パネル/モジュール/ディスプレイの技術的課題とは? わかりやすく解説

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パネル/モジュール/ディスプレイの技術的課題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 01:52 UTC 版)

液晶ディスプレイ」の記事における「パネル/モジュール/ディスプレイの技術的課題」の解説

液晶パネルは、様々な利点有する一方表示原理起因する技術課題欠点)も有している。 残像 液晶パネル動き早い動画表示させると、残像残って不明瞭な印象を受ける事がある。これは液晶パネル動画表示を行うテレビ採用され問題となってきた。この原因は、一つには、表示変更されるまでの応答時間長いためであり、もう一つは、駆動方法にも原因がある。 まず、液晶パネル応答時間については、一般に1-10ミリ秒程度時間が必要となる。このため、1秒間100程度、つまり、100Hz程度でのフレーム周波数による表示書き換えが可能となっている。これに対しブラウン管やプラズマ・ディスプレイ・パネル (PDP) の応答速度は、マイクロ秒程度であるため、液晶パネル応答時間はこれらに比べて長いこのように応答時間長いことを、応答速度が遅いともいう。この理由は、液状液晶物質配向変化という物理的な変化表示利用するためである。具体的には、主に液晶粘度および層の厚みをパラメータとして配向変化の遅れが決まる。 もう一つ駆動方法観点では、表示フレーム時間内でバックライト常時点灯していて画像表示され続ける点(ホールド駆動)が大きな要因である。液晶パネルでは、応答時間短くするため、液晶材料の低粘度化、液晶層厚低減表示駆動波形オーバーシュートさせる工夫オーバードライブ)といった対策行っている。また、インパルス駆動近づけるため、表示駆動波形による表示フレーム間への黒表示の挿入バックライト明滅等の対策行われている。さらには駆動周波数増大倍速・4倍速駆動)などの対策が採られている。 なお、測定規格および計測技術上の問題点として、カタログ等に表記される応答速度応答時間)の数値参考ならない場合が多いという問題点指摘されている[要出典]。 視野角 ブラウン管などの他のディスプレイ比較して液晶パネル視野角が狭い。液晶配向向き観察者位置関係透過率反射率影響するためである。このため液晶ディスプレイでは視野角特性表示性能1つとなっている。特にリビングに置くような大画面テレビ用途の液晶パネルでは、視野角特性改善して斜め向から見た場合でも正面方向変わらない表示品質近づけることが技術的な課題となってきた。 視野角特性改善は、IPS方式や、VA方式利用されるマルチドメイン方式によって図られている。マルチドメイン方式は、表示用い液晶配向向きが、明表示場合と暗表示場合同じになるドメイン領域)を画素内にいくつか設けて複数ドメイン明度色調いくつか平均化したもの画素透過率反射率となるように構成する手法である。こうすることで、液晶パネル観察方向を傾斜させたときの透過率上下左右あるいは斜めの観察方向に依存しにくくなる。 + : 視野角特性良好にするため、IPS方式や、VA方式マルチドメイン方式によって駆動することが行われている。マルチドメイン方式は、液晶配向向き揃っている単位領域ドメインという)を各画素複数通常2種又は4種設けることにより、複数ドメイン明度色調平均化したもの画素単位での透過率反射率となるように構成する手法である。こうすることで、液晶パネル観察方向を傾斜させたときの透過率上下左右あるいは斜めの観察方向に依存しにくくなる。 ただし、IPS方式VA方式では、ひとつ1つドメイン視野角特性異なっており、IPS方式の方が優れているIPS方式におけるマルチドメインでの特性平均化は、個々ドメインわずかな色調平均化主眼であるのに対しVA方式特性では明度平均化主眼である。VA方式ではIPS方式比べて不利な視野角特性改善するため、1つ画素複数電圧駆動するサブピクセル組合せとすることも行われている。この手法により、基板対す液晶傾きが、中間調において一定の傾きではなく強く傾いたサブピクセル傾き少なサブピクセル組み合わせとなり、上下左右斜めの観察方向に対す明度依存性が強い、中間的な液晶傾き表示用いず実質的に同様の明度得られるため、視野角特性改善されるまた、このような中間的な傾きでの液晶動作避け駆動方法は、応答にも良い影響与える。なお、前述程の効果得られないが、液晶性分子用いた位相差フィルムを、偏光フィルター液晶層との間に配置して視野角拡大する工夫なされている(主にTN方式OCB方式利用)。 なお、上記応答同様に測定規格および計測技術上の問題点として、カタログ等に表記される視野角数値参考ならない場合が多いという問題点指摘されている。例えば、多く場合にはコントラスト比10程度表示実現する最大視野角正面からの傾斜角、またはそれを両側表記した2倍の数)によって表示されるその結果例え176度の視野角などという観察方向として意味の無い範囲数字大きさばかりが強調されている。注意深く観察するユーザーにとっては、観察方向による色調変化コントラスト変化がいまだ認識できる程度残存しており、液晶ディスプレイ方式メーカーによってそれが異なることも事実であるが、このような味のある特性ユーザー比較可能な状態で示されることはほとんどないコントラスト比 画像表示製品の持つ明表示最大輝度を暗表示最小輝度割った値を「コントラスト比」と呼び表示品位指標となる。特にバックライト制御することで得られる最大と最小輝度の比は、「ダイナミック・コントラスト比」と呼ばれるコントラスト比小さな表示装置は、白黒表示不明瞭になるだけではなくカラー表示の色純度低下するため重要な指標である。液晶パネルでは動作原理上、画面を完全な黒表示にすることが難しくコントラスト比をあまり大きくできない。これは、バックライトの光を液晶パネル遮蔽切れず、たとえ光源光量制御して液晶パネル面から光が漏れるためである。 低消費電力液晶パネル消費電力低さ優れているために電卓使われはじめ、CRTブラウン管ディスプレイとの比較でも画面サイズ当り消費電力でも低く21世紀初頭現在実用となっている中では低消費電力表示装置である。また、電池駆動を行う携帯電子機器使用される用途や大画面テレビなど用途では、消費電力をさらに削減する要求存在するバックライトを持つ液晶パネル消費電力は、液晶駆動するための電力よりも光源での消費電力主な要素となる。一般的な透過型カラー液晶パネルでは、バックライトからの光量大半が、偏光フィルタカラーフィルタ液晶駆動するための金属配線などによって失われるカラーフィルタ用い液晶パネル全面表示での透過率は約5-10%に過ぎず光量の90-95%は内部で失なわれる液晶パネル透過率上げと共にバックライト発光効率改善求められるまた、携帯機器使用される液晶パネルでは、正面方向だけに明瞭な表示をすれば良いものが多くバックライト正面方向にだけ光を放ってそれ以外には無駄に光を出さないことで低電力化図られている。反対に据え置き式映像機器用いられる液晶パネルでは、バックライトできるだけ全方向万遍なく光を放射しないと使用者位置制限されることになる。 また、バックライト使わない反射型液晶パネルでも、電池電源とする携帯機器用途では、液晶駆動するわずかな消費電力ですら削減求められる。このとき液晶交流駆動されなければならず、表示内容変わらない静止画であっても消費電力ゼロにはできない。この課題に対して液晶配向双安定性持たせて電圧印加しなくても液晶表示固定することができるメモリー表示開発されている。これは表示内容書き換え時以外では電力消費しないため、電子書籍端末などの表示装置として用いられている。 こういった消費電力削減要求に対しては、発光効率のよいバックライト選択するなどの工夫により、年ごと液晶パネル消費電力量削減されている。 LED光源 光源LED照明使用することで、周囲明るさあわせて全体表示輝度調整したり、動画像合わせて画面上の場所ごとの明るさ変更することにより、電力消費抑えてコントラスト明暗ダイナミックレンジ動画追従性を向上させる「ローカルディミング」や「エリア制御」と呼ばれる工夫試みられている。 ドット落ち 液晶パネルの構造極めて繊細である。現在主流薄膜トランジスタ利用するTFT液晶パネルでは、膨大な数のトランジスタガラス基板上に形成されている。トランジスタ異物混入極めて弱く、数オングストローム程度の塵であっても動作不良起こすこのためドット、またはサブドットを構成するトランジスタ関連回路に異常があると、一般に言う所のドット落ち発生する現状ではパネル1枚当り2-3程度ドット落ち容認しないパネル単価10倍にも上昇するといわれており、メーカー技術上の限界として顧客対応苦慮している。その為、液晶パネル使用した製品にはその旨注意書き書かれている耐衝撃性 液晶パネルは薄いガラスでできている。このためCRT安全のため破損許されず、厚いガラス用いる必要があった)等と比べると、大画面実現できるものの、逆に容易に割れて破損しやすい。しかし、種々のフィルム表面張ってあるため、割れた場合危険性は低い。近年ノートパソコンなどの可搬性機器破損例や、液晶テレビ一般家庭浸透するに伴い幼児がいる家庭での破損例が多くなっている。そのため、画面それ自体衝撃与えないようにする工夫や、それ自体頑丈さが求められるようになってきている。なおデスクトップパーソナルコンピューター用の液晶モニタータッチパネル付き製品では、前面タッチパネルガラス装着されているためにセット全体として衝撃に強い。また、ガラス基板でなくプラスチック基板用いて耐衝撃性高めることも検討されている。 液晶配向のくせの固定化擬似的焼付け液晶ディスプレイ同一画像長期わたって表示し続けた場合には、見かけ発光表示装置焼付け同じよう現象起きことがあるこのような現象は、発光素子焼付けのような外観呈するので専門家でも焼付けと呼ぶことがあり、メーカーサポートなどでも焼付けとして扱う社もある。しかし、自発光デバイスはないため、液晶ディスプレイのこの現象は、CRTPDP有機EL無機ELのような焼付け発光素子部分劣化)とは原理的に異なりその意味厳密に焼付けではない。液晶パネルメーカーでは、この現象原因を、液晶光シャッター機能の要である液晶配向にくせがつくこと、液晶材料中や配向中に残存したりそこに溶出する微量不純物影響など考えており、液晶パネル部分長期信頼性問題として管理している。 バックライト寿命 PCディスプレイ液晶テレビ使用されている液晶パネルは、ほとんどがバックライト必要な透過型である。このバックライト光源としては冷陰極管 (CCFL) というごく細い蛍光管、あるいはLED使用されている。冷陰極管LED照明器具蛍光灯等と同様に長期間使用するにつれて光度低下する劣化避けられないまた、バックライト用い光源以外の光学部材色調長期間には変化することがあるその結果画面全体や端の輝度低下したり、色調変わってくることがあるこのような液晶モジュール一部であるバックライトシステムのみの劣化は、原理的にはバックライトシステムを交換すれば回復するが、そのような交換メーカー修理としては通常行われない一般にバックライトの寿命は(輝度半分になる点灯時間として規定することが多いがその場合でも)液晶パネルの他の部分比べて短いことが多い。よって、バックライト寿命モジュール寿命決める面もあるため、バックライト部分長寿命化するための開発行われてきている。 液晶黄ばみ 液晶黄色く見えると液晶黄ばみ一部問題となることがあるが、今の技術で完全になくすことは出来ない。これはドット落ち同じよう容認しないパネル単価跳ね上がるといわれている。こちらもメーカー技術上の限界として顧客対応苦慮しているが液晶黄ばみについては注意書きはない。

※この「パネル/モジュール/ディスプレイの技術的課題」の解説は、「液晶ディスプレイ」の解説の一部です。
「パネル/モジュール/ディスプレイの技術的課題」を含む「液晶ディスプレイ」の記事については、「液晶ディスプレイ」の概要を参照ください。

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