『鍾乳石』とは? わかりやすく解説

『鍾乳石』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 16:50 UTC 版)

テオドール・ド・バンヴィル」の記事における「『鍾乳石』」の解説

バンヴィル自身詩的独自性確立するのは1846年の『鍾乳石』を待たねばならない。そこでバンヴィル伝統的古典的な詩形叙事詩的主題から離れ抒情詩句への傾向強める。具体的に様々な詩節使用(2行、4行、6行など)、奇数脚(3音節、7音節13音節使用俗謡から借用した繰り返し導入などが特徴である。主題的にも神話的な形象用いつつ詩的創造そのもの歌ったもの(Carmen)、ノスタルジー恋愛といったきわめて叙情的な主題A la Font-Gorge)など、よりバンヴィル自身近しい主題選択されている。この詩集において、抒情詩人としてのバンヴィル主要な要素整った見ていだろう一方で伝統的な叙事詩系譜連なる比較長い詩も作られているが、これらの詩は、『鍾乳石』ではなく、後に『杯の血』にまとめられることになる。1874年独立して出版された際の序文あるように、バンヴィルはこの詩集で« Poëme »(この語はむしろ長大叙事詩意味する)の現代的な形の可能性模索している。12音節詩句比較多く用いられているが、平韻少なく抒情詩的な六行詩節四行詩節と組み合わされ用いられており、特に『パリス決断』は神話エピソードを、きわめて多様な詩節韻律用いて描いた詩として意義深い内容でも、『シプリスの呪い』ではヴィーナス19世紀パリ対峙させ、« Poëme »に同時代的な要素持ち込んでいる。また、実際に劇場朗読されたり上演された作品多く収められており、演劇と詩という異なったジャンル相互浸透見られる。 『鍾乳石』から10年インターバル置いて発表された『小オード集』は『鍾乳石』の詩形探求叙情的主題受け継いでいる。「小オード」Odeletteという語はロンサール発案した語であり、ここで16世紀詩人たちへの参照は明らかである。しかし、バンヴィルは単に過去詩形発掘するにはとどまらず、それを現代的な主題適用しつつ再生させることを試みている。より後の『紫水晶』は副題に「ロンサールリズムを基に作られた、恋愛について新たなオード」とあり、16世紀詩の継承と発展意識1860年代に至るまで一貫していたことを示している。

※この「『鍾乳石』」の解説は、「テオドール・ド・バンヴィル」の解説の一部です。
「『鍾乳石』」を含む「テオドール・ド・バンヴィル」の記事については、「テオドール・ド・バンヴィル」の概要を参照ください。

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