芋焼酎(いもしょうちゅう)
カンショ(サツマイモ)を主原料とした焼酎。原料特性・原産地特性をあわせ持つ伝統的な本格焼酎の代表格。長い間南九州の地酒として定着していたが、昭和四〇年代から日本中に広がりをみせ始め今日の焼酎ブームの先駆けとなった。カンショは穀類の3分の1のデンプン含量しかなく、水分が多くて長期の貯蔵に耐えず、酒の原料としては扱いにくい。そのためか世界中で広く栽培されているにもかかわらず、そのままの形で酒造原料となっているのはイモ焼酎だけである。新鮮な原料の確保が何より重要で、さらには徹底した選別作業が酒質の良否を左右するため、製造場はカンショの主産地に集中し、製造時期も秋から冬の収穫時期に限定されている。南九州の特産であるが、唯一の例外は伊豆諸島で、江戸末期、八丈島へ流された薩摩の貿易商人丹宗(たんそう)庄右衛門が伝えて以来、今日まで島酒としてつくられている。薩摩のイモ焼酎はカンショの普及した1700年代に始まったと考えられる。天明二(1782)年から翌年にかけて九州を旅した橘南谿(たちばななんけい)の『西遊記』(せいゆうき)には、薩摩でつくる「酒は甚(はなはだ)下品にして飲難し。夫ゆえに此焼酎を多く用ゆる事なり。琉球芋も酒に造る。味甚美なり」とみえる。このことは、薩摩の温暖な気候ではうまい醸造酒がつくれず、そのため蒸留酒が発達したこと、当時すでに他国の人をして「味甚美なり」といわせるほどのイモ焼酎をつくる技術があったことを示している。製法は、コメ麹(こうじ)で一次醪(もろみ)を仕込み(八丈島ではムギ麹)、これに蒸したカンショを砕いて水とともに加え二次醪とする。約10~14日発酵させた後、蒸留、貯蔵する。イモ焼酎はカンショの風味とソフトな甘さに特徴がある。古くからお湯割りで飲まれてきたが、この蒸留酒でありながら醸造酒的な飲み方のできる特性もイモ焼酎ならではのものである。
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