パイオニアIIIとは? わかりやすく解説

ペンシルバニア鉄道MP85形電車

(パイオニアIII から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/28 02:41 UTC 版)

ペンシルバニア鉄道MP85形電車バッド社が開発した交流近郊型電車である。パイオニアIIIシルバーライナーIとも呼ばれる。1956年にバッド社は軽量化に特化した客車を製作した。1両のみ試作したものの、鉄道旅客交通の斜陽化による輸送量低下の結果、発注を取ることができなかったバッド社は電車として再設計する事とした。 製作された6両の電車はペンシルバニア鉄道が購入し、米国北東部の短距離から長距離まで運用可能な高速形電車として開発。 この6両のパイオニアIIIは北米初の全不銹鋼製の電車となりその総重量は41tで当時最軽量であった。


  1. ^ White, John H. (1985) [1978]. The American Railroad Passenger Car. Baltimore, MD: Johns Hopkins University Press. p. 177. ISBN 0801827434. 
  2. ^ Staufer, Alvin (1968). Pennsy Power II: Steam Diesel and Electric Locomotives of the Pennsylvania Railroad. Staufer. pp. 168–193. ISBN 0944513050. 
  3. ^ http://www.trainsarefun.com/lirr/gasturbinecars/gasturbinecars.htm


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パイオニアIII

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 17:09 UTC 版)

鉄道車両の台車史」の記事における「パイオニアIII」の解説

汽車製造エコノミカルトラックはじめとする空気ばね台車開発行っていたのと同時期、アメリカバッド社 (The Budd Company) でも空気ばね使用する1自由度系軽量構造台車研究開発進められていた。 当初革新的技術導入した製品パイオニア (Pioneer) の名を冠するバッド社伝統則ってパイオニアIII (Pioneer III)と命名され軽量構造オールステンレス客車1956年)に採用され、更にこの構造援用したペンシルバニア鉄道向け近郊電車シルバーライナーI」などにも同系機種が納入されたこの台車シリーズは、1959年バッド社技術提携契約結んで同社特許技術ライセンス供与受けられるようになった東急車輛製造によって日本もたらされ東京急行電鉄7000系初代)1962年)に装着されたTS-701 (PIII-701) より各社への供給開始された。 このパイオニアIII台車特徴以下の通り。 軸箱は防振ゴムによる緩衝リングを介して固定される左右の側は、V字形のトランサム(横梁)を向かい合わせにして噛み合わせ心皿挟んでX字状に組み合わせて中心ピン位置決めし、左右位置関係のねじれに対応する枕ばねはダイレクトマウント方式の上置かれ牽引力車体を結ぶボルスタアンカー中心ピンから心皿、トランサムを介して伝達される基礎ブレーキ装置放熱性フラット対策有利なディスクブレーキとする。 元のパイオニアIII台車標準軌向けのため、軌道中心から軸端へ順に駆動装置、側車輪ブレーキディスクとなっている。これを狭軌向けに、駆動装置車輪、側ブレーキディスク変更する。 この台車メンテナンスフリー軽量化重視して設計されている。摺動部品がほぼ心皿側受限られ、それさえ低摩擦係数テフロン材を摺動面に貼り付けて注油必要性排除しており、各車輪基礎ブレーキ装置ユニット化して実装するディスクブレーキ採用合わせ極力保守の手かからない設計とされている。この台車はTS-701で自重が4.5tと非常に軽いため、その構造からばね間重量実質的にばね下重量に近い扱いとなることを考慮しても、軌道保守面において十分メリットのある設計であった。 もっとも、高速走行時蛇行動対す研究アメリカにおいてもまだ不十分な状況設計されたため、ブレーキユニットを避けるように高い位置取り付けられボルスタアンカー蛇行動抑えられないという重大な問題が、導入各社での高速運転時に表面化したアメリカ一部鉄道ではボルスタアンカー支持腕を継ぎ足して作用点引き下げるという対応をとっており、東京急行電鉄でも試験的にデハ7042において同様の改造実施した。しかし、蛇行動抑止効果がある一方で継ぎ足したボルスターアンカーに生じ応力過大になることが判ったため、この1両に留まっている。 なお、この蛇行動については小田急電鉄4000形向けTS-706で設計改善図られた。具体的には、側そのものをかつての釣り合い式台車の釣り合いのように緩やかな弓形として側の各ブレーキユニット取り付け位置引き下げることでボルスタアンカーとの干渉避けて作用点下げ、更にボルスタアンカーとの連結棒を従前より太いものとした。また、これに続く東京急行電鉄7200系用TS-707と同8000系用TS-708では、電動車へのブレーキ負担回生ブレーキ常用転嫁することを前提に、ブレーキディスクシングルローターの上車輪間に移動することでボルスタアンカーとの干渉避けて作用点下げている。 こうしてパイオニアIII台車バッド社とのライセンス契約制約中でも着実に改良重ね東急車輛製造車両納入していた東京急行電鉄小田急電鉄京王帝都電鉄南海電気鉄道狭軌私鉄4社に対して合計383両分納入された。うち小田急では機器流用車である4000形使用されたことから、同一台車カルダン駆動吊り掛け駆動混在する稀な台車になっている。 だが、この台車には蛇行動以外にも乗り心地問題があった。 同様に軸ばね廃止して軸箱を包む防振ゴムによる弾性支持でこれを代用した汽車製造エコノミカル台車でも、初期設計グループでびびり振動問題となったとりわけ東急では7000系営団(現・東京地下鉄日比谷線乗り入れ用に使用されたため、住友金属工業製のミンデンドイツ台車S型ミンデン台車といった、軸ばね備え通常の2自由度台車装着する他社各形式比較されることになり、より深刻な問題になったこの後東急7200系では、電動車については大出化した主電動機の装困難さ理由として通常の押しブレーキシュー備えた軸ばね台車 (TS-802) への変更が行われたが、付随台車については廉価かつ軽量なパイオニアIII (PIII-707) の採用継続した。この構成は続く8000系にも踏襲された。 加えて決定的な問題となったのが、軸重抜けによる競り上がり脱線であった。この現象はパイオニアIIIを装着する車両のみで編成組んで走行する場合には表面化しなかったが、ばね特性硬い軸箱支持機構備えた台車装着した車両併結した特定条件下で惹起し脱線事故小田急電鉄繰り返し発生した具体的には、パイオニアIII (TS-706) を装着する4000形と、軸距が2,500mmと長く乗車率300%を前提にばねを意図的に硬くした軸ばね台車である国鉄DT13を装着する1800形併結した場合で、1973年4月19日5月2日続けて発生したことから深刻な問題であると見なされた。 これらの脱線事故については、事故時と条件揃えて実際車両用いた再現実験が行われ、小田急電鉄社外識者による脱線事故調査委員会での検証原因究明作業が行われた。その結果、これらの事故低速時におけるパイオニアIIIの浮き上がりによる脱線原因判断された。これにより、事実上欠陥台車烙印押された形となったパイオニアIII台車発展の道は閉ざされることになり、以後南海電鉄6100系用PIII-710(1968年設計)を最終形式として日本におけるパイオニアIII台車の各私鉄での新規採用途絶えた。 もっとも、この問題小田急電鉄場合、パイオニアIII装着車とDT13装着車併結しない限り発生しなかったため、事故発生後4000形を他系列混用せず限定運用とし(ただ1回例外除き)、編成一端の制御車台車軸ばね式の一般型振り替えた上で線路車輪踏面管理などを徹底するという対策を講じることで、回避図られた。これにより、4000形機器更新完了でパイオニアIII台車全数淘汰され1988年まで無事故でこの台車使用し続けることができた。 また、南海電気鉄道においても、やはりばね特性線路方向硬い板ばねを軸箱の弾性支持案内用いるミンデンドイツ台車装着する車両併用していたため、この競り上がり脱線発生警戒されたため、これら2種台車装着車が完全に分離されるように車両運用管理徹底された。その甲斐あって、こちらも機器更新でパイオニアIIIが全数廃却される2009年まで同種の脱線事故発生させることなくこの台車使用し続けることができた。 もっとも、それは車両運用制約生じ結果として予備確保などの点、ひいてはコスト面でかえって不利になるということであり、本来1自由度系台車期待され経済性の点では本末転倒であって増して1990年代入って一部形式国鉄台車使用していた西武鉄道など採用のしようもなく、日本におけるパイオニアIII台車系譜はここで途絶えた

※この「パイオニアIII」の解説は、「鉄道車両の台車史」の解説の一部です。
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