ウィリアムズFW15Cとは? わかりやすく解説

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ウィリアムズ・FW15C

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/03 05:29 UTC 版)

ウィリアムズ・FW15C
カテゴリー F1
コンストラクター ウィリアムズ
デザイナー パトリック・ヘッド(テクニカルディレクター)
エイドリアン・ニューウェイ(チーフデザイナー)
先代 ウィリアムズ・FW14B
後継 ウィリアムズ・FW16
主要諸元[1]
シャシー カーボンファイバー アラミド モノコック
サスペンション(前) プッシュロッド, ウィリアムズ製ハイドロニューマチック・アクティブサスペンション
サスペンション(後) プッシュロッド, ウィリアムズ製ハイドロニューマチック・アクティブサスペンション
エンジン ルノー RS5, 3493cc, 67度 V10, NA, ミッドエンジン, 縦置き
トランスミッション ウィリアムズ製 6速 セミAT
燃料 エルフ
タイヤ グッドイヤー
主要成績
チーム キヤノン ウィリアムズ ルノー
ドライバー 0. デイモン・ヒル
2. アラン・プロスト
コンストラクターズタイトル 1 (1993年)
ドライバーズタイトル 1 (1993年 - アラン・プロスト)
初戦 1993年南アフリカグランプリ
出走 優勝 ポール Fラップ
16 10 15 10
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ウィリアムズ・FW15C(Williams FW15C)は、ウィリアムズ1993年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カー。デザイナーはパトリック・ヘッドエイドリアン・ニューウェイのコンビで設計した。

概要

FW15

ウィリアムズは1991年シーズンのFW14をベースにアクティブサスペンションを搭載したFW14Bを開発。1992年シーズン開幕3戦をこれで戦い、ヨーロッパラウンドが開幕する第4戦スペインGPから、アクティブサス専用に設計されたウィリアムズ・FW15を投入する予定だったが、他チームに対して大きなアドバンテージがあったため、FW15の投入は1993年に先延ばしされた。

FW15B

1992年F1レギュレーションに沿って開発されたFW15を、1993年のF1レギュレーションに適合させたオフシーズン用のテストカー。

FW15C

レギュレーション改訂でトレッドやリアタイヤのサイズが縮小され、エンジン搭載方法を変更したことから「FW15C」と改名された[2]

車体のデザインはFW14Bの基本コンセプトに沿いながら、パワーステアリング、パワーアシストブレーキ、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)などのハイテク装備を追加した。アクティブサスペンションはシステムが整理され、FW14Bではフロントサスペンションの接合部に張り出していたバルジがなくなった。機能も改良され、距離センサーからサーキットのどこを走っているかを検知し、ピッチやライドハイト(車高)を全てコントロールしていた[2]。ホイールロックが発生すると距離センサーが正確な値を計測できなくなるためABSを搭載し、1993年シーズン用にモディファイを施した。

チームは無段変速トランスミッション (CVT) やローンチコントロールの開発も行っていた。CVTを採用すればエンジンをほぼ一定の回転数で使用できるので、ルノーは吸気管・排気管の長さやバルブタイミングなどを最適化して開発することが予想できた。デザイナーのエイドリアン・ニューウェイによればテスト走行で聴いたエンジン音は「ひたすら退屈」で、もし実用化されればF1の観客には不評だったに違いないと述べている[3]

結局、1994年シーズンに施行されたレギュレーション改訂により、ハイテク装置の多くが使用禁止となった。

FW15D

1994年シーズンのF1レギュレーションによるハイテク禁止を受け、オフシーズンのテスト用に作られたテストカー。翌年よりメインスポンサーとなるロスマンズカラーに塗り替え、アクティブ・サスペンション、トラクション・コントロール、ABSが搭載されている

エンジンもルノー・RS6に載せ替えた。

1993年シーズン

1993年イギリスGPでFW15Cをドライブするプロスト

ドライバーは1年休養していたアラン・プロストと、前シーズンブラバムからF1デビューを果たし、ウィリアムズのテストドライバーを担当していたデイモン・ヒルを起用した。

ボディとリアウィングには1993年のサブスポンサーとして関わったSEGAのロゴとセガ自社のマスコットキャラクターソニック・ザ・ヘッジホッグが描かれていた。

プロストは開幕戦から7戦連続を含む13回ポールポジション獲得、決勝レースではクラッチの扱いに苦慮して何度かエンジンストールを演じて順位を大幅に落とす場面が見られたものの、シーズン7勝を挙げて4度目のドライバーズタイトルを獲得した。ヒルも第11戦での初優勝から3連勝し、2年連続コンストラクターズタイトルを獲得した。

なおこの年をもって1985年以来9年間にわたってメインスポンサーを務めていたキヤノン、およびキャメルとの契約を終了し、赤・白・黄色・青の「キヤノンカラー」も見納めとなった。

スペック

FW15D

シャーシ

  • シャーシ名 FW15C
  • ホイールベース 2,921mm
  • 前トレッド 1,670mm
  • 後トレッド 1,600mm
  • クラッチ AP
  • タイヤ グッドイヤー

エンジン

記録

No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント ランキング
RSA
BRA
EUR
SMR
ESP
MON
CAN
FRA
GBR
GER
HUN
BEL
ITA
POR
JPN
AUS
1993 0 デイモン・ヒル Ret 2 2 Ret Ret 2 3 2 Ret 15 1 1 1 3 4 3 168 1位
2 アラン・プロスト 1 Ret 3 1 1 4 1 1 1 1 12 3 12 2 2 2

脚注

  1. ^ 1993 Williams FW15C Renault - Images, Specifications and Information”. Ultimatecarpage.com. 2010年8月23日閲覧。
  2. ^ a b 『F1速報PLUS』Vol.8 2007 Spring、ニューズ出版、2007年、p.34
  3. ^ エイドリアン・ニューウェイ著、水書健司訳、世良耕太監修『HOW TO BUILD A CAR』、三栄、2020年、290頁。

外部リンク

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