らく‐だい【落第】
原級留置
(落第 から転送)
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原級留置(げんきゅうりゅうち)は、学校に在籍している児童・生徒が、何らかの理由で進級しないで同じ学年を繰り返して履修すること。対義語は、及第・通常の進級。こうした処分を課すことを原級留置処置や原級留め置きといい、留級と表記される場合もある。世間では、留年や落第とも言うが、正式には原級留置となっている。国によって、年齢主義と課程主義の違いがあり、主義によって留年となる割合や意味が異なる。
概要
日本の公立中学校では年齢主義が基本で、習得すべきことを習得していなくても進級が可能であり、留年にさせられるケースはなく、本人による希望以外で留年が決定することは無い[1]。
課程主義の国々の場合
フランス
フランスの義務教育課程は課程主義で留年制度もあるが親は異議を申し立てることができる[2]。
2009年のOECDの調査では15歳生徒のうち初等教育で17.8%、前期中等教育で23.5%の生徒が留年したことがある[2]。
ドイツ
ドイツの義務教育課程は課程主義で留年は親と学校が相談した上で決定する[2]。
2009年のOECDの調査では15歳生徒のうち初等教育で9.2%、前期中等教育で14.2%の生徒が留年したことがある[2]。
フィンランド
フィンランドの義務教育課程も課程主義で留年は親と学校による協議で決定する[2]。
2009年のOECDの調査では15歳生徒のうち初等教育で2.4%、前期中等教育で0.5%の生徒が留年したことがある[2]。
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国の学校制度では単位制がとられているため制度的に留年も存在する[2]。
2009年のOECDの調査では15歳生徒のうち初等教育で11.2%、前期中等教育で4.2%の生徒が留年したことがある[2]。ただし、能力に応じた学年に配置するという原則に基づき留年とともに飛び級も制度化されているため、実際には留年よりもドロップアウトが問題となる[2]。
アメリカ合衆国の高校では単位不足による卒業延期制度がある[2]。大半の州では高校卒業試験制度が導入されており、そこでは試験不合格者を卒業延期とする制度が採用されている[2]。
アメリカの大学
アメリカ合衆国の大学では4年間で卒業する学生は少数派であり、入学者の3~4割である[3]。
年齢主義の国々の場合
日本
原級留置にされるケース
原級留置の処置にされるケースには以下のような場合がある。
当人の責めに帰すべき事由の場合
当人の責めに帰さない事由の場合
- 事故や病気、障害などにより長期の入院や加療を要する場合。
- 休学(海外留学などの場合)。
- その他、本人が希望する場合(一部の大学では延長して在籍が認められている)。
イギリス
イギリスの義務教育課程では留年制度についての規定はないが理論的には可能とされている[2]。実態的には留年になることはほとんどなく、生徒は年齢とともに自動進級する[2]。
2009年のOECDの調査では15歳生徒のうち初等教育で1.6%、前期中等教育で0.8%の生徒が留年したことがある[2]。
日本における実態と統計
小学校・中学校
後期中等教育(高等学校と中等教育学校後期課程以降)以降での原級留置数は公表されているが、小中学校については統計が公表されていない。
教育委員会規則において公立小中学校の「校長は、児童又は生徒を原級留置したときは、速やかに教育長に報告しなければならない」と定められる場合があり、学齢超過の人数については在学者と年齢を区分した国勢調査[注釈 1]で知ることができる(詳細は「年齢主義と課程主義」)。
日本の学校制度では、大部分の公立小学校・中学校の学年は年齢主義を取っており、就学猶予者、帰国子女などの特段な事情がある場合を除き、年齢によって所属する学年が決められる運用がされている。学校教育法施行規則では小中学校の各学年の修了や卒業は児童生徒の「平素の成績」を評価して認定するよう定めており、児童生徒の成績不良を理由に校長の判断で原級留置させることも可能であり[4]、学年末には「進級判定会議」「卒業判定会議」が存在する。
かつては、病気療養等を理由とする長期欠席による原級留置が公立小中学校における学校判断である程度見られた。これは1953年(昭和28年)に兵庫県教育委員会教育長の照会に対し、文部省(中央省庁再編後の文部科学省)初等中等教育局長が「一般的にいって、第3学年の総授業時数の半分以上も欠席した生徒については、特別の事情のない限り、卒業の認定が与えられないのが普通であろう」と回答しており(s:課程の修了又は卒業の認定等について)、この通知が公立中学校において出席日数を元に進級・卒業の判断をする根拠となっていた時期もあった。
一方、平成時代の1990年代に入って長期欠席児童生徒が急増し、1990年代以降は児童生徒の保護者が強く希望した場合に原級留置が僅かに取られる程度となり、前述の文部省通知は事実上効力を失いつつあり、公立小学校・中学校において成績不良や出席日数未達であっても進級・卒業をさせる運用をしている(その代わり、どんなに優秀な成績でも飛び級も行わない)。このように学校から進級・卒業を拒否されることは基本的にないが、特に中学校3年生の場合は上記理由で高校入試の受験資格を得られなくなることがあるので、単位を取り直すために生徒や親の希望で留年する場合はある。
一方で児童や保護者が自主的な原級留置を希望しても、年齢主義を理由に学校または教育委員会などの関係機関から拒否されるケースもあり、児童の親(保護者)が長期欠席を理由に積極的に留年を求めて拒否されて強制進級となったために裁判に訴えて、1993年(平成5年)8月30日に神戸地方裁判所で「進級は正当」との判決が下った神戸市立小学校強制進級事件の例がある。但し監禁など生徒が当人の責めに帰さない事由で長期間にわたり通学できなかった場合、自主的な原級留置を受け入れる、あるいは原級留置をするかどうかを選択できる場合もある。
近年では、ひきこもりになったり、怠学する児童生徒が数年に渡って通学しないにも拘わらず進級させており、その児童生徒がのちに小中学校に通学の意思を持っても、授業復帰はかなり困難なものとなってしまう。中には小学生でひきこもりになり、中学校に一日も通っていないのに、中学校を卒業させる事例すらある。
なお、入試・進級試験制の私立の小学校・中学校では成績不良による留年例はある程度見られるといわれる(「(中学部以上で)学習到達度の不足による原級留置がある」ことを明言している玉川学園の例[5]など)。
2004年(平成16年)9月、当時の文部科学大臣河村建夫は朝日新聞のインタビューに応じ、「これまでほとんど死文化していた義務教育期での留年を、対象を拡大できるように研究する」と話した。
自治体教育委員会は、各学校から報告される原級留置者数を取りまとめているため、内部記録としては情報がある場合がある。
高等学校
特別支援学校高等部を含む高等学校などの学年制の場合、成績優秀でも一部の科目の成績不良や修得単位数不足、登校日数や出席時間数が基準に達しない、または学校の判断によって異なるが評定の数値が著しく悪い場合などは原級留置の候補者となる。実際には学習成績の他にもクラブ活動、他教科等の学業態度を考慮して総合評価で決定され、評定次第で履修不認定で自動的に留年とするか、単位修得不認定ではあるが、原級留置の対象から外されること(仮進級とも呼ばれる)が多い[注釈 2]。なお、体操着など学年毎に仕様が異なる学用品がある場合、留年しても買い替えは強制されないことが多い。
単位制では卒業時までに単位を修得すればよいので留年という概念が存在しない(但し、修得単位数不足で卒業保留や卒業延期になり、ホームルーム活動のためにクラス編成を行う場合はある)。
修了年限を越えた者には国立及び私立高校在学者対象の高等学校等就学支援金制度は適用されず、2010年度(平成22年)から実施された公立高等学校の授業料無償化に関しては、学校設置者(地方公共団体:各都道府県、特別区または市町村教育委員会)の対応に委ねられる。
高等専門学校
高等専門学校(高専)では、大学と同様に一定の単位数以上をその学年で取得できなかった場合、留年となる。これは、一般の高等学校の修業年限に当たる1~3学年においても例外ではない。
多くの高専で、本科(準学士課程)に10年を超えて在籍することは出来ず、また同一学年には2年を超えて在籍することは出来ないため、上の学年に二度続けて進級できなかった場合には、除籍となる。
大学
大学では通常、留年という。こちらがむしろ正式用語である。
日本の大学では、単位数が一定基準に満たない場合、留年となることが多い。高等学校までとは違い、すでに取得した単位は有効であり、不足している部分だけ翌年度に再履修し、進級要件を満たせば、進級できる。また、単位取得するには定期試験に合格することが必須であるが、進級要件については単位数ならびに定期試験の合否での判断は大学によって異なる。まれに、必修科目が廃止あるいは履修年次変更になった等で履修できる科目がない場合は1年間休学することで進級要件を満たすことができる。なお、高校と同様に学業に対する態度なども評価されて単位取得に影響されることもある。
通常の課程の場合、修業年限の2倍(例:4年制学部では8年、6年制学部では12年[6])を超えて在籍することはできないことが多い。
大学回生制度(主に関西地方)を採用している場合は成績にかかわらず、1年おきに数字を増していくので入学5年目であれば5回生、6年目であれば6回生と表記されるため留年という制度はない。その場合でも8年(12年)を越えて在学することは不可能であることが多い。
ただし、大学通信教育の課程の場合は、4年制学部でも10年[注釈 3]程度在籍できる場合もあり、かつ、再入学も通学の課程に比べてしやすいことが多い。
なお、休学期間は在籍年数にカウントされないため、その場合は8年以上同じ大学に在籍している可能性がある(ゴダイゴのタケカワユキヒデが音楽と学業を両立させるためこの制度を利用し、休学と復学を繰り返して12年間在籍した)。
大学生が留年する理由にはさまざまなものがあるが、留年者を出身高校別に分析してみると相当のばらつきがある。特に「管理型の進学校、全寮制」の留年率は高いと東京大学のミニコミ誌『恒河抄』は分析している[7]。
通常、留年は学生が進級・卒業要件を満たすことが出来なかった場合に起こることであるが、近年では就職が決まらなかったあるいは教職等の免許が取れなかった等の理由で、卒業要件を満たしながら意図的に卒業せず大学に学籍を残す例(就職留年)が急増している。そうしたことを背景に、「希望留年制度」を新たに設けた大学も存在する。
原級留置に関連するもの
事件
漫画
脚注
注釈
出典
- ↑ “小学校、中学校の留年制度「原級留置」”. 子どもいばしょナビ. 2025年10月2日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 “学校制度(学制)-諸外国との比較”. 教育再生会議 (2013年11月26日). 2017年9月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年9月1日閲覧。
- ↑ 「留年」『大学事典』。コトバンクより2025年10月2日閲覧。
- ↑ 学校教育法施行規則第57条・第79条
- ↑ “Q&A|中学部・高等部”. 玉川学園. 2020年9月18日閲覧。
- ↑ “愛知学院大学薬学部進級・卒業要領”. 2014年6月16日閲覧。
- ↑ 小林哲夫『東大合格高校盛衰史』光文社新書、2009年。
関連項目
「落第」の例文・使い方・用例・文例
- ブラウン先生は化学で私に落第点をつけた
- 歴史で落第点をとる
- つまり,ぼくは宿題を終えられなかったんだ.先生はこれでぼくを落第させるかな
- 落第すると考えただけでぞっとした
- 教師はもし勉強しないなら落第させるとジョンを脅した
- あなたはその入社試験に落第しました。
- 私は落第しそうだった。
- 落第しないように一生懸命勉強しなさい。
- 落第しないように一生懸命に勉強しなさい。
- 落第しちゃう!
- 彼は試験に落第して始めて自分に怠惰を後悔した。
- 彼はそれまで怠けていたので試験に落第した。
- 彼はいつも遊んでいたため落第した。
- 日本では、高校までは落第はありません。
- 誰も落第しなかった。
- もっと勉強しない限り落第しますよ。
- 受験者を幾人か落第させる.
- 彼は歴史で[試験に]落第した.
- ジャックは落第したが, 妹は合格した.
- この間の試験の成績がとても悪くてあれでは落第だよ, と昨日佐野教授から引導を渡された.
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