「見直し論(修正主義)」であるという主張
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 01:31 UTC 版)
「ホロコースト否認」の記事における「「見直し論(修正主義)」であるという主張」の解説
「否認主義」、「修正主義」、および「歴史修正主義」を参照 ホロコースト否認論者、または「ホロコースト見直し論者(修正主義者)」の多くは、「否認論」または「否認主義」という用語を強く拒否し、「見直し論者(修正主義者)(revisionist)」を自称している。その理由は、彼らによれば、彼ら(revisionist:リビジョニスト)は、ガス室やユダヤ人絶滅政策を否定しているのではなく、証拠の欠如を指摘しているだけなのだと言う。この理由から、デイヴィッド・アーヴィングは、デボラ・リプスタットが、自分(アーヴィング)を「否定論者」と呼んだ事を理由に、リプスタットを名誉棄損で訴えている。又、他の論者たちも、ガス室やユダヤ人絶滅政策が無かったと結論づけているのではなく、現時点では、証言以外に何も証拠(物証)が無い事を指摘しているだけで、証拠の提示を待っているのだと主張している。更に、「ホロコースト」の定義に幅が有る事から、ドイツによるユダヤ人迫害全般を否定している訳ではない事を強調する意味もあって、彼ら(revisionist)は、「否定論者(denier)」と呼ばれる事を強く拒否する傾向がある。これに対して、ホロコースト否認、または「ホロコースト見直し論(修正主義)」を批判する研究者は、「ホロコースト見直し論者(修正主義者:リビジョニスト)」が使う「見直し論(修正主義:リビジョニズム)」という用語に対して、故意にミスリードするものであると指摘する。 これは「否認論」は自分が予想した仮説を支持する証拠のみを採用し、史実をなおざりにするという印象を与える用語であるのに対して、修正主義は、新しく発見されたより正確でより客観的な情報によって歴史の事実を新しく書き換えていくことを目的とし、それまで受け入れられていた歴史を再び調査・検討しようとする態度を示しうるためであるとしている。 「ホロコースト修正」の立場を主張する論者は、適切な修正主義的原則をホロコースト史に適用すべく努めているとし、この視点において「ホロコースト修正主義」という用語が適切であると主張している。「ホロコースト否認論」の用語は「戦後のホロコースト観が描写するようなホロコーストは起こっていないとする論説」に用いるのに対して、「ホロコースト修正主義」という用語は、一次史料などからホロコーストの諸側面を考察するのに用いられる通常の史学的態度に使用されるとしている。一方で、この言説は、主流であるホロコースト研究においても大虐殺の詳しい原因(意図説・機能説論争)、ホロコーストの経緯、犠牲者の正確な数などなお研究者の問で意見・解釈の分かれる論点が多く存在していることを無視している。 彼らが主張する「ホロコースト否認論」と「ホロコースト修正主義」の区別は一般的に受け入れられていない。2006年2月に独学の歴史家・作家デイヴィッド・アーヴィングがホロコースト否定を理由にオーストリアで有罪判決を受けた時、イギリスのニュースメディアはアーヴィングに対して「修正主義者」という用語を頻繁に使用するなど、「歴史修正主義」英語: Historical revisionismには史学的な手法をとらず、過去の歴史を否定することを目的とする人々への形容詞や蔑称としても扱われるようになっている。
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