じょうりゅう‐しゅ〔ジヨウリウ‐〕【蒸留酒】
蒸留酒(じょうりゅうしゅ)
アルコール発酵した醪(もろみ)を加熱、沸騰させて、アルコールに富んだ蒸気を冷却して回収した酒。醸造酒に対する酒類分類名。焼酎、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ジン、ラム、テキーラなどがこの範ちゅうに属する。それぞれの国には醸造酒と蒸留酒が、ちょうど車の両輪のように必ず一対となって共存している。たとえばわが国の清酒と焼酎、中国の黄酒(ほわんちゅう)、と白酒(ぱいちゅう)、東南アジア諸国のヤシ酒とアラック、西洋ではドイツやイギリスのビールとウイスキー、フランスのワインとブランデーのごときである(それぞれ前者が醸造酒、後者が蒸留酒)。酒類の歴史では醸造酒が有史以前から存在していたのに対し、蒸留酒の製造が始まったのは紀元前四世紀ごろ。それが嗜好(しこう)飲料として飲まれるようになったのは7~800年前のことと思われる。このように蒸留酒の歴史が比較的浅いのは、自然の状態で営まれる発酵工程のほかに、工学的原理に基づいて営まれる蒸留工程が必要だからである。酒を蒸留することにより、アルコール度数はいくらでも任意に高めることが可能である。醸造酒では清酒のアルコール度数が最も高いが、原酒でも20度くらいが限界であるのに対し、蒸留酒では焼酎原酒で45度、モルト・ウイスキーの原酒で六五度、グレーン・ウイスキーの原酒で88度、ブランデー原酒で70度、ウォッカなどのスピリッツ類は90度以上となる。このようなアルコール度数の高さは、長期間の熟成を可能にし、その他、寒冷地における凍結防止、アルコールの薬理作用を利用して医薬用に活用できるなどの利点があげられる。
じょうりゅうしゅと同じ種類の言葉
- じょうりゅうしゅのページへのリンク