論理解釈の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 02:16 UTC 版)
文理解釈と論理解釈のいずれに重きをおくかは論者によって異なり、個別的な文理解釈を重視し、論理解釈と相対する独立別個の解釈方法と捉えるか、体系的な論理解釈を重視し、両者を不可分一体のものと考えるかという差異が生まれる。文理解釈と論理解釈の結果が異なる場合に、客観的な法文を無視して安易に後者のみを採れば、立法者の意思ないし法律本来の趣旨を損なうと考えられるためである。 文理解釈を重視する立場からは、形式論と目的論の不可分性よりも対立性が強調されるため、目的解釈は論理解釈と区別され、目的解釈は文理解釈・論理解釈とは対立するものであるとも主張される。この立場にいう論理解釈とは、もっぱら論理的操作によって導かれる帰結を確定しようとする形式的論理解釈(体系的解釈)を意味しており、この軽視が説かれるとともに、上述のように立法的解釈の重視が説かれることになる。 この点、英米法は、成文法及び契約書の解釈を文理解釈と目的論的解釈とに大別し、文理解釈を優先させる傾向が強い。文理解釈上の意味が明白な場合は、大陸法におけるような論理解釈は原則として許されないと考える「明白な意味の原則」が伝統的に採用されており、特にイギリスでは21世紀に入ってからもこれが遵守されている。その結果、大陸法系諸国における場合と異なり、制定法(及び契約書)の文面は相互に重複した長大なものとなる傾向が強い。 一方、体系的な論理解釈を重視する立場においては、法令は、個別の法規が機械的に集合したものではなく、互いに有機的・体系的に結び付き、全体として一個の統一体を形成しているものと考えるので、その全体像から推理される原理は個別の成文法規を補完する「書かれざる法」にほかならず、この原理を取り入れて解釈することが論理解釈であると主張されることになる。
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