エーテルの検出実験とは? わかりやすく解説

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エーテルの検出実験

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/07 07:04 UTC 版)

エーテル (物理)」の記事における「エーテルの検出実験」の解説

19世紀後半には、この「エーテルの風」の効果調べ実験数多く行われた。しかし、それらの多くでは、実験精度の不足により満足な結果を得ることができなかった。しかしマイケルソン・モーリーの実験では、ハーフミラー用いることにより、直交する二つ経路を進むのに光が要する時間の差を高精度測定することができた。1887年に、彼らはエーテル風による影響観測されなかった、との結果報告した。これは、エーテル概念重大な誤りがあることの証左であると考えられた。同様の実験は、多く物理学者によって、装置精度を向上させながら繰り返し行われたが、ついにエーテルの風は検出されなかった。 これらの「エーテルの風」の実験結果について、エーテル概念そのもの否定する意見と、エーテル従来考えられていたよりも複雑な性質を持つが故に検出されなかったとする意見分かれた。特に後者については、エーテル地球引きずられることによりエーテルの風が極めて弱くなる、との考え支持されていた。しかし、既に指摘されていたようにエーテル引きずり仮説には、光行差説明できないという問題があった。この仮説直接的検証はハマールの実験によって為された。この実験では、光に巨大なブロックの間を通過させることにより、エーテル運動質量引きずられるかどうか調べられた。そして、そのような引きずり起きないことが確認された。 この問題対す解決ローレンツ・フィッツジェラルド収縮仮説によって為された。すなわち、エーテル中を運動している一切物体は、エーテル対す運動の向き沿って縮むと仮定された。この仮説によればマイケルソン・モーリーの実験によりエーテルの風が検出されなかったのは、装置エーテル風向きと平行に縮んでいたために、光速変化と光の移動距離変化相殺されたからである。フィッツジェラルドは、この仮説ヒントヘヴィサイド論文から得た。この仮説の検証ケネディ・ソーンダイクの実験によって1932年為され装置収縮および光の振動数変化が、予想された値と一致する結論された。 エーテル性質調べ有名な実験としては、他には1851年フィゾーの実験挙げられる。これは1818年フレネル予言した速度vで動いている屈折率nの媒質中において、vと同じ方向に進む光の速さは、真空中の光速をcとして c n + ( 1 − 1 n 2 ) v {\displaystyle {\frac {c}{n}}+\left(1-{\frac {1}{n^{2}}}\right)v} である」という法則確認したのである。これは、スネルの法則光行差矛盾なく説明するための仮説だった。当初この仮説は、エーテル物質引きずられるために、光速変化媒質速度よりも小さくなる、と解釈された。しかし、この解釈はウィルヘルム・ヴェルトマンが、フレネルの式中のnが光の波長依存することを実証したため、エーテル運動波長依存し得ないことから、否定された。さらに、特殊相対性理論観点から、フォン・ラウエにより、フレネルの式はvがcよりも十分小さ場合にのみ成立し一般の式は c / n + v 1 + v c / n c 2c n + ( 1 − 1 n 2 ) v + O ( v 2 c 2 ) . {\displaystyle {\frac {c/n+v}{1+{\frac {vc/n}{c^{2}}}}}\approx {\frac {c}{n}}+\left(1-{\frac {1}{n^{2}}}\right)v+O\left({\frac {v^{2}}{c^{2}}}\right).} であることが1907年示された。また、1913年発見されサニャック効果1925年マイケルソン=ゲイル=ピアソン実験結果は、特殊相対性理論による予想合致していた。 1920年代には、デイトン・ミラーによってマイケルソン同様の実験繰り返されエーテルの風の存在示唆する結果得られた。しかし、これは従来エーテル理論から予想される値よりも極めて小さくまた、他の研究者による追試ではミラー結果再現されなかった。後年研究では、ミラー温度変化による実験結果への影響過小評価していたと考えられた。さらに高精度実験繰り返されたが、ついに、特殊相対性理論矛盾する結果得られなかった。

※この「エーテルの検出実験」の解説は、「エーテル (物理)」の解説の一部です。
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