文化庁 文化庁の概要

文化庁

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/16 05:53 UTC 版)

日本行政機関
文化庁
ぶんかちょう
Agency for Cultural Affairs
文化庁京都庁舎
役職
長官 都倉俊一[1]
次長
  • 森田正信
  • 合田哲雄
組織
上部組織 文部科学省
内部部局
  • 政策課
  • 企画調整課
  • 文化経済・国際課
  • 国語課
  • 著作権課
  • 文化資源活用課
  • 文化財第一課
  • 文化財第二課
  • 宗務課
  • 参事官(芸術文化担当)
  • 参事官(生活文化創造担当)
  • 参事官(文化拠点担当)
  • 参事官(生活文化連携担当)
審議会等
特別の機関 日本芸術院
概要
法人番号 6000012060002
所在地 602-8550
京都府京都市上京区藪之内町85番地4
定員 289人[2]
年間予算 1060億9823万7千円[3](2024年度)
設置根拠法令 文部科学省設置法
設置 1968年昭和43年)6月15日
前身
ウェブサイト
www.bunka.go.jp
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概要

文部科学省設置法に示された任務を達成するため、芸術創作活動の振興、文化財の保護、著作権等の保護、国語の改善・普及、国際文化交流の振興、宗教に関する事務などを所掌する。文化庁長官を長とし、内部部局として9課および参事官を置くほか[4]審議会として文化審議会および宗教法人審議会を、特別の機関として日本芸術院を置く。

定期刊行の広報誌として『月刊文化財』を発行している。発行主体は第一法規株式会社であり、文化庁は監修に携わっている。かつて出版されていた『文化庁月報』はWeb刊行に移った後、『ぶんかる』にリニューアルされた。また、宗務行政については宗務課から『宗務時報』が、国内宗教の調査報告として『宗教年鑑』が発行されている。

庁舎は京都府庁4号館(本館)・3号館(新行政棟)及び中央合同庁舎第7号館旧文部省庁舎にある。京都府へは2023年3月27日から移転した[5]2004年1月から2008年1月にかけては、中央合同庁舎第7号館建設整備事業のため、千代田区丸の内の旧三菱重工ビルに仮移転していた。2018年9月までの庁舎表札の「文化庁」の文字は、書道家成瀬映山揮毫したものである[6]

歴史

かつて、出版・著作権行政の所管官庁は内務省警保局であった[7]。その編成は書記室、警務課、保安課(庶務係・文書係・右翼係・労働農民係・左翼係・内鮮係・外事係)、図書課(庶務係・著作権出版権登録係・検閲係・企画係・納本係・保安係・調査室)となっており、出版・著作権行政が検閲行政と一体に処理されていた[7]

太平洋戦争での日本の敗戦により、連合国による占領統治が始まると、1945年10月4日に、連合国軍最高司令官総司令部 (GHQ) は人権指令を発令し、特別高等警察と共に出版警察も廃止されることになった。早くも1945年10月13日には、内務省警保局検閲課が廃止され、出版に関する事務は、行政警察課に移管された。1947年5月10日の内務省官制及び文部省官制の一部改正(政令第39号)により、内務省官制第1条に規定する同省の権限から「出版、著作権に関する事務」を削り、同権限を文部省に移管することが決定した。これにより内務省警保局公安第二課(旧検閲課)は、業務から検閲が取り除かれて、文部省社会教育局文化課(後の著作権課)として再出発することになった[7]

1966年5月1日、文部省の調査局が廃止され、旧調査局の国語課、宗務課、国際文化課と社会教育局の芸術課、著作権課を統合して、文部省の内部部局として文化局が設置された。

1968年6月、当時の文部省の内部部局であった文化局と外局の文化財保護委員会を統合し、文部省外局として文化庁が発足した。2001年の中央省庁再編により、文部科学省の外局となるとともに、施設等機関であった国立博物館や国立美術館などを独立行政法人として分離した。

政府機関においては、高度経済成長期より東京一極集中の是正の対案に地方移転が挙げられていたが、文化庁は2023年、地方創生政策に基づき京都への移転を行った[8]。中央省庁としては明治以来初めての地方移転となった。

沿革

  • 1873年11月10日 - 内務省が設置される。
  • 1874年1月 - 司法省から内務省に警保寮が移管される。
  • 1875年6月28日 - 讒謗律新聞紙条例を公布・施行。
  • 1881年1月14日 - 警視庁の再設置に伴い、内務省の警視局を警保局に改編。
  • 1893年4月14日 - 出版法を制定。
  • 1909年5月6日 - 新聞紙法を制定。
  • 1941年12月13日 - 新聞事業令を制定。
  • 1945年10月6日 - 新聞事業令が廃止される。
    • 10月13日 - 内務省警保局検閲課(旧図書課)検閲係が廃止される。
  • 1947年6月10日 - 内務省官制の一部改正(政令第39号)により、内務省警保局検閲課(旧図書課)は、文部省社会教育局文化課として再編される。
    • 7月30日 - 文部省社会教育局に著作権室が設置され、間もなく文部省管理局著作権課となる。その後、再び社会教育局に戻り、文部省社会教育局著作権課となる。
    • 12月31日 - 内務省が解体・廃止される。
  • 1949年5月24日 - 出版法と新聞紙法が廃止される。
  • 1950年8月29日 - 文化財保護法施行。文部省社会教育局の文化財保存課を廃止し、同省の外局として文化財保護委員会を設置。
  • 1966年5月1日 - 文部省の内部部局として文化局を設置。
    調査局が廃止され、旧調査局の国語課、宗務課、国際文化課と、社会教育局の芸術課、著作権課とを統合して設置した。調査局のその他の所掌事務は大臣官房(調査統計事務)と大学学術局(留学生事務)に移管した。
  • 1968年6月15日 - 文化局と文化財保護委員会を統合し、文部省の外局として文化庁を設置。
    佐藤栄作首相の強力な指示により、各省庁が一律に1局を削減する措置が断行され、その一環として実施された。他省庁が局の統廃合や部への格下げなどで対応する中、文部省が外局である「庁」を新設するということに対して、疑問視する意見も見られた。
  • 1974年6月18日 - 文部省の内部部局として学術国際局が新設されたことにより、文化庁の国際文化課は同局に移管。
    大学学術局と日本ユネスコ国内委員会事務局を再編して、大学局と学術国際局を新設。日本ユネスコ国内委員会の事務局機能は学術国際局に置かれたユネスコ国際部が引き継いだ。
  • 1998年7月1日 - 著作権課を文化部から長官官房に移管し、長官官房審議官(著作権担当)を設置。
  • 2001年1月6日 - 中央省庁再編により、文化庁は文部科学省の外局となる。
    また、文化財の保護だけでなく活用にも目を向けた施策を推進するという趣旨で、文化財保護部を文化財部に改称。
    • 12月7日 - 文化芸術振興基本法が施行される。
  • 2017年4月1日 - 京都移転の先行拠点として地域文化創生本部京都市に設置。
  • 2018年10月1日 - 長官官房および部が廃止され、次長2名、政策課や企画調整課、文化経済・国際課など9課・2参事官に再編。
  • 2020年4月1日 - 参事官(文化観光担当)・参事官(食文化担当)を設置。
  • 2023年5月15日 - 京都庁舎へ長官、4課、1参事官が移転。2次長、5課、3参事官は東京庁舎に存置[注釈 1]

注釈

  1. ^ 次長2名のうち1名と5課のうち宗務課は、旧統一教会問題などの業務に一定の区切りがついた後に移転を予定する。
  2. ^ なお、この第2次安倍改造内閣第3次安倍内閣にあたる時期の文部科学大臣政務官2名のうちの1人は山本朋広であった。

出典

  1. ^ a b c “文化庁長官に作曲家の都倉俊一氏 「UFO」「どうにもとまらない」などヒット曲多数”. サンケイスポーツ. 産経デジタル. (2021年3月5日). https://www.sanspo.com/article/20210305-2GGJRWWHARKGNKWGOUSQIJ6DAE/ 2021年4月28日閲覧。 
  2. ^ a b 文部科学省定員規則(平成13年文部科学省令第17号)(最終改正:令和6年文部科学省令第15号) - e-Gov法令検索
  3. ^ a b 令和6年度一般会計予算 (PDF) 財務省
  4. ^ 文化庁の新組織について”. 令和元年度 都道府県・指定都市文化行政主管部課長会議 配布資料. 2020年4月4日閲覧。
  5. ^ 参考資料4 文化庁の京都移転について”. 第23期文化審議会第1回総会(第92回). 2023年5月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年5月27日閲覧。
  6. ^ よくある御質問 - その他手続き・文化庁に関すること”. 文化庁. 2018年3月12日閲覧。
  7. ^ a b c 西本肇 『戦後における文部行政機構の法制と環境(二)』 北海道大學教育學部紀要 1986年2月号 p.15
  8. ^ 徳田貴子「地方創生における政府関係機関移転の取組」『立法と調査』第394号、参議院事務局、2017年11月、57-68頁。 
  9. ^ a b c JLPP事務局・文化庁「JLPPとは | JLPP 現代日本文学の翻訳・普及事業
  10. ^ 文部科学省設置法の一部を改正する法律等の施行(文化庁の組織再編)及び文部科学省組織令の一部を改正する政令の施行(総合教育政策局及び文教施設企画・防災部の設置)について(通知)”. 2019年5月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月3日閲覧。
  11. ^ 指定職俸給表の適用を受ける職員の号俸の定め並びに職務の級の定数の設定及び改定に関する意見の申出人事院(2018年3月29日)
  12. ^ 宗教法人審議会の議事録と名簿 - 文化庁ホームページ「宗教法人審議会」。
  13. ^ 諸外国における文化政策等の比較調査研究事業 報告書』シィー・ディー・アイ、2018年3月、13-24頁https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/pdf/r1393024_04.pdf 
  14. ^ 一般職国家公務員在職状況統計表 (PDF) (令和5年7月1日現在)
  15. ^ 令和5年度 年次報告書(公務員白書) 「第1編第3部第6章:職員団体 - 資料6-2;職員団体の登録状況。2023年3月31日現在。 (PDF)
  16. ^ 職員名簿(文部科学省) 文部科学省
  17. ^ “文化庁長官に宮田亮平氏”. 共同通信. (2016年2月26日). オリジナルの2016年4月19日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160419061144/http://this.kiji.is/75738466735228404 2016年2月26日閲覧。 
  18. ^ SANKEI DIGITAL (2022年7月29日). “旧統一教会の名称変更「政治家の働きかけない」 末松文科相”. 産経ニュース. 2022年7月31日閲覧。
  19. ^ 日本放送協会. “旧統一教会の名称変更 末松文科相 “手続き問題なかった””. NHKニュース. 2022年7月31日閲覧。
  20. ^ “前川喜平氏が明かす「統一教会」名称変更の裏側【後編】「語るに落ちる」下村博文氏 反論は肝心な部分の説明を避けている”. 日刊ゲンダイDIGITAL. (2022年7月28日). https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/308659 
  21. ^ “映画制作の補助金、返納ゼロ 文化庁などに改善要求”. 朝日新聞. (2013年10月19日). オリジナルの2014年7月11日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140711235358/http://www.asahi.com/culture/update/1019/TKY201310180539.html 2013年10月20日閲覧。 
  22. ^ ダウンロード違法化の対象範囲の見直し」に関する自由民主党文部科学部会・知的財産戦略調査会合同会議(平成31年2月22日)配布資料の検証レポート〔基本的な考え方・Q&A関係〕
  23. ^ ダウンロード違法化の対象範囲の見直し」に関する自由民主党文部科学部会・知的財産戦略調査会合同会議(平成31年2月22日)配布資料の検証レポート〔文化審議会著作権分科会意見概要〕
  24. ^ 「賛成意見を水増し」DL違法化、専門家が文化庁を批判 朝日新聞 2019年3月4日付
  25. ^ a b 「文化遺産オンライン」のリニューアル”. 文化庁. 2023年9月12日閲覧。






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