日本の麻とは? わかりやすく解説

日本の麻

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 09:39 UTC 版)

麻 (繊維)」の記事における「日本の麻」の解説

アサ#歴史」も参照 麻(Cannavis sativa)は、世界最古繊維作物とされ、その繊維縄文時代遺跡から出土されているが、その正確な同定進めた研究者少なく、またしかし2010年代には研究実施できるようになりその進展見込まれている。麻製の縄や、籠も発掘されている。大麻取締法1948年制定)があるため、むやみに入手できなかったが栽培免許取得者協力を得ることが可能となったということである。布目順郎の1983年報告と『目で見る繊維考古学』(1992年)から、最古とされる鳥浜遺跡縄文時代草創期の縄3点原料は、大麻2、大麻様1とされていたが、このうち1点再調査したところ判定不能であったことが、2017年3月報告され、またこの時期の縄に多い繊維としてリョウメンシダ挙げられている。 弥生時代の布は、ほとんどが苧麻カラムシではなく麻製である。『魏志倭人伝』では、紵麻が育てられていると記され苧麻意味する紵を分けるのか議論分かれるが、『後漢書倭伝』では、麻紵と記され一般に分けて読まれる和幣(にぎて、にぎたえ)とは、古くは穀による帛(布)、あるいは麻や絹の織物指し『古事記』天岩戸(あまのいわど)の伝承の中で、真榊の上八尺勾魂(やさかのまがたま)、中八咫鏡やたのかがみ)、下枝に白丹寸手(しろにぎて)と青丹寸手(あおにぎて)をつけ、布刀御幣(ふとみてぐら)として捧げ祝詞唱え踊り踊ったところ、天照大神顔を出し世が再び明るくなった。『古語拾遺によれば、麻によって青和幣(あおにぎて)を、穀によって白和幣(しろにぎて)を作った記される。神に捧げられた布をさす「ぬさ」に、麻が使われたことから麻の字が当てられのである儀式形式化され、祓い具の大麻おおぬさ)が生まれた『万葉集』に、「夏麻(なつそ)ひく」という枕詞があり、「なつそをひいて績(う)む」と、麻の皮を剥いで糸をつむぐなどという意味で使われる。 『延喜式』では阿波忌部(あわいんべ)が天皇即位大嘗祭に際して、神服(かむみそとしての麻で織った麁服あらたえ)を調進することと定められている。また、他にも上総国かずさのくに)の望陀(もうだ)郡、現在の千葉県木更津市袖ケ浦市辺りの、麻織物望陀布最高級品であり大嘗祭遣唐使貢納の品に使われた。徳島県木屋平村三木家に伝わる古文書では、1260年文王元年)の亀山天皇践祚大嘗祭にて麁服あらたえ)を進上したことが記されており、それ以前からこの役を担っていたと考えられる和紙としての麻紙(まし)は、正倉院文書をはじめ古くから用いられており、その献物帳では757年天平勝実8年6月では白麻紙、7月は緑麻紙天平実字2年6月では碧麻紙であり、赤・黄な様々に残っている。奈良時代から平安末期にかけて写経流行しおびただしい数が今日まで残存し穀紙登場する麻紙上質なとしての位置づけ残しつつ主流ではなくなったが、写経においては重要視されただけに上質の紙を使ってあり、後の昭和時代初頭の紙の歴史の研究便利なほどであった。『延喜式』には、麻紙は麻を材料したものと、麻を材料とした布を材料としているものに大きく分かれると書かれている群馬岩島麻は、過去上州北麻(じょうしゅうきたあさ)と呼ばれ吾妻錦」「黄金の一」といった最上級製品生産しており、織物としての風合いがよく幻の麻と言われる戦前では、1909年(明治42年)の小学校理科教科書で、大麻について教えられており、栽培方法繊維製法用途としては、布、糸、縄、帆、下駄の緒、茅葺屋根小鳥の餌麻の実を、また麻油があるとしている。また、中学校教科書では、加えて紙に用いられることが教えられており、教員用の教科書では、大麻衣服原料として綿のない時代から今日まで広く栽培され重宝されたと記載されている。 戦後大麻取締法によって繊維用の大麻まで栽培が非常に厳しくなり、大麻布もほとんど作られなくなった1977年には岩島保存会発足し、後に群馬県選定保存技術第一号に認定されている。天皇即位大嘗祭だいじょうさい)は、徳島県の(阿波忌部末裔とされる三木家による麻の献上通例であったが、1990年天皇即位大嘗祭では、技術途絶えた徳島岩島保存会技術提供した岩島麻は、宮内庁神社庁日本民族工芸技術保存協会などに納められいくばくか奈良晒近江上布のために出荷され使われている。長野県鬼無里では、従来畳糸としての麻が生産されており、2008年には栽培から製造までを地元復元できるようにと、復元教室開催され製造された糸は柔道講道館の畳を再現したい畳職人に提供される予定だとされた。 画家出身吉田真一郎大麻布の収集研究取り組み2014年エイベックス・グループなどと協力して大麻布製品のブランド麻世妙(majotae)」を立ち上げた。国の認可受けて栽培した大麻からの国産繊維製造進めている。 大麻生育速く収量が多いことから農業振興のため活用模索する地域もあり、北海道では北海道産業用大麻協会旭川市)が設立されたほか、道庁道立研究機関道議会原料としての利用検討研究している。道産業用大麻協会によると、ロープや紙、住宅建材など25000種類工業製品の原料になるという。一方で産業利用への反対慎重論多く鳥取県平井伸治知事産業用含めた栽培全面禁止する薬物乱用防止条例改正進め意向2016年10月表明した三重県では、皇學館大学三重県神社庁神事用いる麻の栽培申請した2018年許可認め方向性示された。

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