合憲限定解釈とは? わかりやすく解説

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合憲限定解釈

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/23 01:53 UTC 版)

合憲限定解釈(ごうけんげんていかいしゃく)とは、違憲判断回避の方法の一つで、法律適用の前提となる法律解釈が一義的に決定できない場合で、かつ、当該法律が違憲となる解釈が存在するような場合には、合憲的に解釈する解釈方法のことをいう[1]

裁判官裁判においてを適用するには法律解釈が前提となるが、この法律は立法府の作成したものである。日本国憲法上、立法府(国会)は国権の最高機関であり、唯一の立法機関である。つまり、日本国憲法上の統治機構において、第一次的に民主的正当性を持つのは国会のみであり、このような国会が成立させた法律を、民主的正当性の乏しい司法府が違憲として排斥することは可及的に避けなければならないという考えが、合憲限定解釈の基礎にある。裏返せば、当該法律に複数の解釈の余地があって、そのうちの一つの解釈が合憲である場合は、客観的な立法者意思の推定として、合憲的な解釈を元より企図していたものと理解することができることも背景にある。

しかし、全ての法律が合憲限定解釈されるべきということにはならない。つまり、罪刑法定主義日本国憲法第31条参照。同条が何を規定するかは議論がある)の要請がある刑事法や、萎縮効果の強い表現の自由については、法文自体が複数の解釈を許すような表現になっている場合、そのこと自体が憲法的価値に違反すると考えられている。これらの場合には、それぞれ罪刑法定主義においては、罪となる事実を明確に規定し、それに対応する刑罰を明定するという要請が、また表現の自由の萎縮を防ぐためには可及的にそれを規制する範囲を事前に限定しておくべきという要請が立法府に対して行われているものであるから、立法府の作成したという民主的正当性のために合憲限定解釈を行う必要性があったとしても、立法府が不明確に法文を作成したことの強い不当性が勝ると言えるからである。このような場合に合憲限定解釈をすると、かえって憲法価値に抵触する事態となるため、原則としてかかる解釈手法は認められない。この場合に裁判所は、「漠然・曖昧性故に無効の法理」や「明確性の原則」によって、当該法律自体を無効とすることがある。

なお、行政府の作る政省令等についても、同様のことが言える。


脚注

関連項目


合憲限定解釈

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 18:48 UTC 版)

憲法訴訟」の記事における「合憲限定解釈」の解説

法令違憲判断回避する手法であり、法令対す憲法判断がされるが、法令解釈について複数解釈成り立ち違憲とも合憲とも解釈できる場合は、法令解釈としては合憲となるような解釈をした上で当該法令根拠とした国家行為法令違反であるとして処理する方法である。前述ブランダイス・ルールの第7準則由来する日本においては1960年代公務員労働基本権制限する立法につき合憲限定解釈の手法が多用されたほか(最大昭和41年10月26日刑集20巻8号901号、最大昭和44年4月2日刑集235号305頁など。ただし、後に最高裁は、公務員労働基本権制限する立法に関する合憲限定解釈の手法を否定する。)、立法正当性維持することを目的として合憲限定解釈の手法を採る例が多いとされている。 ただし、実際に合憲限定解釈の手法が採られた例の中には違憲判断回避するために無理な解釈をしている場合もあるのではないかという批判もされている。

※この「合憲限定解釈」の解説は、「憲法訴訟」の解説の一部です。
「合憲限定解釈」を含む「憲法訴訟」の記事については、「憲法訴訟」の概要を参照ください。

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