初期のキリスト教
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 04:01 UTC 版)
初期のキリスト教美術(英語版)では、オリーブの枝は鳩とともに登場する。鳩は福音書の聖霊の喩えに、オリーブの枝は古典的な象徴に由来する。ヴィンケルマンによれば、初期キリスト教では、オリーブの枝を咥えた鳩の姿を墓に刻み、死後の平安を寓意することが多かったという。例えば、ローマのプリスキラのカタコンベ(紀元2 - 5世紀)には、3人の男性(ダニエル書第3章のシャデラク、メシャク、アベデネゴ(英語版)とされる)の上に、枝を咥えた鳩が乗っている描写がある。また、ローマの別の場所のカタコンベには、ギリシャ語でΕΙΡΗΝΗ(エイレネ、「平和」の意)と記された人物のもとに、枝を持った鳩が飛んでいるレリーフ彫刻がある。 テルトゥリアヌス(160年頃 - 220年頃)は、ヘブライ語聖書に登場するノアの鳩を、「方舟から送り出されてオリーブの枝を持って戻ってきたとき、神の怒りが和らいだことを世界に告げた」とし、「天から送り出された神の平和をもたらす」洗礼における聖霊と比較した。4世紀に出版されたノアの物語のラテン語訳で、ヒエロニムスは、創世記8章11節の「オリーブの葉」(ヘブライ語でalé zayit)を「オリーブの枝」(ラテン語でramum olivae)と表現した。5世紀には、オリーブの枝を咥えた鳩がキリスト教における平和の象徴として定着しており、アウグスティヌスは著書『キリスト教の教え(英語版)』(De doctrina Christiana) の中で、「永遠の平和は、鳩が方舟に戻るときに持ってきたオリーブの枝 (olleae ramusculo) によって示される」と書いている。しかし、ユダヤ教の伝統では、大洪水の物語の中においてオリーブの葉と平和との関連はない。
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