中華民国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 12:51 UTC 版)
行政区分
- 中華民国の公式な行政区分については南京国民政府の行政区分を、台湾地区(政府の実効統治範囲)の行政区分については台湾の行政区分を参照。
概要

中華民国の行政区分は中華民国憲法第11章の条文によって規定されており、第一級行政区分として省と直轄市、蒙古・西蔵の自治区域、及び海南特別行政区[注 8] が1949年時点で定められていた。
だが、この行政区分は南京国民政府が大陸地区を実効支配している時代に規定されたため、国共内戦で中華民国の実効支配区域が台湾地区のみに狭められると、実際の行政実務(地方自治)との整合性が欠如した内容となってしまった[注 9]。そのため、中華民国政府は非効率な行政組織の改善を目的として、1997年の憲法増修条文第四次改正で省が持つ地方自治の権限を実質的に廃止し、省政府の機構を行政院の出先機関として中央政府に組み込んだ。1997年の省政府に対する措置を台湾では「省虛級化」(虚省化)と呼んでおり、これ以降の中華民国で台湾省および福建省は地方行政区分として機能していない。
ただし、憲法増修条文によって省の機能に変更が加えられてはいるものの、省という行政組織自体は今なお存続している。また、1949年に南京国民政府が制定した中華民国全土の行政区分についても、直轄市が6市増えた点を除いては変更措置が取られていないため、公式には今なお大陸地区を含めて有効とされている。
なお、中華民国海軍の艦艇の中には、大陸を統治していた当時の地名で、中国大陸の都市に由来する名称を採用した艦艇が存在している(康定級フリゲート等)。また、台北市にはウルムチの旧名である「迪化」に由来する迪化街がある。
主要都市
- 台湾の主要都市については、台湾の項目を参照。
中華民国自由地区の主要都市としては、台湾島の北部盆地に位置し、1949年から「中華民国中央政府所在地」[42] となっている台北市が先ず挙げられる。台北市は1947年に設置された台湾省の省都も兼ねていたが、省都については1957年に台北市から台湾島中部にある南投県南投市中興新村へと移されている。その他の主要都市には、直轄市の新北市、桃園市、台中市、台南市、及び高雄市があり、いずれも台湾島北部から西部にかけて位置している。
首都
中華民国の首都は、1931年6月1日から1947年12月24日までは法律で南京と明示されていたが、1947年12月25日以降は正式な首都がどこか法律等で明確にされていない。また、1949年12月7日以降は中華民国の中央政府機構が台北に置かれているが、中華民国政府は歴史的な経緯から台北市をあくまで臨時首都[1]、あるいは「(国共内戦に伴う)戦時首都」[2] と見なしている。
注釈
- ^ 公共交通機関での放送言語として台湾語、客家語も指定されている。
- ^ 中華民国の首都を台北市と定める法令は現存しない。詳しくは中華民国の首都、中華民国#首都を参照。
- ^ アジア初の共和国はフィリピン第一共和国であると見なす場合。ただし、当時のフィリピンはスペインの植民地支配からアメリカの植民地支配下への移行期間にあり、アメリカの支配下から脱し切れていなかったため異論がある。
- ^ 中華人民共和国は1949年10月1日に建国されたが、この時点で国共内戦は未だ継続中であり、中華民国政府は華南三省と西南部三省の広範囲を支配し、広州市を臨時首都としていた。中華民国政府が大陸地区から台湾へと転戦したのは同年12月7日で、大陸地区における大規模な戦闘は1950年5月1日の海南戦役終結まで、中華民国の支配地域喪失は1955年2月24日の大陳列島喪失まで続いた。
- ^ 1949年末時点の行政区画。その後の行政区画再編により、6つの都市が台湾省から分離している。
- ^ 管轄は高雄市。
- ^ ただし、2012年以降も「4箇月間の軍事訓練」を受ける義務は残っているので、本来の意味での徴兵制廃止ではなく、実質的には「兵役期間の1年から4箇月への短縮」である。
- ^ 行政院直属の区域。ただし、中華民国憲法上に特別行政区に関する規定はない。
- ^ 台湾地区と台湾省の範囲がほぼ重なるため、中央政府と台湾省政府の管轄区域もほぼ重複してしまい、省単位での地方自治が事実上機能しなくなっていた。
出典
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