【ASM-135】(えーえすえむいちさんご)
ASATの1つとして開発された対衛星攻撃用ミサイル。
F-15をを発射母機とし、比較的低軌道を周回する人工衛星(偵察衛星やキラー衛星などの軍事衛星)を撃墜することを目的として開発された。
戦略偵察を行う偵察衛星は、見解にもよるが、大半は領空侵犯などに該当せず(のぞき見にはなる)、排除も非常に困難である。
旧ソ連(ロシア)は敵の衛星を排除するための衛星であるキラー衛星を開発し、これにより対処する方針を取ったが、費用対効果は悪く、数度の打ち上げが行われただけにとどまった。
アメリカ軍ではこれらの問題を踏まえ、F-15を発射母機とする対衛星ミサイルの開発に着手した。
このミサイルを搭載したF-15は、ズームアップによるハイレートクライムで高高度まで上昇し、攻撃目標をロックオンした後にミサイルを発射する。
(セミアクティブレーダー誘導ではないため、母機のF-15は発射後に帰還する)
発射後、2段式の固体燃料ロケットが稼動し、弾頭に装備されたMHVの誘導で目標を目指す。
誘導方式は、中間誘導が慣性誘導、終端誘導が赤外線誘導となっている。
MHVには小さなスラスターが装備されているが、これは空気のほとんど無い空間で目標に突入するための装備で、通常のミサイルで言うところのフィンの役割を果たす。
空気摩擦がゼロに等しい空間で加速した弾頭は、目標に命中する頃には数km/秒(対地速度)に達しているため、爆薬を使用せずとも、莫大な衝突エネルギーによって目標を破壊可能である。
よって、2段式ロケットに誘導装置を満載した弾頭を付けた格好となっており、通常のミサイルとは随分と格好が違う。
実際のところ、宇宙には空気がないため、通常の地対空ミサイルのように榴弾の爆風や破片による破壊も期待できず、また、対地速度のきわめて速い人工衛星や弾道ミサイルを相手にする場合、近接信管の作動前に目標から離れてしまう可能性が高いと考えられている。
発射試験は1度行われ、実際に標的衛星を撃破しているが、破壊された衛星の破片がスペースデブリとなって衛星軌道上に残留し、今後の宇宙開発計画に対して危険をもたらすと判断され、実用化はされなかった。
スペックデータ
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