各務原市
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概要
濃尾平野の北部に位置し、岐阜地区に含まれる。北部と東部は標高200〜300メートルの山を境に関市、坂祝町、西は岐阜市、南西部は、笠松町と岐南町に隣接している。また、南は木曽川が東西に県境となって流れている。中山道の宿場町(鵜沼宿)として栄え、近現代には自衛隊岐阜基地などに関連する工業都市として発展した。今日では岐阜市や名古屋市のベッドタウンとなっており、人口は岐阜県で岐阜市、大垣市に続いて3番目である[1]。
岐阜大学農学部跡地に造られた各務原市民公園をはじめとする多数の大規模な公園緑地があり、まちづくりの政策として「パークシティ」(公園都市)を掲げている。2005年(平成17年)には「緑の都市賞」内閣総理大臣賞を受賞した[2]。新境川堤の桜並木は全国的にも有名である。
市章・市旗の由来は、各務原市の「各」の字を模式化したものだが、4つの菱形が市発足当時の旧構成町(旧那加町、蘇原町、鵜沼町、稲羽町)の4町を表し、4町が緊密に協力し合い、市の発展に繋げていくという願いを込めて制定された[3]。
市外局番は大半の地域で058(岐阜MA。岐阜市や羽島市、羽島郡、瑞穂市(一部を除く)、本巣市の一部[注釈 1]、本巣郡北方町と同じ)を使っているが[注釈 2]、川島地区は0586(一宮MA[注釈 3]。一宮市や稲沢市の一部と同じ)である。
地理
北部から東部にかけては俗に各務原アルプスと呼ばれる標高200-300mの秩父古生層の砂岩、チャート層山地が広がり、南部を木曽川が流れ、愛知県との県境となっている。市の中心部には標高30~60mの各務原台地が広がり、極めて水はけの良い洪積層の黒ぼく土壌であるため稲作には不向きで、鵜沼宿などの宿場町や街道沿いに街があったほかは、明治期までは大部分が原野であった。名鉄の六軒、二十軒という駅名や、溜め池の苧ヶ瀬池は当時の名残である。明治以降は、このような広大な原野と水はけの良すぎる土壌を生かす形で、軍事基地や演習場、かつては岐阜大学の農学部と工学部がおかれ、機械や紡績の工場、少ない水で成長する人参などの生産が主産業となった。山地は古生代〜中生代のチャートが主体で、堅いチャートが浸食されずに残ったもので、山地が空中写真で“>”という形に褶曲していることが確認できる。鵜沼地域の木曽川の岸からは、ジュラ紀の放散虫化石が豊富に見つかり[4]、“Unuma”と命名された放散虫もあるほどである。
2004年に合併した旧川島町や旧稲羽町の南側は木曽川によって運ばれた沖積層の平地が広がっている。古くから木曽川が氾濫しやすい地域で、洪水が発生するたびに地形が変わる幾つかの川中島で形成されていた。昭和20年代の木曽川上流改修工事でようやく現在の河川流域に定まり、木曽川が3つの流路に分けられ、三派川と呼ばれている。北派川は乗越堤(越流堤)で木曽川本流からは締め切られている。通常時は新境川流路となるが異常増水時は木曽川本流から分流する。南派川は愛知県との県境となっている。地域としては、岐阜地区に分類される。
隣接する自治体
地名
町名
各務原市の地名を参照
地名の表記・発音
市発足から50年以上を経た現在でも、難読市名とされると同時に、この地の表記・発音は一貫していない。市名としては「各務原」(かかみがはら)を採用し、各務原市はこの表記・発音の使用を公共機関・市内企業・市内進出の企業に要請している。名古屋鉄道は各務原線の発音をそれまでの「各務原」(かがみはら)から変更してこれに準じたが、JR東海は現在も駅名に「各務ヶ原」(かがみがはら)を使用している。一方で、岐阜県立各務原高校は「各務原」(かかみはら)としているなど、公共機関ですら一貫していない。
各務原市民や近隣市町の住民の間でも「かかみはら」「かがみはら」「かかみがはら」「かがみがはら」の呼称が使われており、一貫性は無い。
2022年3月7日の岐阜新聞では、発音の詳細な分析が紹介されており、市内の南北で発音が異なるとしている。江戸時代、中山道の交通を通じて外部との接触が盛んだった各務原市南部では関西の濁音文化が反映されて「かがみ」と発音するようになった一方で、北部の集落は「各務村(かかみむら)」という呼称が定着したとしており、南部に位置する「各務ヶ原駅」と北部に位置する「各務原高校」の呼称について整合性がとれるとしている[5]。
また、若者を中心に「みっぱら」と呼ばれることもある。
地名の由来諸説
地名の由来は、古代に鏡作部(かがみつくりべ、銅鏡などの鏡を作る特殊技能集団)がいたことからと言い伝えられている(『各務村史』)。また、別の説では、各務地域のほぼ中央にある村国真墨田神社に鏡作部の祖神である天糠戸命(伊斯許理度売命の父神)が祀られているからとも言われている。いずれにしても、鏡が「かかみ・かかむ」から「各務」となったと言うことである。律令の時代には、「各牟」(この場合は発音は、かかむ)とも書いた[6]。2022年3月7日の岐阜新聞では、「各牟」を名乗った渡来系の豪族を由来としており、鏡作部を由来とする説は「鏡」を当て字にした俗説に過ぎないとしている一方で、日本地名研究所の所長を務めた谷川彰英は、鏡作部を由来とする説は「ほぼ定説になっている」と主張している[7]。
歴史
各務原市発足まで
出典:各務原市教育委員会(編)『各務原市史 通史編 近世・近代現代』、各務原市、1987年、590-593頁。
- 1954年(昭和29年) - 岐阜市及び稲葉郡と羽島郡の10町村で合併し、人口30万人の岐阜市とする計画が立てられる。この町村には現在の各務原市の一部(那加町、更木村など)が含まれていた。
- 1955年(昭和30年)
- 1957年(昭和32年)1月 - 那加町、蘇原町、鵜沼町、稲羽町、芥見村の4町1村で合併し、新市を建設する機運が高まる。
- 1958年(昭和33年)4月1日 - 芥見村が岐阜市に編入される。残る4町での合併の動きが始まる。
- 1957年(昭和32年) - 那加町の住民により那加町の岐阜市への編入の運動が、蘇原町の住民により合併反対の運動が起きる。これらの運動は話し合いなどで収束する。
- 1963年(昭和38年)
- 1月28日 - 那加町、蘇原町、鵜沼町、稲羽町の各町議会で、4町合併を議決する。
- 2月12日 - 岐阜県告示第67号で、各務原市の設置が告示される。
- 4月1日 - 各務原市が発足。
各務原市発足後
出典:“沿革|各務原市公式ウェブサイト”. 各務原市. 2021年9月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年9月11日閲覧。
- 1963年(昭和38年)
- 1965年(昭和40年)1月 - 市庁舎を現位置に移転。建物は岐阜県蚕業試験場の建物を転用。
- 1967年(昭和42年)11月 - 人口7万人を突破
- 1968年(昭和43年) - ライン大橋完成。各務原市誕生前の1925年11月に完成した犬山橋に次いで、当市と愛知県犬山市とを結ぶ2つめの橋である。
- 1969年(昭和44年) - 愛岐大橋完成。当市と愛知県とを結ぶ3つめ(江南市との間では初)の橋である。
- 1973年(昭和48年)3月 - 市庁舎完成
- 1976年(昭和51年)11月 - 人口10万人を突破
- 1986年(昭和61年)3月5日 - 東海北陸自動車道の岐阜各務原IC・美濃IC間が開通(1998年12月13日、東海北陸自動車道が名神高速道路(一宮JCT)に連結)
- 1992年(平成4年)10月 - 人口13万人を突破
- 1993年(平成5年) - 各務原市産業文化センターが完成。
- 1996年(平成8年)3月23日 - かかみがはら航空宇宙博物館(現・岐阜かかみがはら航空宇宙博物館)オープン
- 2000年(平成12年)
- 2004年(平成16年)11月1日 - 羽島郡川島町を編入
- 2006年(平成18年)11月5日 - 神明小網橋完成
- 2008年(平成20年)3月 - 人口15万人を突破
- 2013年(平成25年)
- 3月24日 - 各務原大橋完成。旧市区と川島地区(旧・川島町)とが1本の道で結ばれ、神明小網橋も利用して各務原市役所~江南駅方面へのルートができた。
- 4月 - 市制50周年
- 2021年(令和3年)9月21日 - 市役所新庁舎高層棟が完成[8][9]。
- 2023年(令和5年)11月6日 - 市役所新庁舎低層棟が完成し、新庁舎が全面オープン[10]。
岐阜市 | 関市 | 坂祝町 | ||
岐南町 | 犬山市 | |||
各務原市 | ||||
一宮市 | 江南市 | 扶桑町 |
注釈
出典
- ^ 岐阜県市町村別推計人口・世帯数(平成29年4月1日現在) (PDF)
- ^ https://urbangreen.or.jp/cfgreencity/gc25-01 第25回緑の都市賞・内閣総理大臣賞
- ^ http://www2.city.kakamigahara.lg.jp/reiki_int/reiki_honbun/i314RG00000009.html 各務原市告示第20号
- ^ 西原ちさと, 八尾昭 (2005). “美濃帯犬山地域のジュラ紀中世(Bajocian)放散虫類の群集変遷”. 化石 78: 32-39. doi:10.14825/kaseki.78.0_32 .
- ^ “難読地名「各務原」読み方4種 なぜバラバラに?今も変化「生き物のよう」 | 岐阜新聞Web”. 難読地名「各務原」読み方4種 なぜバラバラに?今も変化「生き物のよう」 | 岐阜新聞Web. 2022年3月7日閲覧。
- ^ http://noukakuken.jp/lecture/lec1501.html 各務原という地形] 濃尾・各務原地名文化研究会
- ^ 谷川 2015, p. 125.
- ^ かがいま|各務原の生活情報・観光・グルメ・小ネタまで。 (2021年9月20日). “9/21(火)から「各務原市役所 来庁者駐車場」が使えないようです。ご利用の際はご注意ください。”. かがいま|各務原の生活情報・観光・グルメ・小ネタまで。. 2022年7月5日閲覧。
- ^ 広報各務原№1400(2021年9月1日発行)
- ^ 広報各務原№1452(2023年11月1日発行)
- ^ 岐阜県選挙管理委員会 市町村長名簿、市町村長・議員任期一覧
- ^ “各務原市議会会議録平成元年第6回定例会-12月07日-02号”. 各務原市議会. 2022年11月14日閲覧。
- ^ everett community college
- ^ http://www.city.kakamigahara.lg.jp/shisei/aramashi/5037/016890.html
- ^ 沿革 岐阜大学工学部、2022年8月3日閲覧
- ^ 沿革 岐阜大学応用生物科学部、2022年8月3日閲覧
- ^ ご当地ソング制作 各務原キムチのイメージソング「キムチの気持ち」 ピアノ教室&音楽スタジオ ピアノニーノ岐阜
- ^ 環境省環境管理局水環境部. “硝酸性窒素による地下水汚染の浄化技術” (PDF). 硝酸性窒素による地下水汚染対策事例集. 2008年6月11日閲覧。
- ^ がん性指摘される「PFAS」岐阜・各務原の水源で検出 国の目標値超え、健康被害の報告なし 岐阜新聞(2023年7月29日)
- ^ PFAS除去で活性炭浄水設備改良、岐阜・各務原市が年内めど。抜本的解決へ10億円新施設検討 岐阜新聞(2023年8月18日)
- ^ PFAS、家庭用井戸からも超過 目標値の最大9倍、中心市街地でも確認「想定外」岐阜・各務原市 岐阜新聞(2023年9月8日)
固有名詞の分類
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