SN 2011dhに関する研究
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/09 21:37 UTC 版)
「SN 2011dh」の記事における「SN 2011dhに関する研究」の解説
元々の恒星は、視等級が21.8等級の黄色超巨星である。黄色超巨星は恒星の進化の途中にある不安定な状態であり、恒星が重力崩壊を起こして超新星爆発を起こすような最終段階にあると、質量が軽い場合は赤色超巨星、重い場合は青色の小さな恒星のどちらかの状態で爆発すると考えられている。このため、SN 2011dhは、黄色超巨星の伴星か、偶然見かけの位置が同じ無関係な場所での、青色の小さな恒星の超新星爆発を見ているだけという説もあった。しかし、観測された光度曲線を流体力学的計算によってモデル化した結果、青色の小さな恒星よりも、黄色超巨星の方がより理論値と測定値が一致する事がわかった。これは、黄色超巨星が超新星爆発を起こした初めての証拠である。 IIb型超新星となるには、水素で構成された恒星の外層が失われている必要があるが、外層を失うメカニズムには、自身の恒星風によって吹き飛ばされるものと、伴星に剥がされるものの2つがある。前者の場合、恒星の質量が最低でも太陽の25倍の質量を持っている必要があるが、計算されたモデルでは失われた質量を加えても25倍に届かないことがわかった。また、観測当初は太陽の18倍から24倍の質量を持つという説もあった。このため、後者の伴星によって外層が剥ぎ取られたものが最も説明できるものである。計算では、質量が太陽の16倍と10倍の恒星が125日周期で公転していると、黄色超巨星に進化し、外層が剥がされた後に超新星爆発を起こす様子を再現することができた。このモデルでは、IIb型のスペクトル変化も説明できる。また、伴星は高温になって紫外線を大量に放出するタイプの恒星となるため、可視光ではそれほど明るく無く、また黄色超巨星から1秒角以内と離れていないため、これまで伴星が見えないことも説明できる。超新星残骸が飛び散った後に、伴星が青色の領域で見つかる可能性もあり、仮に見つかれば、理論の正しさに対する有力な証拠となる。この超新星残骸は、元々M51が秒速600kmで後退するのに逆らって、地球に向かって秒速1万7600kmで移動しているように見えている。 2013年3月、SN 2011dhをハッブル宇宙望遠鏡が観測し、爆発前より明るさが暗くなっていることが確認された。すなわち、超新星爆発を起こした天体が、確かに黄色超巨星であることが確認された。これにより、黄色超新星が超新星爆発を起こすことが確定した。 2014年9月、カブリ数物連携宇宙研究機構のガストン・フォラテリ特任研究員らは、ハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測により、SN 2011dhが出現した場所に明るい青色の星を発見した。この観測によって予想が裏付けられたことから、黄色超巨星が超新星爆発を起こしたことが確実となった。
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