SUMO化とは? わかりやすく解説

SUMOタンパク質

(SUMO化 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/12/14 10:03 UTC 版)

SUMOタンパク質(SUMO protein)とは、細胞内の他のタンパク質に一時的に共有結合してその機能を助ける小さなタンパク質で、SUMOとはSmall Ubiquitin-related(like) Modifierという言葉の略である。タンパク質のSUMO化は翻訳後修飾の1つで、細胞核-細胞質の輸送、転写制御、アポトーシス、タンパク質の安定化、ストレス応答、細胞周期の進行など様々な細胞内のプロセスに関係する。

SUMOタンパク質はユビキチンとよく似ていて、SUMO化に関与する酵素も、ユビキチン化の一連の酵素のアナログである。ただしユビキチンがタンパク質分解のタグとなるのに対して、SUMOにはそのような機能はない。SUMOはC末端の4残基が切り落とされることによって完成する。

SUMOタンパク質には別名を持つものが多い。例えば酵母のSUMO1ホモログはSMT3と呼ばれる。またコードする遺伝子にはいくつかの偽遺伝子が存在するという報告もある。

iMolとPDBファイル1A5R、NMRを元に作られたヒトSUMO1タンパク質の構造図。タンパク質の構造はリボンで表現し、二次構造を着色している。N末端は青、C末端は赤である。
同じく、原子を球で表現したタンパク質の構造図。

機能

タンパク質のSUMO化には多くの機能がある。最も研究が進んでいるものはタンパク質の安定化、核-細胞質輸送、転写調節(転写抑制)などである。分解のタグとなるユビキチンとは逆に、SUMO化はタンパク質の寿命を延ばす。またSUMO化によってタンパク質の細胞内局在も変化する。例えばヒトのニネインはSUMO化によって中心体から核へ移動する。また多くの場合転写因子がSUMO化を受けると転写が阻害される。この他にも多くの機能が明らかとなっている。

構造

SUMOタンパク質は小さく、せいぜい100残基、12kDa程度である。正確な長さや重さはタンパク質の種類や由来する生物によって異なる。例えばヒトのSUMO-1は101残基で11.6kDaである。ラットやマウスのホモログも101残基であるが、C. elegansのものは91残基しかない。

ヒトSUMO-1の構造はαヘリックスβシートでできた球状で、両末端は中心部に収まっている。

共通配列

SUMO化を受けるタンパク質の多くには、B-K-x-D/Eというテトラペプチドの共通配列がある。ここでBは疎水性アミノ酸、Kはリシン、xは任意のアミノ酸、D/Eは酸性アミノ酸である。


SUMO化

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 21:30 UTC 版)

ヒストン修飾酵素」の記事における「SUMO化」の解説

SUMO化にはSUMOタンパク質ヒストンのリジン残基との共有結合の形成伴いSUMO E1酵素による活性化SUMO E2酵素による結合conjugation)、SUMO E3酵素によるライゲーションというユビキチン化過程類似した3段階で行われるヒトではSUMO E1酵素はSAE1(英語版)/SAE2(英語版ヘテロ二量体であることが同定されており、SUMO E2酵素はUBE2I(英語版)、またSUMO E3酵素役割さまざまな酵素による多タンパク質複合体によって行われている可能性がある。 SUMO化はクロマチン状態に影響し遺伝子プロモーターにおける転写因子組み立て影響を及ぼすことで、基質依存して転写抑制または活性化いずれか引き起こす。またSUMO化は主要なDNA修復経路である、塩基除去修復ヌクレオチド除去修復非相同末端結合相同組換え修復にも関与している。さらに、SUMO化はエラー生じやすい損傷乗り越え合成(translesion synthesis)も促進する

※この「SUMO化」の解説は、「ヒストン修飾酵素」の解説の一部です。
「SUMO化」を含む「ヒストン修飾酵素」の記事については、「ヒストン修飾酵素」の概要を参照ください。

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