「成り上がり者」のユダヤ人
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「反ユダヤ主義」の記事における「「成り上がり者」のユダヤ人」の解説
1840年にアメリカのユダヤ人口は15000人ほどであったが、ドイツのユダヤ人が大量に移住して、1880年には30万人となった。ジーンズの創始者リーヴァイ・ストラウスもドイツ系ユダヤ人移民であった。ドイツ系ユダヤ人の半数は実業家で、20人中1人が知的職業につき、行商人は100人中1人だった。ユダヤ人はアイルランド人やイタリア人移民と比べると短期間に裕福になったため「成り上がり者」というイメージが現実味を帯びた。また、ヤンキー行商人はいかさま師で、嘘つきの詐欺師という点ではユダヤ人と相通じるというヨーロッパでの常套句も見られた。 1876年、ニュージャージー沿岸地方のホテルでユダヤ人お断りという広告を発表した。1877年にはサラトガのホテル業者ヒルトンが「ユダヤ人と犬の立ち入り禁止」を入り口に貼り、実際に大富豪ジョーゼフ・セリグマンをユダヤ人であるため入館させなかった。ニューヨーク・タイムズは1877年6月19日「サラトガ大事件」として報道し、ユダヤ人富豪はサラトガのホテルをいくつも買収して、その相剋の結果、ニューヨーク近隣の夏季保養地が「キリスト教徒の保養地」と「ユダヤ人の保養地」に二分された。 世紀末に東欧出身のユダヤ人が大量に移住してくると、ドイツ系ユダヤ人が東欧出身の新移民ユダヤ人の退去を1882年のボストンで要求するようなこともおこった。連邦上院議員ヘンリー・キャボット・ロッジは東欧ユダヤ人は劣等であるとした。1890年から1914年までに1651万6081人の移民がアメリカに入国し、そのうちユダヤ人は169万人4842人にのぼった。 1896年大統領選挙での民主党候補ウィリアム・ジェニングス・ブライアンは「金の十字架演説」で、ユダヤ人がキリストを裏切ったのと同様に、大資本は金で農民を裏切るとした。また、銀貨の無制限鋳造(フリーシルバー)を主張した1895年の文書では、世界の金の半分はロスチャイルド家が所有し、残り半分のほとんどもロスチャイルド家の衛星機関が握っているとした。 他方、1896年の共和党大会ではプロテスタントとカトリックの緊張関係によってユダヤ教ラビが開会の祈祷を唱えたが、このように三宗派が同等のものとされることは当時のヨーロッパ諸国では見られないものであった。
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