プラトンとは? わかりやすく解説

プラトン

「プラトン」とは、紀元前4世紀頃の古代ギリシア実在した、「イデア論」などの説で知られる哲学者の名前である。ソクラテス弟子であり、アリストテレスの師とされる後世西洋哲学史多大な影響を与えた人物であり、「西洋哲学の祖」とも称される

プラトンが構築した哲学上の考え方は「プラトン哲学プラトニズム)」と呼ばれる

「プラトン」という呼び名は、あだ名である。本名は「アリストクレス」と推測されているが、確証はなく推測の域に留まる堂々たる体躯だったとされ、若い頃格闘家として名を馳せた伝えられる

今日では「プラトン」の名は、「(恋愛などにおいて)肉体交わり持たない純粋に精神的な関係」という意味の形容詞プラトニックPlatonic)」として用いられることがある。プラトンが提唱したイデア論のような関係、という意味を含んだ言葉である。

プラトンの哲学

プラトン哲学代表的な思想考え方としては「イデア論」が挙げられるプラトン哲学根底には「イデア論」が通底しているといえる

イデア論

プラトンは、「物事本質現実の世界現象界)にはなく、純粋に理念的な世界イデア界)にある」と考えた。我々は現象界存在する不完全な個体知覚し、その個体通じてイデア界にある本質想起するのだという。

現象界における個々存在は、イデア像に過ぎず個体によって差異があったり瑕疵があったりする。イデアは本来あるべき姿であり理念そのもの個体彼方に知覚される本質である。美のイデア模倣する試みは「芸術」となり、善のイデア目指し魂の修練を積む取り組みは「倫理・道徳」となる。

想起説と比喩

人間概念イデア界との関わり方について、プラトンは「想起アナムネーシス)」という表現使っている。具体的な関わり方については「洞窟の比喩」をはじめとする比喩用いて説明している。

洞窟の比喩」はプラトンの代表的著書のひとつである「国家」登場する比喩である。「暗闇の洞窟縛られ囚人」と「洞窟の外から囚人を導く指導者」が登場する前者一般人後者哲学者比喩である。

囚人洞窟内で壁面向いた状態で囚われている。洞窟内の様子分からない背後から差す灯りによって壁面微かに影が映し出される囚人たちの目には、この影が世界そのものであると映っている。

指導者囚人洞窟の外に出すことができる。外へ導かれ囚人は、はじめは明るさに目が眩んでしまうが、次第陽光明るさ慣れていき、外の世界様子正しく認識できるようになっていく。

洞窟外の世界を照らす太陽の光は、善の象徴世界真実描き出す存在比喩でもある。

「プラトン」の著書

プラトンは問答法用いた書物数多く著しており、一般人にも分かりやすく哲学説いたことでも評価が高い。

・「ソクラテスの弁明
・「クラテュロス
・「饗宴
・「パイドン
「国家」
・「パイドロス
・「テアイテトス
・「法律

「プラトン」の名言

プラトンの名言の例。

自分打ち勝つことが、最も偉大な勝利である。
・愛に触れると誰でも詩人になる。
親切にしなさい。あなたが会う人はみんな、厳し闘いをしているのだから。
目は心の窓である。
人間のことは何にてあれ、大いなる心労値せず

「プラトン」に関連する用語の解説

プラトン装飾美術館とは

プラトン装飾美術館Plato Museum of Decorative Arts)は、兵庫県神戸市にある美術館である。大正時代建築された旧アボイ家住宅を美術館として整備した施設であり、建物そのもの歴史的価値が高い。館内には、18~19世紀イタリア調度品中心に西欧装飾文化伺え品々展示されている。

プラトン装飾美術館」という名称はルネサンス期イタリア設置された「プラトン・アカデミー」に因んでいるとされる。同アカデミー学生学び対す姿勢感銘受けたオーナーが「後世美術品伝えたい」という思い名付けたという。

プラトン【Platōn】


プラトン

名前 PlatoPlatonPlatōn; Platone

プラトン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/12 22:32 UTC 版)

プラトン(プラトーン、古代ギリシャ語: ΠλάτωνPlátōn: Plato紀元前427年 - 紀元前347年)は、古代ギリシア哲学者である。ソクラテスの弟子にして、アリストテレスの師に当たる。


注釈

  1. ^ “ヨーロッパの哲学の伝統のもつ一般的性格を最も無難に説明するならば、プラトンに対する一連の脚註から構成されているもの、ということになる”[1](『過程と実在』)。ちなみに、ホワイトヘッドによるこのプラトン評は「あらゆる西洋哲学はプラトンのイデア論の変奏にすぎない」という文脈で誤って引用されることが多いが、実際には、「プラトンの対話篇にはイデア論を反駁する人物さえ登場していることに見られるように、プラトンの哲学的着想は哲学のあらゆるアイデアをそこに見出しうるほど豊かであった」という意味で評したのである。
  2. ^ 「肉体(ソーマ)は墓(セーマ)である」の教説はオルペウス教的と評される。ただし、E・R・ドッズは著作で、通説を再考しこれがオルペウス教の教義であった可能性は低いとみている(『ギリシァ人と非理性』みすず書房、p.182)。
  3. ^ プラトンの家系図については曽祖父クリスティアスの項を参照
  4. ^ この裁判を舞台設定としたのが『ソクラテスの弁明』である。
  5. ^ シュヴェーグラー『西洋哲学史』によれば、この地所はプラトンの父の遺産という。また、ディオゲネス・ラエルティオスによれば、プラトンが奴隷として売られた時にその身柄を買い戻したキュレネ人アンニケリスが、プラトンのためにアカデメイアの小園を買ったという。
  6. ^ ディオゲネス・ラエルティオスアリスティッポスの説として述べるところによれば、ディオンはプラトンの恋人(稚児)であった。プラトンは、他にもアステールという若者、パイドロス、アレクシス、アガトンと恋仲にあった。また、コロポン生まれの芸娘アルケアナッサを囲ってもいた。『ギリシア哲学者列伝 (上)』岩波文庫、271-273頁。
  7. ^ 対話篇『国家』に示される。
  8. ^ 一般的には「貴族制」を指すが、ここではプラトンは語義通り「優秀者」による支配の意味で用いている。
  9. ^ 一般的にはソロンの改革に見られるような、財産によって階級・権限を分けた「財産政治/制限民主制」を意味する言葉だが、ここではプラトンはクレタスパルタに見られるような「軍人優位の、勝利と名誉を愛し求める体制」の意味で用いている。『国家』547D-548C
  10. ^ ここではプラトンは、この言葉を「財産評価に基づく体制」「財産家・富裕層による支配体制」の意味で、すなわち一般的には先の「ティモクラティア」という言葉で言い表されている意味内容で用いているので紛らわしい。『国家』550D, 551A-B
  11. ^ 『国家』においては「優秀者支配制」の意味で用いられていたが、ここでは本来の意味である「貴族制」の意味で用いられている。
  12. ^ ジャック・デリダグラマトロジーについて』に代表されるように、『パイドロス』のこの箇所の記述を、「書き言葉批判」「音声中心主義」と考える者もいるが、上記『第七書簡』の記述からも分かるように、プラトンは「書き言葉」「話し言葉」を問わず、「言葉」全般を不完全なものとみなしてそこへの依存を批判しているのであり、『パイドロス』のこの箇所の記述を、「書き言葉批判」「音声中心主義」と解釈するのは明確な曲解・誤解である。
  13. ^ ステファヌス」(Stephanus)とは、フランス姓「エティエンヌ」(Étienne)のラテン語表現。
  14. ^ アリストテレスの思想の成立には、師プラトンが大きく関与したこと考えられている。ただし、その継承関係には議論があり、アリストテレスはプラトンの思想を積極的に乗り越え本質的に対立しているとするものと、プラトンの思想の本質的な部分を継承したとするものとに大きく分かれる。

出典

  1. ^ カール・ポパー「開かれた社会とその敵」(未來社)、佐々木毅「プラトンの呪縛」(講談社学術文庫)、「現代用語の基礎知識」(自由国民社、1981年)90p、「政治哲学序說」(南原繁、1973年)
  2. ^ a b c d ディオゲネス・ラエルティオスギリシア哲学者列伝』第3巻「プラトン」4節。(加来彰俊訳、岩波文庫(上)、1984年、pp. 251-253)
  3. ^ a b c d 第七書簡
  4. ^ 『国家』436A、580C-583A、『ティマイオス』69C
  5. ^ ティマイオス
  6. ^ 法律』第10巻
  7. ^ a b 斎藤忍随『人類の知的遺産7 プラトン』講談社、1983年
  8. ^ a b Miller, Stephen G. (2012), “Plato the Wrestler”, Plato’s Academy: A Survey of the Evidence, Athens, Greece, 12-16 December 2012 
  9. ^ 形而上学』第1巻987a32
  10. ^ パイドロス』266B
  11. ^ 『プラトン全集13』岩波書店p814
  12. ^ a b 『国家』550B
  13. ^ 『国家』553C, 562B
  14. ^ 『国家』562B
  15. ^ パイドロス』277D-279B
  16. ^ 国家』第10巻
  17. ^ ギリシア哲学者列伝』3巻56-62
  18. ^ G・E・L・オーエン著、篠崎栄訳「プラトン対話篇における『ティマイオス』の位置」、井上忠山本巍 編訳『ギリシア哲学の最前線 1』東京大学出版会、1986年、ISBN 9784130100199。105頁(訳者解題)
  19. ^ 『プラトン全集1』岩波書店 p367, 419
  20. ^ 『メノン』岩波文庫pp161-163
  21. ^ 『饗宴』岩波文庫p8
  22. ^ 『プラトン全集1』岩波書店 p419
  23. ^ 『パイドン』岩波文庫p196
  24. ^ 『ゴルギアス』岩波文庫 p299
  25. ^ 『メノン』岩波文庫pp162-163
  26. ^ 『国家』(下)岩波文庫p433
  27. ^ 『パイドロス』岩波文庫p191
  28. ^ 『テアイテトス』岩波文庫p295
  29. ^ 『プラトン全集3』岩波書店 p396, 435
  30. ^ 『プラトン全集13』岩波書店pp822-828
  31. ^ 『プラトン全集13』岩波書店p829
  32. ^ 『プラトン全集4』岩波書店p409
  33. ^ 納富信留『プラトン 理想国の現在』(慶応義塾大学出版会、2012年)



プラトン(声:八代駿)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/11 10:21 UTC 版)

海賊モア船長シリーズ」の記事における「プラトン(声:八代駿)」の解説

鍛冶屋ジャパン国の剣に並々ならぬ関心持ち、もし収穫品の中にジャパン国の剣があれば、他の報酬いらないとさえ語る。海賊になったのも、東方へ向かう可能性求めてのこと。

※この「プラトン(声:八代駿)」の解説は、「海賊モア船長シリーズ」の解説の一部です。
「プラトン(声:八代駿)」を含む「海賊モア船長シリーズ」の記事については、「海賊モア船長シリーズ」の概要を参照ください。

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