転写抑制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/19 23:35 UTC 版)
EZH2はPRC2の一部としてH3K27のトリメチル化(H3K27me3(英語版))を触媒する。H3K27me3はヒストンコード(英語版)の一部として特徴づけられているヒストン修飾である。ヒストンコードは、ヒストンタンパク質のメチル化、アセチル化、ユビキチン化などの化学修飾が遺伝子の転写のエピジェネティックな調節にそれぞれ特有の役割を果たしているという仮説である。EZH2を介したH3K27me3の触媒は、長期の転写抑制と関係している。 EZH2は他のポリコーム群タンパク質と同様に、細胞分裂を通して遺伝子の抑制を確立し維持する過程に関与している。この転写抑制状態は、PRC2/EZH2-EEDを介したH3K27のメチル化と、その後にクロマチン凝縮とヘテロクロマチン形成を促進するPRC1(英語版)のリクルートによって確立されると考えられている。ヘテロクロマチンは固くパッキングされたクロマチンであり、DNAへの転写装置のアクセスを制限することで転写を抑制する。 細胞分裂の過程では、ヘテロクロマチンの形成は適切な染色体分離(英語版)のために必要である。PRC2/EED-EZH2複合体はDNAメチルトランスフェラーゼのリクルートにも関与している可能性があり、他のエピジェネティックな転写抑制機構であるDNAメチル化の増加をもたらす。EZH2を介した転写抑制の標的として同定されている具体的な遺伝子としては、HOXA9(英語版)、HOXC8(英語版)、MYT1(英語版)、CDKN2A(英語版)、レチノイン酸標的遺伝子がある。
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転写抑制
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/19 00:16 UTC 版)
この反対のメカニズムは、転写抑制(英語版)と呼ばれる。このメカニズムの古典的な理解は、活性化された糖質コルチコイド受容体が、他の転写因子が結合するのと同じ場所でDNAに結合し、その因子の活性を介して転写される遺伝子の転写を妨げるというものである。これは実際に起こる事ではあるが、その結果はすべての細胞種や条件で一貫している訳ではなく、一般的に受け入れられている一般的な転写抑制のメカニズムは無い。 新しいメカニズムが発見されつつある。転写は抑制されるが、活性化された糖質コルチコイド受容体がDNAと相互作用するのではなく、別の転写因子と直接相互作用して、その転写因子を妨害するか、あるいは他の転写因子の機能を妨害する他のタンパク質と相互作用するというものである。この後者のメカニズムが、活性化された糖質コルチコイド受容体がNF-κBを妨害する最も可能性の高い方法であると思われる。即ち、ヒストン脱アセチル化酵素に働き掛け、プロモーター領域のDNAを脱アセチル化し、NF-κBが結合する必要のあるクロマチン構造を閉じてしまうと考えられる。
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