エンキの描写
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 05:01 UTC 版)
エンキは生命と回復を司る神と考えられており、描かれる場合には、チグリス川とユーフラテス川を象徴する二つの水流が肩から発している姿をとることが多かった。彼のそばには自然の男性面と女性面を象徴する木がある。錬金術師のようないでたちをしたエンキはそれら両面を見事に混ぜ合わせ、いくつかの存在を創造し地表から生じさせる。 エンキの性格は道化師や奇術師のようではない。彼は馬鹿ではないし、だますこともだまされることもない。彼は男らしいリーダーであり、いつもそのように振舞っていた。彼は基本的には神々のトラブルの解決役であり、世界に対立や死をもたらすものを避けたり、あるいは武装解除したりすることもある。彼は慈悲の心とユーモアのセンスをもって、異母兄弟である神々の王エンリルの怒りを鎮める仲裁者でもあった。神話「エンキとイナンナとメ」においては、彼は愛と戦争を司る女神イナンナの限界を試し、しかる後に自ら敗北を認めて、エンキの都市エリドゥとイナンナの都市ウルクの絆を強めたりもした。 エンキはまた、地底の淡水の湖アプスー(ギリシャ語・英語ではabyss)の主であった。 「エンキ:淡水の主、すべての技術・魔術・知識のマスター」というエッセイでは、エンキについて次のように述べている。 「(エンキは)メソポタミアおよび世界の宗教上最も完全で新しい男性像である。彼は時間を超越した価値・特性を有しており、メソポタミアで最も愛された神の一人といっても驚きではない。どうしてそれほど完全なのか。それは、彼の中で、情熱的で喜びに満ちた恋人・神秘家・戦略家・魔術師・神々の支配者・世界の秩序の維持者・人類と神々の救済者がすべてひとつになっているからだ。 エンキは…高潔で衝動的でエネルギッシュな知識の主であり、真理の探究者であり、魔術・魅惑の熟達者である。」
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