アイヌ文化での位置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/10 23:39 UTC 版)
北海道ではアイヌの人々により根がトゥレㇷ゚の名で食用にされ、ギョウジャニンニク(キト)とともに重要な位置を占めていた。 旧暦4月をアイヌ語で「モキウタ」(すこしばかりウバユリを掘る月)、5月を「シキウタ」(本格的にウバユリを掘る月)と呼び、この時期に女性達はサラニㇷ゚(編み袋)と掘り棒を手に山野を廻り、オオウバユリの球根を集める。集まった球根から、以下の方法で澱粉を採集する。 球根から茎と髭根を切り落とした後、鱗片を一枚一枚はがし、きれいに水洗いする。 鱗片を大きな桶に入れ、斧の刃の峰を杵がわりにして粘りが出るまで搗き潰す。その後で桶に水を大量に注ぎ、2日ほど放置する。 数日経てば桶の水面には細かい繊維や皮のクズが浮き、底には澱粉が沈殿している。繊維クズは「オントゥレㇷ゚」を作るために取り分ける。桶の底に溜まった澱粉のうち、半液体状の「二番粉」と粉状の「一番粉」を分離する。 これら2種類の澱粉は乾燥して保存するが、その前に水溶きした一番粉をイタドリやヨブスマソウなど、空洞になっている草の茎のなかに流し込み、灰の中で蒸し焼きにしてくずきり状にして食べたり、二番粉を団子に丸めて蕗やホオノキの葉で包んで灰の中で焼き、筋子や獣脂を添えて食べたりする。 乾燥して保存された澱粉のうち、日常使用されるのは二番粉である。団子に加工して、サヨ(粥)に入れる。一番粉は贈答用や薬用で、普段は滅多に口にできない。一番粉を水に溶いたものは下痢止めの薬として飲まれていた。 なお、一連の澱粉採集作業の間、「酒」と「色事」に関する会話はタブー。澱粉が落ち着かなくなり、うまく沈殿しなくなるという。
※この「アイヌ文化での位置」の解説は、「オオウバユリ」の解説の一部です。
「アイヌ文化での位置」を含む「オオウバユリ」の記事については、「オオウバユリ」の概要を参照ください。
- アイヌ文化での位置のページへのリンク