スチーム補助重力排油法
【英】: steam associated gravity drainage
略語: SAGD
地層内に水蒸気を圧入して、超重質油の流動性を増し、重力で回収する方法の一つ。 カナダでのオイルサンド開発手法であるin-situ 法のうち、坑井から水蒸気を圧入し、熱によりビチューメンの粘性を下げ流動化させて坑井より回収する方法を地層内水蒸気圧入法という。この方法には CSS(Cycle Steam Stimulation)法と SAGD(Steam Associated Gravity Drainage)法の二つがあるが、70 %という究極回収率が見込め、商業開発の新機軸となるのが SAGD 法である。 カナダにおいて、本手法は 1981 年にカルガリー大学で提唱され、1980 年代後半よりアルバータ州政府の研究機関により実用性に向けて実験が繰り返されてきた。現在、本手法による商業開発計画が続々と進行中である。この方法は、(1) 同一オイルサンド油層内に上下平行な水平坑井 2 坑(水平区間は 500 ~ 1,000m 、上下の水平井の距離は 5m 程度)を掘削し、上位の井戸で水蒸気を圧入する、(2) 圧入された水蒸気は井戸周辺に広がり熱伝導によって周囲のビチューメンが加熱され流動化する、(3) 流動化したビチューメンは水より高比重のため重力により下方へ移動し、下位の井戸内へ排出され回収される、というものである。 高い回収率と生産効率を実現させる画期的な本手法であるが、重要なポイントは、熱エネルギーとして圧入される水蒸気をいかに効率的にオイルサンド油層内に伝達し、多くのビチューメンを排出できるか、ということにある。この点で、カナダ・アルバータ州の主要オイルサンド胚胎層である白亜系貯留層は河川成砂岩から成り、その分布が不均質であるため、3 次元地震探査記録や地球統計学的手法を用いた精度の高い油層地質評価による地下のオイルサンド油層分布の把握や、正確な水平坑井の掘削など、最新の油田開発技術の適用が不可避となる。 (磯江 芳朗、2006 年 3 月) |

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