個体群成長
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 23:05 UTC 版)
個体群を構成する個体の数を、個体群の大きさと見れば、個体数の増加は個体群の成長と見なすことができる。個体群成長は、理屈は比較的簡単であり、しかも害虫の増殖の問題等、実用的側面もあることから、古くから理論的、実験的研究の対象となってきた。生物は、その種によって、様々な方法で繁殖するが、種ごとに繁殖方法が決まっている以上、その増加を計算するのは簡単なことである。大体、親が産む子の数は一定であるので、世代ごとに一定の倍率で増加する。これを計算すると、いわゆる幾何級数的増加となり、とてつもない数が出現する。そのおもしろさから、ねずみ算のように、よく、計算にまつわる面白い話題として伝えられたものである。 実際には、野外では生物の個体数は、長期的にはほぼ一定に保たれていると考えられる。部分的には増加が見られても、それは一定数に落ち着くという見当が得られる。この原因は、個体数が増えれば、餌が少なくなる、互いの存在がじゃまになる、老廃物が蓄積するなど、個体数増加にとって不利な条件がそろってくるからである。これら、密度の増加によって増殖を低下させられることを密度効果という。密度効果を加味すれば、個体群成長は、密度の低いときは高く、密度の増加に従って速度を落とし、最終的には一定数に達してそれ以上は増加しなくなるものと考えられる。ただし、個体群密度が低くなると、配偶相手の探索や交尾が困難になる他、個体間の協力関係が低下するなど、アリー効果が低下する場合も多く、一概に低密度の時に個体群成長が最大になるとは限らない。 個体群成長を数学的に扱うための基礎となるのがロジスティック式である。これは、1838年にピエール=フランソワ・フェルフルストが人口増加のモデルとして発表したものである。グラフにすれば、個体数は指数曲線的に増加した後、次第になだらかに定数に近づく、シグモイド曲線を描く。
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