カトリックに戻らないかくれキリシタンが存在する理由
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 02:02 UTC 版)
「隠れキリシタン」の記事における「カトリックに戻らないかくれキリシタンが存在する理由」の解説
禁教令が解かれた以降もカトリックに戻らないかくれキリシタンが存在する理由については、様々な要因が考えられている。主なものとしては、 先祖からの伝統形態を守り続けることが正しいとする考え方。 仏教、神道を隠れ蓑として来たが、長い年月のうちに精神と生活に定着し、カトリックへ復活することによって神仏像や先祖の位牌を捨てることへの抵抗感。 先祖から受け継いだ習慣を放棄することへの抵抗感。 などが挙げられている。カモフラージュであったはずの仏教や神道の信仰が強くなってキリスト教の信仰理解が失われてしまい、かくれキリシタンにとって大切なのは、先祖が伝えてきたキリスト教起源の祈りや行事を、本来のキリスト教の意味は理解できなくなってしまっても、それを絶やすことなく継承していくことであって、それが先祖に対する子孫としての務めと考えられている。また、明治初期のカトリック教会による宣教の際には、前述の浦上四番崩れなど直前にあった激しい迫害や差別を恐れたり、当時のカトリックの教義が厳格であったりしたため容易に戻って行けなかったことなども、理由として考えられている。 そして現代においては、カトリックとかくれキリシタンの間での認識の違いも生じていて、カトリック教会・信者の側はかくれキリシタンもカトリックと同じ信仰だとみなしているが、かくれキリシタンの人たちは「カトリックとは違う」と意識している例が見られる。あるいは、現代日本において仏教や神道でも見られるように、強い信仰心が失われて単なる伝統として宗教を受け継いでいるに過ぎず、かくれキリシタンもまたその例外ではなく、それゆえにあえてカトリックに復帰する必要性を感じないというケースも見られる。ただ、前述の外海地区のように、同じ地域や集落の中で同じ信仰を受け継いでいてもカトリックに復帰した者とかくれキリシタンの信仰を堅持した者が混在している例は多い。
※この「カトリックに戻らないかくれキリシタンが存在する理由」の解説は、「隠れキリシタン」の解説の一部です。
「カトリックに戻らないかくれキリシタンが存在する理由」を含む「隠れキリシタン」の記事については、「隠れキリシタン」の概要を参照ください。
- カトリックに戻らないかくれキリシタンが存在する理由のページへのリンク