中国地方 交通

中国地方

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/02 06:40 UTC 版)

交通

概要

中国地方は、平野盆地が狭く少ないため、交通網の整備が遅れを取っている。

高速道路は、南北間の連絡線(山陰と山陽)は、ジャンクション一回毎に東西の幹線(中国地方対近畿九州)に入ってから再び連絡線に入る構造の路線が多い。さらに、山陰・山陽間の連絡線となる高速道路は、幹線国道国道53号国道54号)から大きく外れたルートで建設されたため、利便性と地域間の連帯に乏しい。

現在は中国横断自動車道広島島根を結ぶ尾道松江線、兵庫鳥取を結ぶ姫路鳥取線の2路線が、新直轄方式で開通し、通行料が無料となっていることから、沿線の市町村では、地域の活力向上になっている。また山陰自動車道についても、多くの区間が一般国道自動車専用道路としての整備が決まるなど、全線開通に向けた取り組みが積極的に行われている。

高速道路と同じく、鉄道も南北間の移動には不便な場合が多い。主な路線としては、伯備線智頭急行智頭線などが主に使われるが、地方内の移動よりも、東京大阪方面に向かうルート設定であるため、場所によっては遠回りになることもある。実際、松江方面から広島方面に抜ける場合には、木次線芸備線経由の方が明らかに近回りであるが、列車の便数が少ないため、利用者は高速バスに流れている。

この地方が抱える交通基盤整備の遅れは経済界からも問題視されており、5県の県庁所在地相互間を可能な限り短時間で結ぶことを目的として、在来線新幹線を直通できるフリーゲージトレインや、広島西飛行場を中心としたコミューター航空網による、新しい交通体系整備の要望が挙がっている。

  • 2011年3月9日広島市議会で「広島シティ空港」設置条例案が賛成少数で否決。これにより広島西空港は開港から50年で廃港になる事が事実上決定した。定期路線があった空港が移転せずに廃止した例は日本初[注釈 5]

空港

国内旅客数は、中国地方全体でここ数年若干の減少傾向があり、2005年には700万の大台を割り込んで697.9万人/年度となった。国際線旅客数は53.8万人/年度におよび、増加傾向を示している。

空港 旅客合計 国内線 国際線
旅客数 定期便 旅客数 定期便
広島 2047630人 2036571人 新千歳仙台東京
成田
那覇
11059人 北京上海大連ソウル台北香港
岡山 874972人 874277人 新千歳・東京・那覇 695人 上海・ソウル・台北・香港
山口宇部 702434人 702434人 東京 0人 -
出雲 838254人 838254人 東京・大阪隠岐福岡 0人 -
米子 399444人 399348人 東京 96人 ソウル・香港
鳥取 285544人 285544人 東京 0人 -
石見 109604人 109604人 東京・(大阪) 0人 -
広島西[10] - - - - -
隠岐 61416人 61416人 大阪・出雲 0人 -
岡南 4人 4人 - 0人 -

鉄道

JR線については、関門トンネル区間(山陽本線下関駅門司駅)を除く全域がJR西日本の経営となっており、在来線については旧国鉄鉄道管理局の流れを汲む岡山支社広島支社山陰支社が地域別に置かれ、分担区域を管轄している。なお新幹線については新幹線鉄道事業本部が直接統括している。

私鉄線は一般的な鉄道軌道事業を行うものの他に、広島県内に広島高速交通の運営する新交通システムが1路線存在する。広島高速交通の運営する路線のうち、本通駅新白島駅間は地下線であるが、本通駅〜県庁前駅間のみが鉄道事業の免許と地下鉄の建設補助を受けており、国土交通省の統計資料ではこの区間に限り地下鉄として扱われている。中国地方および隣の四国地方も含めて、地下鉄とされる区間が存在するのはここだけである。

旅客営業を行う私鉄は5県全県に存在するが、うち純粋な民間資本によるものは一畑電車岡山電軌広島電鉄のみで、これ以外の事業者は国鉄・JRから経営分離された路線の運営、建設が中断した未成線の開業、都市交通の整備、臨海工業地帯の開発のために地方公共団体が一部出資して設立した第三セクターとなっている。

施設の保有のみを行う第三種鉄道事業者、および鉄軌道の事業を行う公営交通は存在しない。JR宇野線(瀬戸大橋線)について、2009年に完成した改良工事後は瀬戸大橋高速鉄道保有が鉄道施設の一部を保有しているが、保有するのがあくまで一部であるため、第三種鉄道事業者の免許は受けていない。公営鉄道については、かつての呉市交通局呉市電を運営していた他、玉野市営電気鉄道をはじめ複数例存在したが、いずれも昭和中期から後期にかけて廃止されている。

西日本旅客鉄道

一般私鉄(軌道、広義での新交通システムを含む)

専用線・貨物専業線

道路


注釈

  1. ^ 大阪朝日新聞広島山口版の1918年12月17日付けで、記事見出しが「陰陽連絡鉄道」となっている他、バスジャパン・ハンドブック5『中国ジェイアールバス』p18-19、p24、p27、p29、p33、鈴木文彦『高速バス大百科』(1989年・中央書院)p81など、用例多数。
  2. ^ 2012年度から学校法人から公立大学法人に移行
  3. ^ 2016年度より設置者が学校法人東京理科大学から公立大学法人山陽小野田市立山口東京理科大学となり、公立大学に移行した
  4. ^ 近畿大学広島キャンパス(広島県東広島市)にある。本部は大阪府東大阪市
  5. ^ 2009年9月に遊覧飛行用の空港であった北海道弟子屈町弟子屈飛行場が廃止になった例はある。

出典

  1. ^ 中国地方 - Yahoo!百科事典[リンク切れ]
  2. ^ 岸田裕之執筆「中国」の項、『日本史大事典4』平凡社1993年
  3. ^ 島根県HP二ツ山城跡の記述の中
  4. ^ 『日本地名大百科』、小学館、1996年、p.730 ISBN 4-09-523101-7
  5. ^ 女子日本地理教科書. 明治34年2月』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
  6. ^ 年齢(5歳階級),男女別人口,年齢別割合,平均年齢及び年齢中位数”. 総務省. 2021年10月21日閲覧。
  7. ^ 平成19年度県民経済計算 Archived 2010年12月20日, at the Wayback Machine.
  8. ^ World Economic Outlook Database
  9. ^ 経済産業省・工業統計調査
  10. ^ 2012年(平成24年)11月15日に広島西飛行場としての供用廃止。(国土交通省告示1143号) 同日より広島ヘリポートとして供用開始。(国土交通省告示1144号)






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