デーラー

1814年4月20日、テオドール・デーラーはナポリでドイツ人の家庭に誕生した。デーラーはプロイセンからナポリに移った父から音楽の手ほどきを受けていたが、ピアノを始めたのは7歳になってからだった。著しい才能を示した少年テオドールは、1825年、ナポリの劇場指揮者に赴任したドイツの音楽家ユリウス・ベネディクト(1804~1885)の目に留まり、数年間彼の指導を受けた。フンメル、ウェーバーの高弟として知られる師から、デーラーはピアノと作曲の両面で多くの養分を汲み取ったことであろう。10歳を過ぎるころには師の計らいで同地のフォンド劇場の舞台に立ち、自作の変奏曲、幻想曲を披露して多くの聴衆を感嘆させた。ナポリの神童としてデーラーの名はたちまち知れ渡り、ナポリ王の激賞を受けるに至った。彼は後に初期の大作《ピアノ協奏曲》作品7を、ナポリとシチリアを治めた両シチリア王の妃マリーア・イザベッラ・ディ・スパーニャに捧げている。
テオドール・デーラー
(Theodor Döhler から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 05:03 UTC 版)
テオドール・デーラー Theodor Döhler |
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Sophus Williams作
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基本情報 | |
生誕 | 1814年4月20日![]() |
死没 | 1856年2月21日(41歳没)![]() |
ジャンル | クラシック |
職業 | ピアニスト、作曲家 |
テオドール・デーラー(Theodor Döhler, 1814年4月20日 - 1856年2月21日)は、ドイツのピアニスト、作曲家。
ジュリアス・ベネディクト、カール・チェルニー、ジーモン・ゼヒターに師事し、ロマン派のヴィルトゥオーゾピアニストとして名をはせた[1]。
生涯
デーラーはナポリで生まれた。彼の父(1843年、ルッカで没)がそこに住み、カペルマイスターを務めていたからである。神童であったデーラーはこの地で指揮者のジュリアス・ベネディクトから最初の音楽教育を受けた。デーラーがナポリで公開演奏会をするようになったのは13歳の時である。
1827年、デーラーは父がルッカで働くことになったため、共にそこへ移り住んだ。1829年から1834年にはウィーンに居を構え、チェルニーの下でピアノを学び、同時期にジーモン・ゼヒターから作曲の指導を受けていた。次に彼の足取りが分かるのは1838年、リストがウィーンに、タールベルクが再びパリにいた時である[2]。1832年に、デーラーはルッカ公国の援助を受けることができるようになった。1834年から1845年にはコンサートピアニストとしてヨーロッパを旅して周り、イタリア、フランス、オランダ、デンマーク、ポーランド、ロシアで演奏を行った。彼はピアニストとして非常に成功し、人気を博したヴィルトゥオーゾであったと考えられている[3]。
1846年、デーラーを援助していたルッカ公国が彼に男爵の地位を与えた。貴族の一員となったデーラーは、その年にロシアの王女であるエリーゼ・シェレメテフ(Elise Sheremeteff)婦人と結婚することができた。これにともなって、デーラーは公開演奏から引退してしばらくの間モスクワに落ち着く。1848年にはナポリへと戻り、そこでピアノ小品やオペラ「Tancreda」を作曲した。このオペラが初演されたのは、1856年のフィレンツェでの彼の死から24年後の、1880年のことであった。
主要作品
- ノクターン Op. 24
- ノクターン第1番 ハ長調 Op. 25
- タランテラ Op. 39
- ピアノ左手のためのアンダンテ第33番 Op. 42
- 歌詞のないロマンス
出典
- ^ Henri Bertini (1798-1876) & Theodore Dohler (1814-1856), by Jeffrey Kallberg, 1993. Routledge. ISBN 978-0-8153-0855-3
- ^ Gooley, Dana Andrew (2004). The Virtuoso Liszt (New Perspectives in Music History and Criticism). Cambridge University Press. pp. 57. ISBN 0-521-83443-0
- ^ Brofeldt. “Theodor Döhler - Austrian pianist and composer”. Left Hand Brofeldt.dk. 2011年12月3日閲覧。
外部リンク
- テオドール・デーラーの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
- デーラー - ピティナ・ピアノ曲事典
- Theodor Döhlerのページへのリンク