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逐条解説
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「当分ノ内侍従長二人ヲ置クノ件」の記事における「逐条解説」の解説
本令は本則1文及び附則2項で構成されており、これに上諭及び皇室令番号が付されている。 上諭には、皇室令の制定権者である大正天皇が本令を裁可して公布することが記載される。本令は題名が存在しないため、上諭に記載された件名が便宜上の名称として使用されている。上諭には、上記記述にあわせて今上天皇の名である嘉仁の親署、御璽の捺印、裁可の年月日が記される。さらに、皇室大権を輔弼する者であり本令を執行する責任者である渡辺の副署が記されている。 皇室令番号は、暦年ごとに皇室令の成立順に付される皇室令固有の番号である。本令では、大正元年に6番目に公布された皇室令であることを表している。なお1912年は年の途中で明治から大正に改元されたが、明治45年の皇室令は3件であるため、1912年の皇室令第6号は本令のみである。 いくつかの皇室令は皇室令番号の後に題名が付されるが、本令は題名を付さない。これは一時的な問題を処理するために制定されている比較的簡易な法令には題名を付さないのが通例であったためである。 本則は、皇室令の本体的規定が置かれる。本令では、本文に侍従長の定員を当分の間2人とすることを、ただし書にそのうちの1人は東宮大夫が兼任することを、それぞれ規定している。「侍従長」は、親任官又は勅任官の官職であり、天皇を常侍奉仕し侍従職を統轄し便宜事を奏し旨を宣ずる事務を所掌している。法令上「当分ノ内」(口語では「当分の間」)とは、期限を定めていない期間を指す用語であり、主に一時的な措置であることを表現するときに用いられる。「当分ノ内」と規定された場合はたとえ立案事実が実態と大きくかけ離れたとしても自動的には期限は到来せず、当該規定が不要になった場合はその改正が求められる。「東宮大夫」は、勅任官の官職であり、東宮の宮事を掌理し東宮職の職員を監督し便宜事を啓し旨を宣ずる事務を所掌している。本来侍従長は侍従を統轄する官職であるため、その定員は当然1名であったが、天皇の死亡に伴う代替わりという特別な条件下においては、東宮の側近としてこれまで仕えていた東宮大夫から天皇の側近としてこれから仕えていく侍従等への円滑な移行のために、当分の間、特別に定員を2名としたものである。 附則は、本則に付随する規定が置かれる。本令では、施行期日及び経過措置がそれぞれ規定される。 附則第1項は、本令を公布の日と同日に施行すること(いわゆる公布日施行)を定めた規定である。当時の政府が公布日施行の瞬間についてどう解釈されていたかは明らかではないが、後年に法令の公布日施行の瞬間についての判例では、本令の掲載された官報が一般希望者において閲覧し、又は購読し得る場所に到達した時点であるとされていることから、遅くとも1912年7月30日の該当時間をもって公布され、同時に施行されたと推測される。皇室令は、その規定を施行するにあたって準備期間や周知期間が必要であるため、特段の規定がない限りは公布の日より起算し満20日を経て施行することとしている。しかし、本令は、天皇の代替わりに伴い至急必要となったものであることから準備期間は必要とせず、本令により影響を受ける対象が宮中の関係者に限定されることから周知期間も必要としないため、公布日施行としたものと推測される。 附則第2項は、本令の経過措置を定めた規定である。附則第2項前段では本令の施行により侍従長となる東宮大夫への侍従長任命の官記の不交付を、同項後段では任命に関する諸規定に関わらず本令の施行をもって自動的に兼任することを、それぞれ定めている。一般に勅任官の任命行為は、親任官とそれ以外の勅任官によって異なる。親任官にあっては、官記に天皇が親署し宮内大臣が年月日を記入し副署し、親任式において天皇から直接交付され、親任官以外の勅任官にあっては、官記に御璽を押印し宮内大臣が年月日を記入し副署し、内閣総理大臣が天皇の勅旨を奉じてその勅旨を包含する官記の対象者に交付することをもって行われる。本則の規定による侍従長の増員は、天皇の代替わりに伴う一時的な措置であり、東宮大夫には官記の交付を待たずに至急侍従長としての事務を行う必要があるため、官記を交付しないこととし、交付せずとも任命されることとした。すなわち本規定は、官記の様式を定める公式令の特別法として性質を有する。
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逐条解説
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「明治二十九年法律第六十三号ノ有効期間ニ関スル法律」の記事における「逐条解説」の解説
本法は、1文のみで構成されており、公布の際に上諭及び法律番号が付される。以下それぞれについて順次解説する。 本法の上諭には、帝国議会の協賛を経て天皇が本法を裁可した旨及び本法の件名が「明治二十九年法律第六十三号ノ有効期間ニ関スル法律」である旨が記され、その後に明治天皇の親署、御璽の捺印がなされ、本法の成立年月日である明治38年3月7日の記載並びに内閣総理大臣の桂及び内務大臣の芳川の副署がその後に付される。本法の件名は、本法が台湾ニ施行スヘキ法令ニ関スル法律の法律としての効力についてその期間を定めた新規の法律であることに由来する。台湾ニ施行スヘキ法令ニ関スル法律が法律番号で引用されているのは、当時題名が存在しない法律は、専ら法律番号によって引用することとされていたからである。本法の副署は、台湾に関する事務を掌る内務大臣が本法に係る天皇への輔弼の責任を有することを表している。 法律番号は、和暦年毎に毎年最初に公布される法律を第1号として順次第2号、第3号のように与えられる法律固有の識別番号である。本法の法律番号には、本法が明治38年に公布され、かつ、当該暦年の通算で42番目の法律であることが表されている。 本法は、題名を付さない。これは一時的な問題を処理するために制定されている比較的簡易な法令には題名を付さないのが通例であったためである。 本文は、本法の趣旨である台湾ニ施行スヘキ法令ニ関スル法律の期限後の効力について規定したものである。台湾ニ施行スヘキ法令ニ関スル法律は1905年3月31日まで法律としての効力を有することとされたが、本規定は、同年4月1日から平和が克復された年の翌年12月31日まで、なお法律としての効力を有することとと規定する。台湾ニ施行スヘキ法令ニ関スル法律第6条と本規定の規定との関係は、一般法と特別法の関係又は先法と後法の関係が成立しており、特別法優先の原理又は後法優先の原理により、同条の規定は適用されず、本規定が適用される。本文中の「平和克復」とは、当時日本とロシア帝国との間で朝鮮半島及び満州の権益をめぐり争われていた日露戦争の終結、即ち日露戦争の講和を規定するポーツマス条約の発効を指す。1904年に公布された非常事態税法では日露戦争の終結を要件として「平和克復」を用いており、本法も同法を例として用いたとされる。当該延長期間は、前述の背景のとおり、児玉が日露戦争に出征したこと等に伴い、明治29年法律第63号の後継となる台湾地域の統治規定の立案が滞っていたため、児玉が日本に帰朝した後、立案から制定までの期間を確保するためのものである。児玉でなければならない理由については、台湾地域の統治に適当な規定の立案にあたっては台湾地域の統治実績及び実情への知見を有している者にさせるべきであり、これらの条件に合致し、かつ、既に当該規定の起草中である児玉がすることが適当であると考えられたからである。 本法には附則がなく、本法の施行期日を定めた規定もないため、法律の施行期日に係る一般則を定めた法例の規定に基づいて本法の施行期日が決定される。即ち、日本内地については、公布の日である1905年3月8日から起算し満20日を経た日である同年3月28日が施行期日となり、台湾地域については、台湾地域の地方行政区分である各庁に到達した翌日より起算して7日を経た日に施行された。
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「皇室ノ祭祀ニ関スル件」の記事における「逐条解説」の解説
本令は、本則1文及び附則1文で構成されており、公布の際に上諭及び皇室令番号が付される。以下それぞれについて順次解説する。 本令の上諭には、天皇が本法を裁可した旨及び本令の件名が「皇室ノ祭祀ニ関スル件」である旨が記され、その後に裕仁による大正天皇の実名の執筆、摂政である裕仁の署名、御璽の捺印がなされ、本令の成立年月日である大正12年9月21日の記載及び宮内大臣の牧野の副署がその後に付される。本令の件名は、本令が皇室の祭祀に対する規定を設ける新規の皇室令であることに由来する。一般則と異なる特別の規定を設ける皇室令の件名については、宮内省官制(大正10年皇室令第7号)及び東宮職官制(大正10年皇室令第9号)の特例を定める侍従次長侍従及東宮侍従ノ定員ニ関スル件(大正11年皇室令第21号)や、本令と同様の背景を持ち、かつ宮内官制服令(明治44年5月26日皇室令第4号)の特例を定める宮内職員ノ制服ニ関スル件(大正12年皇室令第15号)のように、必ずしも特例等の字句を用いる必要はなく、特例等の字句を用いない場合は、その規定する内容に「ニ関スル件」を加えたものを件名とする。本令の副署は、宮中の祭事その他の皇室一切の事務を掌る宮内大臣が本令に係る天皇への輔弼の責任を有することを表している。 皇室令番号は、和暦年毎に毎年最初に公布される皇室令を第1号として順次第2号、第3号のように与えられる皇室令固有の識別番号である。本令の皇室令番号には、本法が大正12年に公布され、かつ、当該暦年の通算で14番目の皇室令であることが表されている。 本令は、題名を付さない。これは一時的な問題を処理するために制定されている比較的簡易な法令には題名を付さないのが通例であったためである。 本則は、皇室の祭祀に係る附式の宮内大臣への委任について規定したものである。皇室の祭祀は皇室祭祀令第3条に同令の附式のとおり行うこととされたが、本規定は、当分の間、宮内大臣が定める附式のとおり行うことと規定する。本則中「当分ノ内」(口語では「当分の間」)とは、期限を定めていない期間を指す用語であり、主に一時的な措置であることを表現するときに用いられる。当該字句を本令において用いるのは、本令の立案背景である皇室祭祀に対する関東大震災による影響がいつまで続くのか本令成立の際には明らかでないものの、常規に復することが必要であると認められた際には本令を改正ないし廃止をすることを予定していることを示すためである。「当分ノ内」と規定された場合はたとえ立案事実が実態と大きくかけ離れたとしても自動的には期限は到来せず、当該規定が不要になった場合はその改正が求められる。「宮内大臣」は、皇室一切の事務につき天皇を輔弼することを職務としており、皇室令の施行に関し必要な規程を定めることができる権限を有する。こうした組織法上の権限を持つ宮内大臣への本令による委任は、古礼を則り定められた皇室祭祀令の附式で行うのではなく、関東大震災に伴う時勢の変化に臨機応変に対応する根拠を作用法として担保するためのものである。なお「宮内大臣ノ定ムル所」は、宮内省官制第5条に基づき発せられる宮内省令では定められず、内規、訓令その他の形式により宮内大臣が定められるものであったと考えられる。 附則は、本令を公布の日と同日に施行すること(いわゆる公布日施行)を定めた規定である。当時の政府が公布日施行の瞬間についてどう解釈されていたかは明らかではないが、後年に法令の公布日施行の瞬間についての判例では、本令の掲載された官報が一般希望者において閲覧し、又は購読し得る場所に到達した時点であるとされていることから、遅くとも1923年9月22日の該当時間をもって公布され、同時に施行されたと推測される。皇室令は、その規定を施行するにあたって準備期間や周知期間が必要であるため、特段の規定がない限りは公布の日より起算し満20日を経て施行することとしている。本令は、同年9月24日に執り行われる秋季皇霊祭及び秋季神殿祭を関東大震災直後の情勢に対応させる必要があり、特段の準備期間も必要としないことから、公布日施行としたものと推測される。
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「陸海軍刑法ノ適用ニ関スル法律」の記事における「逐条解説」の解説
本法は、全3条で構成されている。本節では個々の条文について解説を行っていく。
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「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約第十一条3(a)の改正」の記事における「逐条解説」の解説
本条約は題名及び本文で構成されている。正文は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約と同様に、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語で作成される。本条約の寄託政府も同様にスイス連邦である。以下、各構成要素について解説する。 本条約の題名は、本条約の内容である絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約第11条3 (a) の字句を改正することを簡潔に示したものである。 本文は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約第11条3 (a) の改正規定である。同条約第11条は、同条約の締約国によって構成される締約国会議について規定した条文である。締約国会議は、別段の決定を行わない限り少なくとも2年に一回通常会合を、締約国の3分の1以上が書面により要請する場合に特別会合を開催される。締約国は、締約国会議において、同条約の事務局の任務の遂行を可能にするために必要な規則を作成すること等ができることとされている。本規定は、同条約の締約国の規則を作成する権利を定めた同条3 (a) の末尾に財政規則を採択することを加える改正を行うものである。財政規則は同条約の事務局の運営等のための経費を確保することを目的としたものである。国際法上、根拠なく締約国に対して財政出動を強制することは主権の侵害に当たる可能性があり、財政出動を強制するには強制される各締約国に対して逐次の同意が必要であった。本改正では、締約国会議で財政規則を採択することができることとすることにより、締約国会議の手続規則に定められた投票方式によって採決された財政規則をもって本条約の締約国の全てを本条約の持つ拘束力をもって財政出動を強制することが可能となる。なお手続規則は会議毎に決定するが、出席した各締約国につき1票ずつの単純過半数の多数決で行われることとされる(例えば本条約発効後初となる第7回締約国会議の作業規則第15規則など)。
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「住居表示に関する法律」の記事における「逐条解説」の解説
条文中の漢数字は算用数字に改めた。 条文中の「つ」のうち促音を表すものは、小書きの「っ」に改めた。 この節中『自治省解説』は自治省振興課編『住居表示制度の解説(改訂版)』(政経書院、1986年)の「第1章 住居表示に関する法律」(pp. 1–36)を指す。
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