限定的合憲論とは? わかりやすく解説

限定的合憲論(合憲限定解釈)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 14:22 UTC 版)

労働基本権」の記事における「限定的合憲論(合憲限定解釈)」の解説

公共企業体等労働関係法公労法171項日本国憲法第28条の関係等が争われいわゆる全逓東京中郵事件」について、最高裁判所次のように説示し従前公共の福祉等を理由とした全面的な合憲論から、実質的に判例変更した。すなわち、憲法28条の労働基本権保障については公務員にも基本的には及ぶものとし、労働基本権制約する法規定諸事項について一定の考慮なされてはじめて合憲であるとする「限定的合憲論(合憲限定解釈)」を採ったのである。 「労働基本権は、たんに私企業労働者だけについて保障されるではなく公共企業体職員もとよりのこと、国家公務員地方公務員も、憲法二八条にいう勤労者ほかならない以上、原則的には、その保障を受けるべきものと解される。「公務員は、全体の奉仕者であつて、一部奉仕者ではない」とする憲法一五条を根拠として、公務員に対して右の労働基本権をすべて否定するようなことは許されない。ただ、公務員またはこれに準ずる者については、後に述べるように、その担当する職務内容に応じて私企業における労働者異な制約内包しているにとどまると解すべきである。」 「勤労者団結権団体交渉権争議権等の労働基本権は、すべての勤労者通じ、その生存権保障理念基づいて憲法二八条の保障するところであるが、これらの権利であつて、もとより何ら制約許されない絶対的なものではないのであつて、国民生活全体利益保障という見地からの制約を当然の内在的制約として内包しているものと解釈しなければならない。しかし、具休的にどのような制約合憲とされるかについては、諸般条件、ことに左の諸点考慮入れ慎重に決定する必要がある(1)労働基本権制限は、労働基本権尊重確保する必要と国民生活全体利益維持増進する必要とを比較衡量して、両者適正な均衡を保つことを目途として決定すべきてあるが、労働基本権勤労者生存権直結し、それを保障するための重要な手段である点を考慮すれば、その制限は、合理性認められる必要最小限度のものにとどめなければならない(2)労働基本権制限は、勤労者提供する職務または業務性質公共性の強いものであり、したがつてその職務または業務停廃国民生活全体利益害し国民生活重大な障害もたらすおそれのあるものについて、これを避けるために必要やむを得ない場合について考慮されるべきである。 (3)労働基本権制限違反に伴う法律効果、すなわち、違反者に対して課せられる不利益については、必要な限度こえないように、十分な配慮がなされなければならない。とくに、勤労者争議行為に対して刑事制裁科することは、必要やむを得ない場合限られるべきであり、同盟罷業怠業のような単純な不作為刑罰対象とするについては、特別に慎重でなければならない。(中略(4)職務または業務性質からして労働基本権制限することがやむを得ない場合には、これに見合う代償措置が講ぜられなければならない。」(昭和41年10月26日最高裁判所大法廷判決

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