アマチュア無線とダイレクトコンバージョン受信機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/27 06:10 UTC 版)
「ダイレクトコンバージョン受信機」の記事における「アマチュア無線とダイレクトコンバージョン受信機」の解説
1950年代に入ってもシンクロダインを含むダイレクトコンバージョン受信機の研究は行われた。例えば、ゼネラル・エレクトリックのコスタス(J. P. Costas)は、非常に高性能で複雑な構成の実験的なシンクロダイン受信機 AN/FRR-48 の詳細について1956年に発表している。現在この受信方式はコスタスループ(Costas loop)として知られている。アメリカの特許申請にダイレクトコンバージョン受信機(direct conversion receiver)という用語が現れるのもこの頃である。しかしこれらの技術がすぐに大きな影響を与えることはなく、ダイレクトコンバージョン受信機のコンセプトは休眠状態に入った。 スーパーヘテロダイン受信機は真空管5本程度の単純な構成でもある程度の性能が得られ、また周波数変換段を複数設けることで高い周波数でも高感度で安定度も高い受信機を比較的容易に作成できた。そのためラジオ放送やテレビジョン放送用の受信機、通信型受信機などの大部分にはスーパーヘテロダイン受信機が採用され、ホモダインやシンクロダインの技術はプロダクト検波回路や同期検波回路などスーパーヘテロダイン受信機の一部として使われた。 ダイレクトコンバージョン受信機は動作原理が単純で自作が容易であるため一部のアマチュア無線家などのみが使用した。 例えば、ホワイト(J. R. White)は1961年に真空管を用いた3.5MHz帯と7MHz帯用のダイレクトコンバージョン受信機の製作記事をアマチュア無線の専門誌であるQST誌に発表している。ミキサには真空管 2 本を用いたバランスドミキサを使用した。 その後、1968年にヘイワード(Wes Hayward)とビンガム(Dick Bingham)はトランジスタを使い、より単純化した受信機をQST誌に発表した。ダイオードによるダブルバランスドミキサ(DBM)を使い、低周波増幅部はトランジスタ3石で100dB以上の利得を得ている。シンプルな回路の受信機だったにもかかわらず、性能は驚くほどよく選択度も十分だった。この記事では「ダイレクトコンバージョン」という表現がすでに使われている。 アマチュア無線家の間でダイレクトコンバージョン受信機が知られるようになり、多くの記事が発表されるようになった。1972年、ホーカー(Pat Hawker)はアマチュア無線で使用/製作された複数のダイレクトコンバージョン受信回路についてWireless World誌で紹介している。
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