ねじ部品の呼び方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 05:09 UTC 版)
個々のねじ部品を特定するのに必要な要素としては、「ねじの呼び」「部品形状」「材質」があり、またおねじではこれに「長さ」が加わり、これらを並べて呼ばれる。おねじ部品を呼ぶ際の長さ寸法は「呼び長さ」と呼ばれ、一般論として、頭のついたねじでは首下、頭のないねじでは全長やねじ部の長さなどが使われる。呼び長さは一般にはねじの呼び径のすぐ後に置くが、文脈上呼び長さを表す数値である事が明らかである場合には乗算記号×を用い「呼び径×呼び長さ」のように略記される。 ねじは基本的に「頭」(頭部)とねじ山が刻まれている「軸」、先端である「先」、頭と軸の間を「首」と呼ばれる部分に分かれる。一般的なねじでは、時計回りにねじを回すと奥に進む「右ねじ」になっているが、右ねじでは緩むような用途でまれに「左ねじ」も存在する。左ねじでは「L」や「←」、切り欠きといった識別マークで示されることが多い。 ねじの山と谷の間隔と移動量は以下のようにピッチとリードで表される。 ピッチ:隣り合うねじ山同士の距離 リード:ねじを1回転させた時の軸方向の移動量 また多くのねじではピッチとリードが同じになり、これを「一条ねじ」と呼ぶ。ピッチとリードが同じ「一条ねじ」の他にも、リードがピッチの2倍の「二条ねじ」のように2以上の整数倍のものがあり、これらは「多条ねじ」と呼ばれる。多条ねじは管の接合部で用いられたり、電灯の灯屋や広口瓶の蓋、双眼鏡やカメラレンズの焦点合わせ機構(ヘリコイド)などでも用いられる。 一般的なねじはねじ山が円筒形の軸の周囲に同じ直径で刻まれている「平行ねじ」であるが、特殊な用途では円錐形の軸に沿って刻まれている「テーパねじ」がある。 頭部 軸部 円筒部 ねじが切られていない部分を指すことが多いが、ねじ頭以外の部分を指すこともある。 座面 ねじ部 完全ねじ部 不完全ねじ部 全ねじ ねじ頭を持たず、棒の全長に渡ってねじが切られたもの。止めねじも全ねじである。 ねじ頭を持ち、残る円筒部の全長に渡ってねじが切られたもの。押しねじとも呼ばれる。 半ねじ ねじ頭を持ち、円筒部の一部にねじが切られたもの。中ボルトとも呼ばれる。 面取り部 端部などの本来鋭い角を位置合わせの容易さや安全面・締結面の傷の減少などを考慮して斜めに面取り加工した部分である。加工面の角度を面取り角と呼ぶ。 ねじの大きさや長さは以下の長さを計ることで示される。 内径:めねじのねじ山先端間の直径 外径:おねじのねじ山先端間の直径 谷の径:おねじとめねじの谷の底の間の直径 有効径:ねじ山の幅とねじ溝の幅と等しくなる仮想的な円筒の直径 頭の径 円筒部径 丸み移行円の径 首下丸み:ねじの軸線を含んだ断面形において測った首下丸み部の半径 おねじでは外径の基準寸法を、めねじでは谷の径の基準寸法を「ねじの呼び径」という。 長さ:頭を除く長さ(皿ねじでは頭も含める) ねじ部長さ 円筒部長さ 呼び長さ グリップ長さ ドライブ部(深さ) 頭の高さ 引っ掛かりの高さ おねじとめねじが接触する面の高さを引っ掛かりの高さと呼ぶ。基準山形のものと実体のものの2種類がある。 引っ掛かり率: 基準山形の引っ掛かり高さに対する実体の引っ掛かり高さの比を百分率で表し、次の式で算出される。引っ掛かり率=(H1'/H1)×100(%) H1 : 基準山形の引っ掛かり高さ H1' : 実体の引っ掛かり高さ
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