生命の樹 (旧約聖書)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/03 05:22 UTC 版)
構成
三種の無(アイン)
- アイン(Ain)は「無」と訳され、0と表記される。
- アイン・ソフ(Ain Soph)は「無限」と訳され、00と表記される。
- アイン・ソフ・オウル(Ain Soph Aur)は「無限光」と訳され、000と表記される。
アインからアイン・ソフが生じ、アイン・ソフからアイン・ソフ・オウルが生じた。アイン・ソフ・オウルから後述のケテルが流出した。
十個の球体(セフィラ)
右図の天頂の白丸のセフィラ(ケテル)から右下の灰色丸(コクマー)、左の黒丸(ビナー)、右下の青丸(ケセド)、左の赤丸(ゲブラー)、右下の黄丸(全体の中央でティフェレト)、右下の緑丸(ネツァク)、左の橙丸(ホド)、右下の紫丸(イェソド)を経て、いわゆる、ジグザグに進み、最終の虹色丸(マルクト)のセフィラへと至る。なお、第3から第4のセフィラの間に隠されたダアト(右図では点線丸)というセフィラがある。
- ケテル(Keter、王冠と訳される)
- 第1のセフィラ。思考や創造を司る。数字は1、色は白、宝石はダイアモンドを象徴する。惑星は海王星を象徴し、王の横顔で表される。神名はエヘイエー。守護天使はメタトロン。同時に最後の剣として称されるマルクトと通じ合っている。
- コクマー(Chokhmah、知恵と訳される)
- 第2のセフィラ。数字は2、色は灰色、宝石はトルコ石を象徴する。惑星は天王星を象徴し、至高の父と呼ばれ、男性原理を象徴する。神名はヨッド。守護天使はラツィエル。
- ビナー(Binah、理解と訳される)
- 第3のセフィラ。数字は3、色は黒、宝石は真珠、金属は鉛、惑星は土星を象徴する。至高の母と呼ばれ、女性原理を象徴する。成熟した女性で表される。神名はエロヒム。守護天使はザフキエル。
- ケセド(Chesed、慈悲と訳される)
- 第4のセフィラ。ケセドはゲドゥラーとも呼ばれる。数字は4、色は青、金属は錫、図形は正四面体、宝石はサファイア、惑星は木星を象徴する。王座に座った王で表される。神名はエル。守護天使はザドキエル。
- ゲブラー(Gevurah、峻厳と訳される)
- 第5のセフィラ。数字は5、色は赤、図形は五角形、金属は鉄、宝石はルビー、惑星は火星を象徴する。天空の外科医と呼ばれることもある。神名はエロヒム・ギボール。守護天使はカマエル。
- ティファレト(Tiphereth、美と訳される)
- 第6のセフィラ。生命の樹の中心に位置している。数字は6、色は黄、金属は金、惑星は太陽(太陽も惑星と見なす)を象徴する。神名はエロハ。守護天使はミカエル。
- ネツァク(Netzach、勝利と訳される)
- 第7のセフィラ。数字は7、色は緑、金属は銅、宝石はエメラルド、惑星は金星を象徴する。全裸の女性で表される。神名はアドナイ・ツァバオト。守護天使はハニエル。
- ホド(Hod、栄光と訳される)
- 第8のセフィラ。数字は8、色は橙色、金属は水銀、惑星は水星を象徴する。神名はエロヒム・ツァバオト。守護天使はラファエル。
- イェソド(Yesod、基礎と訳される)
- 第9のセフィラ。アストラル界を表す。数字は9、色は紫、金属は銀、惑星は月(月も惑星と見なす)を象徴する。裸の男性で表される。神名はシャダイ・エル・カイ。守護天使はガブリエル。
- マルクト(Malkuth、王国と訳される)
- 第10のセフィラ。物質的世界を表す。数字は10、色はレモン色・オリーブ色・小豆色・黒の四色、宝石は水晶、惑星は地球を象徴する。王座に座った若い女性で表される。神名はアドナイ・メレク。守護天使はサンダルフォンとされるが、シェキナ(メタトロンと対をなす神の女性的顕現)であるとする意見もある。
- ダアト(Da'at、知識と訳される)
- 「知恵」と「理解」が結びつく場所に「知識」が隠されていることから考えられた[11]。本来はセフィラではないが、隠されたセフィラであるという説、または他のセフィラの完全体・共有体という説もある。ダートと表記されることもある。
- 惑星は冥王星を象徴する。他のセフィラとは異なる次元の存在であり、至高の三角とその下位存在を隔てている深淵(アビス)にあるものとされる。隠された意味は悟り、気づき、神が普遍的な物に隠し賢い者は試練として見つけようとした「神の真意」という意味である。2006年に冥王星が惑星から準惑星に区分されたことは、ダアトとの照応の合理性を示したものとして受け止められている。
二十二本の小径(パス)
右に記載しているのは、対応する大アルカナ。
- アレフ (ケテル → コクマー)愚者
- ベート (ケテル → ビナー)魔術師
- ギーメル (ケテル → ティファレト)女教皇
- ダレット (コクマー → ビナー)女帝
- ヘー (コクマー → ティファレト)皇帝
- ヴァヴ (コクマー → ケセド)教皇
- ザイン (ビナー → ティファレト)恋人
- ヘット (ビナー → ゲブラー)戦車
- テット (ケセド → ゲブラー)力
- ヨッド (ケセド → ティファレト)隠者
- カフ (ケセド → ネツァク)運命の輪
- ラメド (ゲブラー → ティファレト)正義
- メム (ゲブラー → ホド)吊された男
- ヌン (ティファレト → ネツァク)死神
- サメフ (ティファレト → イェソド)節制
- アイン (ティファレト → ホド)悪魔
- ペー (ネツァク → ホド)塔
- ツァディー (ネツァク → イェソド)星
- コフ (ネツァク → マルクト)月
- レーシュ (ホド → イェソド)太陽
- シン (ホド → マルクト)審判
- タヴ (イェソド → マルクト)世界
三つの柱
- ビナー、ゲブラー、ホドからなる左の柱は峻厳の柱と呼ばれる。
- コクマー、ケセド、ネツァクからなる右の柱は慈悲の柱と呼ばれる。
- ケテル、ティファレト、イェソド、マルクトからなる中央の柱は均衡の柱と呼ばれる。
三つ組
- ケテル、コクマー、ビナーからなる三角形は至高の三角形と呼ばれる。ロゴスの三角形と呼ばれることもある。
- ケセド、ゲブラー、ティファレトからなる三角形は倫理的三角形と呼ばれる。
- ネツァク、ホド、イェソドからなる三角形は星幽的三角形と呼ばれる。魔術的三角形と呼ばれることもある。
- ^ a b c Joseph ben Abraham Gikatilla 大英博物館
- ^ a b c ギカティラ (13世紀)、リキウス訳 (1516年)『光の門』
Paulus Riccius (1516) Portae Lucis... Scribd - ^ 創世記(口語訳)#3:22
- ^ 創世記(口語訳)#3:24
- ^ Athanasius Kircher (1653). Oedipus Aegyptiacus Vol II Part I. p. 289 フランス国立図書館
- ^ アタナシウス・キルヒャー『エジプトのオイディプス』(1652-55年)
Athanasii Kircheri e Soc. Iesu, Oedipus Aegyptiacus インターネットアーカイブ - ^ ロバート・フラッド『両宇宙誌』(1617-21年)
Utriusque cosmi maioris scilicet et minoris metaphysica, physica atque technica historia インターネットアーカイブ - ^ Flower of Life. 1. Light Technology Publishing. (1999). ISBN 1891824171
- ^ a b c 箱崎総一『カバラ:ユダヤ神秘思想の系譜』
- ^ Shaarei Orah - Sefaria
- ^ a b c ダイアン・フォーチュン『神秘のカバラー』
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