ヴァルガー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/16 20:15 UTC 版)
「ヴァルガー」 | |
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サム・スミス & マドンナ の シングル | |
リリース | |
録音 | 2023年2月6日 |
ジャンル | ボールルーム |
時間 | |
レーベル | キャピトル・レコード |
作詞・作曲 |
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プロデュース |
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「ヴァルガー」(Vulgar)はイギリスの歌手サム・スミスとアメリカの歌手マドンナが録音した曲で、2023年6月9日にシングルとして発売された。スミスとマドンナはイリヤ・サルマンサデー、ライアン・テダー、オマー・フェディ、ヘンリー・ウォルター、ジェームス・ネーピアとともに曲を書いた[1]。
背景とリリース
サム・スミスは2023年1月に4枚目のアルバム『グロリア』を発売した。アルバムには多数のシングルが収録され、その中にはチャート首位を記録した2022年のシングル「アンホーリー」も含まれていた[2]。スミスとキム・ペトラスは2023年2月5日に行われた第65回グラミー賞でマドンナによる紹介を受けて「アンホーリー」を披露した。紹介の際マドンナはスピーチの中で「私は道を切り拓き非難に耐えてきた多くの反逆者達に感謝を伝えるためにここにいる。ここにいるトラブルメーカーのあなた達へ知ってほしいのはあなたの恐れを知らぬ精神は人に気づかれている。あなたは見られ、聞かれ、そして評価される」と語った。「アンホーリー」は最優秀ポップ/デュオ・パフォーマンス部門を受賞した[3][4]。授賞式の翌日にスミスはマドンナとともに「ヴァルガー」をレコーディングした、スミスはその経験を「創造して、書き上げて、表現した素晴らしい夜」と語った[5]。
スミスは5月24日にマドンナとのコラボレーションを予告した、公開されたビデオの中でスミスは「マンチェスター、今晩サプライズがある。「アンホーリー」は最後の曲じゃない…。」と語った[6][7][8]。しかしマンチェスターのショウはキャンセルされ、曲のお披露目は無くなってしまったが[9]、予告はその後も続けられた[10]。同月、マドンナは曲のジャケット写真を公開、そのジャケットは二人の体が黒と白のコルセットできつく締め上げられたもので、その下には互いのイニシャルが「S&M」と表記されている[10][11][12]。スミスによると彼らと曲の共作者達は曲の録音の為にグラミー授賞式の次の日にはスタジオに向かったと語った[5]。サムはこの曲を「とても特別なもの」だと語り、「私と女王、そして私が知る中で最も才能に溢れた人達がこの曲を作り上げた。この創作意欲はとても純粋でそのエナジーは確かに生きていた」と続けた[13]。Apple Music 1でのゼイン・ロウとの対談の中でスミスは「ヴァルガー」を「私が関わった中でも最もエキサイティングな曲の一つ」だとした[5]。
ローリング・ストーンズ、アメリカン・ソングライターズ、ニューヨーク・デイリーニュース、ミュージック、メトロ・ウィークリーといった様々な出版誌はこの曲を「高く評価」もしくは「とても期待された」曲だとみなし[11][14][13][15][16]、そんな中で「ヴァルガー」は6月9日に発売された[14]。リリースにあたってビルボードが行った「読者が選ぶ好きな今週の新曲」の投票を制した[17]。
作曲
曲の断片的な部分において、iHeartRadioのレベッカ・ゴンザレスは「曲はヴォーギングの為に作られたボールカルチャーのジャンルから多大な影響を受けたように聞こえる」と評した[18]。曲はダンス・パーティー・アンセムかクラブに対応した曲として形容される[19][14][13][11]。曲には中東のストリングスが取り入れられており[20][21][22]、エレクトロの要素も含まれている[15][16]。
曲には語りが取り入れられており[15]、Exclaim! Sydney Brasilとガーディアンのアレクシス・ペトロディスはコーラスが無いことを挙げている[23][24]。ニューヨーク・デイリー・ニュースのムリ・アスンカオによれば曲のテーマとしては物議を醸すような態度への容認であり、セクシーや自由である事や自分を表現する事、「ヘイター達が何と言おうが自分がやりたい事をやる事の重要性」が歌われている[16][13]。いくつかの批評家は歌詞の中にマドンナの「イントゥ・ザ・グルーヴ」が取り入れられている事に着目した[25][26][27][19]。曲の中に「ビッチ・アイム・マドンナ」との関連性を見出す者もいれば[27][22]、「アンホーリー」の流れに沿ってると考える者もいた[27][23]。
批評
NMEへの寄稿でリバティ・ドュンワースは曲を「官能的な一曲」だとした[12]。アウトのメイ・ルーダーも曲を「セクシーな曲」として、「ヘヴィなビートは深夜2時のゲイ・クラブで体をくねらせるのに完璧」だとも付け加えた[28]。スラント・マガジンのサル・チンクェマーニは「ふしだらで、キャンピーで、華々しいほどに自己認識に満ちている」として「慣習に逆らうような曲」だとも評し、それらは大量消費されるために磨かれたものでないとした[29]。エンタテインメント・ウィークリーのジョーイ・ノルフィーは「美味しいバンガー」だと評し、「マドンナは彼女達を非難してくる人達に向けて厳しい警告を持った歌詞とともにイケてて卑猥な宣言を則っている」とした[26]。アティチュードのジェイミー・タブラーは5つの内3つ星を曲に付け、「驚くほどに抵抗を宣言している」とした[22]。アメリカン・ソングライターズのティファニー・ゴールドステインは「大胆で勇敢なアンセム」と評した[14]。コンシークエンスのサーバンテ・ポープは「ヴァルガーは必要以上に下品とは思わない、むしろアーティスト達はエンパワーメントや敬われる事への要望を強く主張している」と評した[20] 。ポープの意見と似たものとしてミュージックのメリー・ヴァーヴァリスは「期待するほどセクシャルで露骨ではないだろう(中略)確かに使っている言葉はそうかもしれないが」と語った[15]。ガーディアンのアレクシス・ペトリディスは「アウトレイジな事をいつもの感じで試みただけ」として5つ星の内2つしか与えなかった[24]。
エコノミック・タイムズは「興奮と才気に溢れた」コラボレーションは互いの優れた官能的な部分を引き出していると評した[30]。似た意見としてメトロ・ウィークリーのヒュー・マクインタイルは「互いにとって著名となっているその大胆さを引き出している」として「期待を裏切ってないことは否定できない」とした。続けて「どちらのアーティストの有名な曲とも肩を並べるほどにはいたっていない」として両者の物凄い才能を考えれば少々がっかりするとも述べた[16]。
ミュージック・ビデオ
曲のリリースに付随して、サム・スミスは「ヴァルガー」のヴィジュアライザーをYouTubeチャンネルにアップロードした[31]。
リリース日一覧
地域 | 日付 | フォーマット | レーベル | |
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全世界 | 2023年6月9日 | キャピトル・レコード | [32] | |
イタリア | エアプレイ | ユニバーサル | [33] |
脚注
- ^ “Archived copy”. 2023年6月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月1日閲覧。
- ^ Brandle, Lars (2023年2月6日). “Sam Smith Scores U.K. No. 1 With 'Gloria'”. Billboard. 2023年5月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月31日閲覧。
- ^ Daly, Rhian (2023年2月6日). “Watch Madonna introduce Kim Petras and Sam Smith at 2023 Grammys”. NME. 2023年5月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月31日閲覧。
- ^ “Madonna Says Artists Labeled 'Scandalous' or 'Problematic' Are 'Definitely on to Something' at 2023 Grammys”. People (2023年2月5日). 2023年3月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月31日閲覧。
- ^ a b c Valdez, Jonah (2023年6月9日). “Sam Smith, Madonna recorded new song ‘Vulgar’ a day after historic Grammys win”. Los Angeles Times. 2023年6月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。。
- ^ Rowley, Glenn (2023年5月24日). “Sam Smith Teases Mystery Collab With Madonna”. Billboard. 2023年5月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月31日閲覧。
- ^ Geraghty, Hollie (2023年5月25日). “Sam Smith teases mystery Madonna collaboration”. NME. 2023年5月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月31日閲覧。
- ^ Wratten, Marcus (2023年5月26日). “Madonna proves she's the ultimate LGBTQ+ ally as she teases Sam Smith collab: 'Gay scream!”. PinkNews. 2023年5月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月31日閲覧。
- ^ Kelly, Tyler Damara (2023年5月31日). “Madonna confirms Sam Smith collaboration 'Vulgar'”. The Line of Best Fit. 2023年5月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月31日閲覧。
- ^ a b Daw, Stephen (2023年5月31日). “Sam Smith & Madonna Are Getting 'Vulgar' With Their New Single”. Billboard. 2023年5月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月31日閲覧。
- ^ a b c Mier, Tomás (2023年6月9日). “If You F-ck With Sam Smith, You F-ck With Madonna: Duo Drops Sexy Collab ‘Vulgar’”. Rolling Stone. 2023年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
- ^ a b Dunworth, Liberty (2023年6月9日). “Sam Smith and Madonna join forces for sultry new single ‘Vulgar’”. NME. 2023年6月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
- ^ a b c d Assunção, Muri (2023年6月9日). “LISTEN! Madonna and Sam Smith get ‘Vulgar’ in much-awaited collaboration”. New York Daily News. 2023年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
- ^ a b c d Goldstein, Tiffany (2023年6月). “Sam Smith and Madonna Join Forces on Dance-Party Anthem 'Vulgar'”. American Songwriter. 2023年6月10日閲覧。
- ^ a b c d Varvaris, Mary (2023年6月10日). “Sam Smith & Madonna Share 'Vulgar' Collaboration”. The Music. 2023年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
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- ^ Iasimone, Ashley (June 11, 2023). “Fans Choose Sam Smith and Madonna’s ‘Vulgar’ as This Week’s Favorite New Music”. Billboard 2023年6月11日閲覧。.
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- ^ a b Bowenbank, Starr (2023年6月9日). “Sam Smith & Madonna, Rosalía, Niall Horan & BTS: What’s Your Favorite Music Release of the Week? Vote!”. Billboard. 2023年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
- ^ a b Cervanté, Pope (2023年6月9日). “Sam Smith and Madonna Get 'Vulgar' on New Single”. Consequence. 2023年6月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
- ^ Aswad, Jem (9 June 2023). “Sam Smith and Madonna Drop Fiery New Single, 'Vulgar'”. Variety 2023年6月10日閲覧。.
- ^ a b c Tabberer, Jamie (9 June 2023). “Sam Smith and Madonna's 'Vulgar' review: 'A jaw-dropping declaration of resistance'”. Attitude 2023年6月10日閲覧。.
- ^ a b Sydney, Brasil (2023年6月9日). “Sam Smith and Madonna's 'Vulgar' Turned Us into Prudes”. Exclaim!. 2023年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
- ^ a b Petridis, Alexis (2023年6月9日). “Sam Smith & Madonna: 'Vulgar' review – a tame attempt at manufacturing outrage”. The Guardian. 2023年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
- ^ “Madonna and Sam Smith Reference 'Into the Groove' on Steamy New Dance Track 'Vulgar' — Listen!”. People (2023年6月9日). 2023年6月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
- ^ a b Nolfi, Joey (2023年6月9日). “Madonna threatens to 'split your banana' if you 'f--- with' Sam Smith on NSFW new song 'Vulgar'”. Entertainment Weekly. 2023年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
- ^ a b c Alonso, Sebas E. (2023年6月9日). “Sam Smith y Madonna, felices cual gorrinos en una charca en ‘Vulgar’” (スペイン語). Jenesaispop. 2023年6月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
- ^ Rude, Mey (2023年6月9日). “Sam Smith & Madonna's Epic, Sexy, Collaboration Is Finally Here”. Out. 2023年6月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
- ^ Cinquemani, Sal (2023年6月10日). “Sam Smith and Madonna's 'Vulgar' Is a Glorious, No-Fucks-Given Bitch Track”. Slant. 2023年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
- ^ “Madonna and Sam Smith heat up the charts with duet ‘Vulgar’”. The Economic Times (2023年6月9日). 2023年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
- ^ “Sam Smith, Madonna - 'Vulgar' (Visualiser)”. YouTube (2023年6月8日). 2023年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月10日閲覧。
- ^ “'Vulgar' - Single by Sam Smith & Madonna”. Apple Music (US). 2023年6月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月12日閲覧。
- ^ Seminara, Emanuela Ali. "Sam Smith 'Vulgar'" (Press release) (Italian). Radio Airplay SRL. 2023年6月12日閲覧。
ヴァルガー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 03:51 UTC 版)
「魔獣戦士ルナ・ヴァルガー」の記事における「ヴァルガー」の解説
魔獣種族と記述されるヴァルガーであるが、物語中では以下のように分類される。なお、本シリーズには登場せず、魔獣戦記ネオ・ヴァルガーにしか登場しないものもここで説明するものとする(これらには名前の後ろに「☆」を付ける)。なお、原作でも漢字名や仮名名において記述が一定していないが、ここでは最も登場回数の多いと思われる綴りで記述する。 魔獣王(オリジナルヴァルガー) ☆ ルナたちの世界にヴァルガー要素を持ち込んだ張本人であり、人の能力を大きく上回る超越的存在。だが、同格の存在である「ル・ファール」の一族との戦いに敗れた敗残の身でもあり、物語の舞台である惑星の近くの亜空間にて休息を始めた頃から、この惑星の運命が大きく変わる。 自身の分身である超越魔獣(ハイパーヴァルガー)を従え、自身が休眠中でも活動させることができる。超越者ではあるが創造神ではなく、この惑星に来たのは単なる偶然である。グレゴールと対話した時も「自分は単なる落ち武者である」と、しごく冷静に自身の存在を評価している。 四天王が下級魔獣を作り出したのは、オリジナルヴァルガーが子孫を残すための伴侶ともいうべき存在を産み出す為であった。数百年の年月を経てそれに成功し、その運命を受け入れたディアーヌと共に、いずこかへ旅立った。 超越魔獣(ハイパーヴァルガー) 分身魔獣(コピーヴァルガー)、上級魔獣(グレーターヴァルガー)とも記述され、魔獣王から作られた配下のヴァルガー。4体がこの世界に存在し、魔獣四天王とも呼ばれる。魔獣王が存在している限り復活は可能。 複製魔獣(コピーヴァルガー) 再複製魔獣(リコピーヴァルガー)とも、下級魔獣(レッサーヴァルガー)とも記述される。超越魔獣(ハイパーヴァルガー)たる鉱の魔獣により作られたヴァルガー。8体がこの世界に存在する。単体での知能は低く、人間と合体し頭脳体(ブレイン)とすることで理性的な行動が出来るようになるが、合体した人間も徐々に魔獣に侵食されて消滅してしまうため定期的に新たなブレインとなる人間と合体することで代替わりしている。ヴァルガーたちが地上を支配していた時代には、合体した状態を「神獣公(ヴァルガーロード)」と呼んだ(イクティやシャドウは現在でもそう呼ぶ)。 以下に、各ヴァルガーの一覧と説明を示す。 闇の魔獣(ダーク・ヴァルガー) 破壊を司る魔獣。南方の地に封じられており、封印を解くため、上に建国されたダンバス帝国の住民に破壊衝動を植えつける。結果、ダンバス帝国は理由もなく他国に攻め入る野蛮人の集団になってしまった、と分析されている。 形状は黒い竜巻で、(一般的な生物で言うところの)体内に広大な空間を持っており、そこに吸い込まれた者は、消化吸収される運命にある。重力操作能力に卓越しており、自身の体も重力波のようなもので構成されており、物理的な攻撃は一切受け付けなかった。だが、巨竜魔獣に能力を模倣されて自身の技で滅ぼされる。そして力の一部は、ルナの娘であるディアーヌに引き継がれた。 OVAでは小説とは逆で、闇の魔獣の方が巨竜魔獣の能力を完全にコピーして襲い掛かってくる展開になっている。 従属種族はシャドウ・ウールス。外見は人と酷似しているが、肌が黒く、男性は頭髪がない。固体の戦闘力に基づく絶対的な序列社会を形成しており、戦闘力に応じてナンバーを振り分け、それがそのまま固体の名前になっている。また、上位者は例外なく超能力者(人間の魔道師に相当)であり、同時に卓越した体術も心得ており、「魔法戦士」として非常に高い戦闘力を持つ。主であるダークヴァルガーの封印に巻き込まれ、長きに渡ってダンバスの地下に封印されていた。 鉱の魔獣(メタル・ヴァルガー) ☆ 創造を司る魔獣。非常に高い知性を備えており、オリジナルヴァルガーの命令実行役として、下級魔獣や彼らに従うウールス全般を創造したのも彼(?)である。 形状は無数の金属ワイヤーが縒り合わさった巨大な目玉。物体の組成を原子レベルで変換する技に長けており、まさに「創造主」の名にふさわしい実力を持つ。 策略によってディアーヌに敗れた後、グレゴールの研究材料とされてしまう。 従属種族はメタル・ウールス。外見はアイアン・ゴーレムそのものだが、高い知性を有する。主の封印と共に錆びついて崩れ去ってしまった。 光の魔獣(ライトニング・ヴァルガー) ☆ 移送を司る魔獣。巨の魔獣が蓄積した力を必要に応じて移送する役割を担っていた。この星の南極に封印されていたが、後に封印をとかれ、紆余曲折あった挙句に瀕死状態のところを火焔鳥魔獣に吸収されてしまう。 形状は光り輝く球体。各種エネルギーをさまざまな形で放出する能力をもっていたが、知覚関係は軒並み鈍く、お世辞にも知性が高いとは言えなかった。 従属種族はクリスタル・ウールス。生息地域が人とは異なったためか、名前だけが伝承に残るのみの存在。 巨の魔獣(ギガント・ヴァルガー) ☆ 蓄積を司る魔獣。この星の唯一の衛星と思われていた月が、実は衛星ではなく「巨の魔獣」本体だった。内部に蓄積した力を魔力に変換して貯蔵する役割を担っており、これを光の魔獣が必要に応じて移送していた。この力こそ、この星に魔法が存在する上で必要不可欠の存在である。 やがて他の魔獣と同じく封印されてしまうが、自分の役割をこなすこと以外に興味はなかったらしく、封印が施された後も、淡々と力を蓄積する仕事を続けていた。やがて蓄積上限を超えた魔力が、封印から漏れ出していた。 ディアーヌ・グレゴール・メディアによって蓄積した力を全て吸収され、存在できなくなって爆発崩壊する。その折、知性らしきものを見せたものの、馬鹿正直で愚鈍なさまを見せ付けただけにとどまる。 従属種族はスカラベ・ウールス。生息地域が人とは異なったためか、外見や生態系はほとんど不明である。 巨竜魔獣(ドラゴン・ヴァルガー) リムズベル城地下に封印されていたコピーヴァルガー。リムズベルがダンバスの侵略を受けた際に、主人公ルナが封印を解いて合体した。二本足で直立する蜥蜴のような姿(あろひろしのイラストでは当時信じられていたティラノザウルスの復元図に似た姿)をしており、口から衝撃波を出して攻撃する破壊叫(ブラストヴォイス)と鉤爪が主な攻撃。テオドラ・ド・エリオンが施した処置により、人間型の姿(尻尾以外は頭脳体そのままの姿)をとることも出来る。知能が低いと言われるヴァルガーだが、ブレインとなったルナと会話が成立する程度には知能があり、意識の一部はディアーヌの中に受け継がれている。 伝説上の存在でしかなかったヴァルガーを広く世界に知らしめた存在として筆頭に挙げられる事が多いが、他のヴァルガーとの戦いで完勝したのは大蛸魔獣のみで、黒蛇魔獣には大苦戦の末にかろうじて勝利(しかも、最後の止めを刺したのみ)、大白蛇魔獣には完敗、闇の魔獣とは相打ちと冴えない戦績となっている。もっとも、ヴァルガー以外の敵には完勝しているので決して弱い訳ではない。 従属種族は水棲人イクティ・ウールス。水中活動に優れるが、乾燥した環境や長時間の陸上活動には弱く、ウエットポーションという薬が必須となる。リムズベル城近くの海底に封印され、ルナが旅立った後に姿を見せた。ゼナを神獣公の代理と認め、リムズベル大公家に仕える。 黒蛇魔獣(クロスサーペント・ヴァルガー) ゾアン渓谷に封印されていた魔獣。頭脳体が健在な頃は後述の大白蛇魔獣と親交があった。巨竜魔獣曰く「いけすかない奴」。生贄を欲する残忍な性格。その牙、及び口から吐き散らす毒で人間を石化させて食べ、力を蓄えていた。 一度は巨竜魔獣を退けるも、バト・ロビスに中央の目を潰される、ミル・ユードに斬魔獣剣の試し斬りで首を切り裂かれる、アルタイオ評議員全員の魔力を集中させた「オール・イン・ワン」で瀕死にされるなど散々に打ちのめされた後、ゾアン渓谷で巨竜魔獣に押さえ込まれてミルに斬魔獣剣で首を斬り飛ばされる。 その後、シェフの究極のスタミナ料理の食材やグレゴールの研究材料とされる。なお、生贄を欲するのは頭脳体が消滅するのを防ぐ為の方策で、ある意味、止むに止まれない事情とも言える。 OVAでは多頭型で三つの首がある 従属種族はゾアン・ウールス。獣に変身する能力を持つが、どのような獣に変身するかは家族・兄弟でもバラバラで統一性が無い。封印を免れて代を重ねるうちに、ウールスに刷り込まれた主への本能的忠誠心はかなり薄くなっていたが、黒蛇魔獣に生贄を捧げていたことは風習として遺されていた。黒蛇魔獣が倒された後、バト・ロビスに従ってゾアン渓谷を出て魔道都市・アルタイオに門前町を作り、一部のゾアンは魔道の才を見出されてアルタイオ入りした。 大白蛇魔獣(ホワイトコブラ・ヴァルガー) ヒュレーネをブレインとするヴァルガー。首の部分からはムカデのような脚が生え(普段は収納されている)、この先端及び牙には相手を白蝋屍(ホワイドデッド)化させる毒をもつ。ヒュレーネ自身の魔道力と相まって、下級魔獣の中では非常に強力な存在であり、死の魔獣(デス・ヴァルガー)として恐れられている。 黒蛇魔獣同様、頭脳体を維持する為には生贄が必要だったが、ヒュレーネが月からの魔力をダイレクトに受け取れるように神殿を改造した為、生贄が不要になった。 テオドラの張った結界に閉じ込められるが、気にすることなく『ネオ・ヴァルガー』の時代まで引き籠っていた。ディアーヌに敗れ、グレゴールにより闇魂の材料とされてしまう。 従属種族は有翼人ウイング・ウールス。ただし、『ネオ・ヴァルガー』の時点では男性の老人1人しか残っておらず、事実上絶滅状態。 大蛸魔獣(クラーケン・ヴァルガー) 海を縄張りとする魔獣。知能は恐ろしく低い(ブレインの無いヘッドレス状態の為)。 巨竜魔獣の破壊叫を体内から喰らい、敗れる。 かつてのブレインは「ワルプルギス公」という名前だったらしい。ドレスデン一族(4WD)との関係は不明。 従属種族は粘体人スライム・ウールス。ただしこれは種族というよりも大蛸魔獣とつながっている単なる端末であり、ウールスと呼ぶべきではない、とイクティの長などは強く主張する。実際、単独では知性は無い模様。 火焔鳥魔獣(フェニックス・ヴァルガー) ☆ 新世代の魔獣として創造され、下級魔獣の中でも群を抜いた能力を持つ。飛行能力を持つ他、それまでの下位魔獣には扱えなかった重力操作能力を持っている。過去のいきさつから、ブレインと合体する直前の状態で封印されていた。 そして、ドレスデン4WDの孫娘であるメディアが、策略を用いて記念すべき最初のブレインに成りおおせた。 メディア自身は有能といってよい人間だが、性格が根本的にドレスデンであり、人を大きく上回る力を得たにもかかわらず俗世根性が抜けなかった。その低俗な思考をグレゴールに軽蔑され、光の魔獣を吸収してもなお「ザ・トリプルフールズ(三重愚魔獣公)」と蔑称される。 だが、物語の結末時に、ディアーヌに懇願されたグレゴールによって人間として再構成され、メディアに仕えるようになる。 従属種族は設定されていない。 滑空獣魔獣(フライングビースト・ヴァルガー) ☆ 飛行能力を持つムササビ型の魔獣。飛行能力を持つ性格上、下位魔獣でありながら限定的ではあるが重力制御能力を有していた。 メディアが造り出したホムンクルスをブレインとして与えられ、捨て駒にされてしまう。 従属種族はミノター・ウールス。『ネオ・ヴァルガー』の時点では激減しており、各地に細々と生存する個体はモンスター扱いである。 甲蠍魔獣(スコーピオン・ヴァルガー) ☆ かつては東の大陸の大半を支配していた魔獣。滑空獣魔獣と同様、メディアの捨て駒として扱われる。魔獣史上の中で初めてヴェローナとドルツという人間ごとき下等な存在に叩きのめされるという、かなり救われない運命を辿るはめになった。 従属種族はケントウ・ウールス。優秀な固体ではあったようだが、神獣公によって繁殖を含む全てを管理されていた為に子孫を残せず、全ヴァルガー封印後ほど無く(2世代以内に)絶滅したと言われる。 粘体魔獣(スライム・ヴァルガー) ☆ 別名:壊天魔獣。全てを喰らいつくす能力を持つ。食欲衝動のみで動かされ、知性は余り高くないのだが、ポテンシャルとしては上位魔獣と同等のものを持っており、食欲を満たすがために飛行能力や麻痺光線を即興で身に着けるという高性能を見せ付ける。 制御不能の存在である為、他のヴァルガーと違い、作成者の鉱の魔獣の手によって封印されていた。 ネオ・ヴァルガー / ディアーヌ・ユード・テミス☆ ルナの中に遺された闇の魔獣と巨竜魔獣の因子を受け継いだ新世代ヴァルガー。
※この「ヴァルガー」の解説は、「魔獣戦士ルナ・ヴァルガー」の解説の一部です。
「ヴァルガー」を含む「魔獣戦士ルナ・ヴァルガー」の記事については、「魔獣戦士ルナ・ヴァルガー」の概要を参照ください。
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