ボルスタアンカー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/13 06:17 UTC 版)
ボルスタアンカー(英: bolster anchor)は、鉄道車両の台車を構成する部材のひとつである。枕梁(まくらばり、ボルスタ)を有する台車に用いられるもので、上下動を吸収する枕ばねに設けられ、台車の牽引力およびブレーキ力の伝達や、車体との間の旋回剛性付与といった機能を果たす[1]。
注釈
- ^ ボルスタレス台車では、枕ばねに横方向変形能力の大きなダイヤフラム型空気ばねや低横剛性空気ばねを採用している。これらは、水平面内の許容変異量が従来のベローズ型空気ばねと比較して格段に大きく、この特性を用いて枕ばねに台車の旋回性能を与えている。
- ^ 揺れ枕式台車の場合、古くは荷重支持はその大半を心皿が受け持ち、側受は車体との間に数mmの隙間を設け、曲線通過等による車体傾斜時の支持にのみ用いる、心皿支持方式と呼ばれる方式が一般的に行われていた。しかしながら、軽量化の研究が進み荷重を枕ばねに近い両側部で受けた方が部材断面の縮小による軽量化に有利であることが明らかとなり、また高速走行時の蛇行動についても側受の摺動面の摩擦によって抑止が可能であることが明らかとなった。このため、高速台車の研究が進展した1950年代後半以降、特に日本の鉄道では荷重を側受に分担させる側受支持方式への移行が進んだ。
- ^ 一般的には可動ピンを使用する。[要出典]現在ではただし、一部の私鉄ではこのピン構造を採用せず、上下の支持板にそれぞれに丸い穴を空けてそこにボルスタアンカー本体となる腕部を通し、支持板の前後から防振ゴムブッシュとナットで固定する方式が採用されている。こちらはボルスタアンカー本体の固定・支持に用いられるゴムブッシュの弾性変形により枕ばねの上下動が抑制されつつも許容される。そのためこの方式は京阪・京成といった比較的曲線の多い軌道条件の私鉄を中心に現在も継続採用されている。
- ^ 東急5000系電車 (初代)・東急5200系電車に装着。日本におけるインダイレクトマウント台車の最初期例であるが、同時に中心ピンのみで車両の重量を支える1点支持を止め、常時側受が心皿と共に荷重を負担する3点支持に移行した最初期の台車の一つでもある。
- ^ 下の写真の通り、小田急ロマンスカーのような連接車(連接部)では、必然的にインダイレクトマウント構造となる。
出典
- ^ a b c d ここまできた!鉄道車両 p.114
- ^ 鉄道車両メカニズム図鑑 p.212
- ^ 図解・鉄道の科学 p.78
- ^ 鉄道車両メカニズム図鑑 pp.214-215
- ^ a b 電車基礎講座 p.117
- ^ 図解・鉄道の科学 p.36
- ^ 鉄道車両技術入門 p.12
- ^ 図解・鉄道の科学 p.37
- ^ 鉄道車両メカニズム図鑑 pp.220-221
- ^ “東京モノレール、複数車両で部品に亀裂 平日朝は当面減便”. 産経ニュース (2022年6月1日). 2022年6月1日閲覧。
- ^ ここまできた!鉄道車両 p.113
- ^ a b 鉄道車両メカニズム図鑑 p.220
- ^ a b c 電車基礎講座 p.128
- ^ 電車基礎講座 p.129
- ^ 電車基礎講座 p.126
- ^ 鉄道総合技術研究所. “ボルスタアンカ【車両の】 ぼるすたあんか”. 鉄道技術用語辞典. 2015年2月14日閲覧。
- ^ 図解・鉄道の科学 p.35
- ^ 鉄道総合技術研究所. “ボルスタアンカ受け ぼるすたあんかうけ”. 鉄道技術用語辞典. 2015年2月14日閲覧。
- ^ 鉄道総合技術研究所. “揺れリンク【台車の】 ゆれりんく”. 鉄道技術用語辞典. 2015年2月14日閲覧。
- ^ 鉄道車両メカニズム図鑑 p.215
- ^ a b 電車基礎講座 p.130
- ^ 鉄道のテクノロジー アーカイブスVol2 pp.34-35
- ^ 図解・鉄道の科学 p.39
- ^ ここまできた!鉄道車両 p.115
ボルスタアンカー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/02 01:42 UTC 版)
上の欠点を克服するものとして登場したのがボルスタアンカーである。ボルスタアンカーは、枕ばねの上端・下端を前後方向に拘束し、牽引力やブレーキ力を伝達するもので、その他の動きは拘束しない。スイングハンガー方式では上揺れ枕と台車枠の間に、インダイレクトマウント方式ではボルスタと台車枠の間に設けられる。詳細はボルスタアンカー#ボルスタアンカーのバリエーションを参照されたい。
※この「ボルスタアンカー」の解説は、「鉄道車両の台車」の解説の一部です。
「ボルスタアンカー」を含む「鉄道車両の台車」の記事については、「鉄道車両の台車」の概要を参照ください。
- ボルスタアンカーのページへのリンク