奏を付けることも許可されている。 優秀なオルガニストがいる伝統的で大規模な教会では、ミサの最中に司祭の動きに合わせてオルガニストが即興で伴奏を付ける。讃歌の後にその旋律を引き継いで司祭が次の所作に入るまで後奏をつけたり、献金や聖体拝領の最中に完全な即興をしたり、あるいはまず会衆が簡単な聖歌/讃美歌を歌い、その後を引き継いで即興したりする。最も重要なのは入退場曲の時で、司祭の入退場に合わせて音楽を盛り上げる高度な即興技術が求められる。このオルガン即興技術は、19世紀後半から20世紀にかけてフランスで特に発達したものであり、現在もパリ音楽院をはじめとする高等音楽教育機関によって即興技術が受け継がれていることはもちろん、優秀なオルガニストにとって名だたる教会の専属奏者になることは大変な名誉とされる。歴史的な作曲家/オルガニストにセザール・フランク、ルイ・ヴィエルヌ、モーリス・デュリュフレ、オリヴィエ・メシアン、現在ではティエリー・エスケシュなどがいる。パリ音楽院ではないがオーストリアの作曲家のアントン・ブルックナーらもカトリックでは優秀なオルガン奏者だった。 その他ロシア出身のシュニトケの大作、交響曲第2番「聖フローリアン」や「レクイエム」などは各楽章がミサの形式を踏襲したものであるが、それ以外の宗教的作品は極度に少なく、少なくとも宗教音楽の作曲家とはいえない。
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