原因究明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/10 07:48 UTC 版)
「ヒントン列車衝突事故」の記事における「原因究明」の解説
第413貨物列車が信号を無視したことが最たる原因とされたが、機関士A・機関助士Bともに死亡したことから、信号無視の理由を明確にすることは不可能であった。ただし、遺体の検死によってAが薬物とアルコールを摂取した状態で業務に就いていたことが明らかとなり、またAはアルコールとタバコの過剰摂取によって健康状態が著しく悪化しており、心臓発作や脳卒中を発症するリスクが高まっていたことも判明した。 その後、事故調査委員会による調査が進められ、調査を担当したアルバータ州高等裁判所(女王座裁判所、en:Court of Queen's Bench of Alberta)に所属する検事は計56日にわたって実施された公聴会において、延べ150人の当事者から事情聴取し、証拠を収集した。調査報告書は1987年1月22日に公開され、その中でカナダ国鉄における安全を軽視した運行体制や乗務員の健康管理体制の杜撰さが浮き彫りとなった。担当検事はそのような体質を指して"Railroader culture"(鉄道員の悪しき文化)と厳しく糾弾した。 それによると、カナダ国鉄が運行する貨物列車においては、乗務員交代に際して運行時分短縮と燃料費削減を目的として列車を完全に停止させず、超低速で走行する列車から乗務員が飛び降り、交代要員が飛び乗ることによる乗務員交代が常態化していたことが明らかとなった。本来乗務員交代に際して義務付けられているブレーキ動作試験は無論行われておらず、カナダ国鉄経営陣はこのような行為を把握していなかったと主張したが、報告書はカナダ国鉄の管理責任を問うとともに、この慣習が安全規則を無視した違反行為であると指摘した。 機関士Aについては、薬物の副作用による居眠り、または心臓発作や脳卒中を発症するなどして、事故当時は意識を失った状態であった可能性が高いと結論付けられた。その上で、Aの健康状態は極めて深刻であり列車の乗務に耐えうる状態ではなかったにも関わらず、カナダ国鉄による乗務員の健康管理体制が杜撰であったことから、Aの健康状態を正確に把握できず通常通り乗務させたことが事故に繋がったと断じた。 また、機関車に装備される安全装置の不適切な取り扱いが指摘された。機関車には「デッドマンペダル」と呼称される、走行中は常時踏下することが求められる安全装置(デッドマン装置)が装備されていた。この装置は居眠りなどによってペダルから足が外れると、アラームが鳴動し数秒後に自動的にブレーキが動作する機能を備える。しかし、多くの乗務員はペダルの常時踏下を強いられることを厭い、ペダル上に重量物を置くことによって、安全装置の機能を無効化する行為が常態化していたことが明らかとなった。もっとも、本事故においては牽引機関車が大破したため、Aがそのような不正手段を用いていたことを証明するには至らなかった。 当時、一部の機関車には、一定時間運転操作を行わないとアラームが鳴動し、そのまま放置するとブレーキがかかり、運転台に設置されたボタンを押下すると警告状態をリセットできる、より高度かつ機関士への負担の少ない安全装置(RSC、緊急列車停止装置)が従来の常時ペダル踏下式安全装置に替わって導入されつつあった。しかし、第413貨物列車の2両目の機関車にはRSCが搭載されていたものの、先頭機関車には搭載されていなかった。このことを踏まえ、労務環境改善のためRSCを搭載した機関車を先頭機関車として運用することをカナダ国鉄に対して勧告した。 さらに、報告書は第413貨物列車における機関車の乗務員A・Bと緩急車乗務の車掌Cとの意思疎通が不十分であったことを要因の一つに挙げた。ハーグウェン信号場通過に際しては、機関士Aより信号機が進行現示であることがCへ無線連絡されていたが、デールハースト信号場手前の信号機通過に際してはAより連絡がなかった点を指摘した。車掌の業務として列車が危険な状況に陥った場合は車掌弁を操作して非常ブレーキを動作させる責務があることを踏まえ、列車が制御不能な状態にあったものと判断し得なかったか否かを聴取に際してCに確認したところ、Cは体感速度を実速度より遅く感じていたことを理由として制御不能な状態にあるとは思わなかったと回答した。 また、Cは事故発生直後に列車運行管理担当者へ自ら無線連絡を行ったにも関わらず、2台の無線機を用いて無線チャンネルを変えつつAへ通信することを試みたがC側の無線機の不調によって通信が不可能であったと、矛盾する証言をした。もっとも、報告書は仮にCの証言が事実であったとしても、異常を感知して列車を停止させるべき状況を看過したという別の誤った判断を下したものである、と結論付けた。
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原因究明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 15:16 UTC 版)
墜落機のエンジンは事故当日にアメリカ軍によって回収され、10月にはアメリカ本国へ送られたことが判明した。事実を知った横浜市長飛鳥田一雄は抗議声明を発表、時のアメリカ大統領ジミー・カーター宛に電報を打つも返還までには1ヶ月を要した。 原因調査は日米委員会の事故分科委員会によって行われたとはいえ、日本独自の調査は行えなかった。1978年1月、事故分科委員会は日米委員会に調査結果を報告、原因はエンジンの組み立てミスで乗員に過失はないと結論づけた。このミスはエンジンが搭載されてからは点検で発見することが無理であり、整備側の責任問題にも触れなかった。日本側、特に警察は業務上過失責任を明確にすべきと主張したが、事故分科委員会は原因調査と対策が目的で責任追及は領域外であるとして、アメリカ側の主張を了承せざるを得ない状況であった。
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