限定的な代数的解法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 22:23 UTC 版)
一般式が代数的に解けないということは、上記に示したとおりであるが、特定の五次方程式がどのような場合に解けるかは分かっている。ラグランジュが3次、4次で用いた手法をそのまま持ち込んだ場合、 x = ( α 1 + ζ α 2 + ζ 2 α 3 + ζ 3 α 4 + ζ 4 α 5 ) 5 {\displaystyle x=(\alpha _{1}+\zeta \alpha _{2}+\zeta ^{2}\alpha _{3}+\zeta ^{3}\alpha _{4}+\zeta ^{4}\alpha _{5})^{5}} (ただし ζ は1の原始5乗根) の置換を考察することになるが、この場合5次対称群の位数は120で、出現する式は5次巡回群の位数=5で割った24通りである。つまりその為に解かなければならない方程式は24次式となり5次よりはるかに悪化する。 そこでより位数の低い置換を与えるような式を考察する必要があるが、これは1861年にアーサー・ケイリーが与えたものが最良となる。 x = ( α 1 α 2 + α 2 α 3 + α 3 α 4 + α 4 α 5 + α 5 α 1 − α 1 α 3 − α 2 α 4 − α 3 α 5 − α 4 α 1 − α 5 α 2 ) 2 {\displaystyle x=(\alpha _{1}\alpha _{2}+\alpha _{2}\alpha _{3}+\alpha _{3}\alpha _{4}+\alpha _{4}\alpha _{5}+\alpha _{5}\alpha _{1}-\alpha _{1}\alpha _{3}-\alpha _{2}\alpha _{4}-\alpha _{3}\alpha _{5}-\alpha _{4}\alpha _{1}-\alpha _{5}\alpha _{2})^{2}} この場合出現する式は6通りであり、6次方程式を解くことに帰着する。もちろんこれを代数的に解くことは一般的状況では不可能であるが、根の平方が有理数になる場合に限り、実質的な次数が下がり、代数的に解ける。以下は3次、4次のラグランジュの解法同様にして元の方程式の根を得る。これが五次方程式が代数的に解ける必要十分条件である。
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