エーテルの測定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/26 01:30 UTC 版)
「マイケルソン・モーリーの実験」の記事における「エーテルの測定」の解説
地球は太陽の周りを公転しており、その速さは、およそ秒速30kmである。太陽自体も銀河系の中で地球の公転より速く運動しているし、銀河系自体も高速で運動しているが、ここでは太陽と地球の相対的な運動のみに着目する。地球はエーテルの中を動いているのだから、地球上の我々から見れば「エーテルの風」が吹いているはずである。これは、水中を歩くと水の抵抗を感じるのと同様である。もちろん、地球の運動とエーテルの流れがたまたま一致して無風状態になることもあり得る。しかし地球の位置が変われば、つまり季節が変われば、再びエーテルの風が吹くであろう。エーテルが常に地球と同じ方向に動いているとは考えにくいからである。 地球上のどの場所であっても、エーテルの風の向きや強さは、季節や時刻と共に変化するはずである。光はエーテルに乗って伝播するのだから、順風の時に速く、逆風の時に遅く伝わるはずである。従って、異なる方向や時刻について光の速さを調べることで、地球のエーテルに対する相対運動を知ることができると考えられた。 期待された光の速さの変化は、最大でも、光速に対する地球の公転速度の比、すなわち一万分の一程度であった。19世紀には、多くの物理学者たちがこの種の実験を試みた。しかし、実験装置の精度が不充分であったために、光の速さの微小な変化を捉えることはできなかった。たとえば、フィゾー=フーコーの装置は 5 % の精度で光の速さを測ることができたが、エーテルの風を測定するには不充分であった。
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