イヴァン・スサーニンと「官製国民性」とは? わかりやすく解説

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イヴァン・スサーニンと「官製国民性」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 14:38 UTC 版)

皇帝に捧げた命」の記事における「イヴァン・スサーニンと「官製国民性」」の解説

イヴァン・スサーニンは17世紀初頭ロシア・ポーランド戦争において、ロシア侵攻してきたポーランド軍に対して抵抗したとされる伝説的英雄である。全国会議皇帝選出され当時16歳ミハイル・ロマノフは、コストロマのイパーチー修道院英語版)に潜伏しており、このとき、ポーランド軍捜索隊から若き皇帝居所隠し通し拷問の末に命を落としたのが地元農民イヴァン・スサーニンだったとされる。この顛末1619年イヴァン娘婿であるソビーニンに与えられた特別免除状に記されており、以降ロマノフ朝皇帝たちはスサーニン家の子に対して代々特別免除状を更新してきた。イヴァン・スサーニンの名は1792年ロシアの歴史文献書き加えられ、その果敢な行為1812年ロシア戦役でのナポレオン軍対す農民パルチザン活動にもなぞらえられた。1817年にはセルゲイ・グリンカ(作曲者従兄弟)によって『青少年のためのロシア史』に掲載されるなど、教科書にも登場する人物としてロシア人愛国心組み込まれた。 ロシアロマン主義文学においても、「イヴァン・スサーニン」はルイレーエフによる同名バラードはじめとして舞台作品定番人物であり、グリンカオペラ初演指揮したカッテリーノ・カヴォスは、1815年同名ジングシュピール作品作曲していた。 グリンカジュコーフスキー親交持ったころには、ニコライ1世統治下で帝政体制基本理念である「専制正教国民性」の一端を担う官製国民性」が唱導され、ロシア国民的かつ愛国的芸術観は、「官製国民性」の教養一部として新たな意味づけ与えられていた。詩人であるとともにロシア宮廷仕えて皇太子養育官でもあったジュコーフスキーは、そのもっとも熱心な旗振り役のひとりだった。一介農夫ロマノフ朝樹立大義命を捧げるというテーマは、そうした理念裏打ちする格好材料であり、ジュコーフスキーグリンカ提案する前に歴史小説家ミハイル・ザゴースキンに「イヴァン・スサーニン」の題材勧めていた。 したがって、『皇帝に捧げた命』はロマノフ朝の成立史を扱っているものの、史実性事件性よりも物語イデオロギー的な意義公然と語ることにその主たる関心置かれ、「国家繁栄なくして個人の幸福はない」あるいは「王朝への神権への熱烈な服従」というメッセージ強調されている。

※この「イヴァン・スサーニンと「官製国民性」」の解説は、「皇帝に捧げた命」の解説の一部です。
「イヴァン・スサーニンと「官製国民性」」を含む「皇帝に捧げた命」の記事については、「皇帝に捧げた命」の概要を参照ください。

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