摩擦音とは? わかりやすく解説

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まさつ‐おん【摩擦音】

読み方:まさつおん

肺から口腔通って出る呼気が、声門咽頭口腔内の調音器官のどこかで狭められ生じる音。[s][ʃ][z][ʒ]などの音。


摩擦音

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/27 13:11 UTC 版)

調音方法
気流の妨害度
阻害音
破裂音
破擦音
摩擦音
共鳴音
ふるえ音
はじき音
接近音
気流の通路
中線音
側面音
口蓋帆の状態
口音
鼻音
気流機構
肺臓気流
吸気音
呼気音
非肺臓気流
放出音
入破音
吸着音
調音部位

摩擦音(まさつおん、英語: fricative)とは、調音方法による子音の分類の一種。調音する際、声道内に狭い隙間をつくり、空気がその狭めを通るときに噪音を発する。調音点の隙間がこれよりも狭いと破裂音になり、これよりも広いと接近音になる。

摩擦音は破裂音と異なり、それだけを持続して発することができる。

声門摩擦音

国際音声記号[h][ɦ]声門摩擦音と呼ばれ、表の上でも摩擦音の欄に置かれているが、実際にはどこにも狭めが作られないため、上記の定義による摩擦音の範疇には属さない。ピーター・ラディフォギッドによると、英語の [h] は前後の音の無声化であり[1][ɦ] (ahead・behind などで現れることが多い)は実際には息もれ声である[2]。日本語でも同様で、「ハ」([ha])は [ḁa] と表すこともできる。ラディフォギッドは国際音声記号の表の「その他の記号」に [h][ɦ] を移動させるべきだとしている[3]

摩擦の強さ

摩擦音と接近音の違いは調音点の狭さによるが、実際にはさまざまな狭さがあり、それによって摩擦的噪音の強さにも差が生じる。また、呼気の強さによっても噪音の大きさに差が生じる。服部四郎によると、同じ [v] でも、英語やフランス語にくらべてドイツ語やロシア語は呼気が弱いので、摩擦的噪音も弱い[4]

国際音声記号ではより狭いことを [˔] で、より広いことを [˕] で表す。たとえばチェコ語の ř は通常の [r] よりも狭くて摩擦音的になっているので、これを [r̝] で表す。

国際音声記号

側面音

放出音

二重調音

脚注

  1. ^ Ladefoged (2001) p.34
  2. ^ Ladefoged (2001) p.124
  3. ^ Ladefoged (2001) p.254
  4. ^ 服部(1984) p.75

参考文献

  • Ladefoged, Peter (2001). A Course in Phonetics (Fourth ed.). Heinle & Heinle. ISBN 0155073192 
  • 服部四郎『音声学 カセットテープ, 同テキスト付』岩波書店、1984年(原著1950年)。 

関連項目

子音
肺臓気流
両唇 唇歯 歯茎 後部歯茎 そり舌 硬口蓋 軟口蓋 口蓋垂 咽頭 声門
破裂 p b () () () () t d ʈ ɖ c ɟ k ɡ q ɢ ʔ
() m ɱ () n ɳ ɲ ŋ ɴ
ふるえ (ʙ̥) ʙ () r ʀ
はじき (ⱱ̟) ɾ ɽ (*) (*)
摩擦 ɸ β f v θ ð s z ʃ ʒ ʂ ʐ ç ʝ x ɣ χ ʁ ħ ʕ h ɦ
側面摩擦 ɬ ɮ
接近 (β̞) (ʋ̥) ʋ (ɹ̥) ɹ ɻ j ɰ
側面接近 () l ɭ ʎ ʟ
非肺臓気流
吸着 ʘ ǀ ǃ ǂ ǁ
入破 ɓ ɗ () ʄ ɠ ʛ
放出 (t̪ʼ) ()
その他
同時調音 ʍ w ɥ ɕ ʑ ɧ
(k͡p) (ɡ͡b) (ŋ͡m)
喉頭蓋音 ʜ ʢ ʡ
舌唇音 () () () (θ̼) (ð̼)
その他側面音 ɺ (*) (ɫ)
破擦音 p͡ɸ b͡β p̪͡f b̪͡v t͡θ d͡ð t͡s d͡z t͡ʃ d͡ʒ ʈ͡ʂ ɖ͡ʐ t͡ɕ d͡ʑ c͡ç ɟ͡ʝ k͡x ɡ͡ɣ q͡χ t͡ɬ d͡ɮ ʔ͡h
記号が二つ並んでいるものは、左が無声音、右が有声音。網掛けは調音が不可能と考えられる部分。
丸括弧内はIPA子音表(2005年改訂版)に記載されていないもの。
国際音声記号 - 子音

摩擦音

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/16 08:52 UTC 版)

インド・ヨーロッパ祖語の音韻」の記事における「摩擦音」の解説

PIE唯一の確実な摩擦音である *s は歯擦音であり、その音声実現は [s] から [ɕ] あるいは [ʃ] の範囲だったと考えられる。*s には有声化した異音 *z があり、*nisdós「巣」のような単語みられる同化現れる。これは一部の子言語では音素化される一部PIE語根は *s が語頭出現する異形態持ちこのような *s は可動的s(s-mobile,定訳知らない)と呼ばれる。 「喉音」は摩擦音であったかもしれないが、音声実現に関する合意存在しない

※この「摩擦音」の解説は、「インド・ヨーロッパ祖語の音韻」の解説の一部です。
「摩擦音」を含む「インド・ヨーロッパ祖語の音韻」の記事については、「インド・ヨーロッパ祖語の音韻」の概要を参照ください。

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