ろんり‐かいしゃく【論理解釈】
論理解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 02:16 UTC 版)
いかなる文も、その具体的文脈を無視して解釈することは困難ないしは不可能であり、法文の解釈もまた例外ではないから、法体系全体の論理的文脈、あるいは更に目を広げてその社会的文脈を読み込むことが必要である。 そこで、論理解釈とは、法令の文理のみにとらわれることなく、色々な道理・理屈を取り入れて解釈することをいう。ローマ帝政時代において、ローマ共和制時代における厳格な文理解釈に相対して認められたものに由来する。東洋では古代中国発祥の比附がこれに相当すると考えられるが、相違点もある。 論理解釈の内容・区分は論者により微妙な違いがあり、狭義にはもっぱら法体系全体の論理的文脈を尊重する解釈のみを意味する場合もあるが(形式的論理解釈)、その論理的構成は、より実践的・目的的な論理に従って構成することもできるから、後者を目的的解釈として前者の形式論的な論理解釈と区別することができる(目的的論理解釈)。 前者のような、他の制度との比較・均衡等を考慮して解釈する論理解釈は体系的解釈と言い換えることがあるほか、後者のような解釈の内、社会情勢や社会的必要性を考慮して解釈することを特に社会学的解釈方法ということがある。 もっとも、これらの区分は理念的なものであって、各解釈の結論が全く異なるとは限らないし、形式論的な論理解釈と目的的な論理解釈とは必ずしも矛盾・対立するものではないとも考えられている。 なぜなら、法文の文理から離れた結論を正当化するための論法としては、法文の背後にある立法目的や制度の趣旨を考慮した目的解釈又は目的論的解釈によって、制度本来の目的から解釈すればこのような結論になる、と論じられるのが普通であるが、そのような立法目的論は、解釈者が実現を望むもののために主張されるのが通常であるから(目的的解釈)、解釈者は、自らの主観的な価値観に立脚しつつも、客観的な法文がそのような解釈を許容するものであることを客観的に論証する必要性に迫られるからである(→#論理解釈の典型例)。また、それとは逆に、論理解釈が形式論理に偏するときは、実際生活に適合しない不当な結論を生み、個別の事案についての具体的妥当性を実現できない概念法学であるとの批判があるため、社会的な目的論もまた軽視するわけにはいかないためである。
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