Praludium und Fuge a-Moll BWV 897とは? わかりやすく解説

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バッハ:前奏曲とフーガ イ短調

英語表記/番号出版情報
バッハ前奏曲とフーガ イ短調Praludium und Fuge a-Moll BWV 897

作品解説

2008年5月 執筆者: 朝山 奈津子

 プレリュードフーガいずれもバッハ作でない。プレリュードバッハ弟子のヨハン・クリストフ・ドレーツェルのもので、『ディヴェルティメント・アルモニコ』(1736-43)の1曲として出版されている。フーガ作曲者はまだ判っていない。基となった資料フランクフルト指揮者19世紀のバッハ・ルネサンスに貢献したシェルブレとその弟子グライヒアウフによる写本。旧全集には「おそらく真作」という見出しの下に収載された。
 確かにバッハ様式思わせるところもある。プレリュードドラマティックな展開は、《半音階的幻想曲》BWV903/1の中間部彷彿とさせる両手担われる走句がたびたび和音上に静止し、また転がり落ちていく。ごく狭い音域にとどまる部分と、一気鍵盤の幅いっぱい広がる部分との対比によって、単旋律ながら擬似的テクスチュア濃淡感じられる仕組みになっている
 フーガ主題テンポ異な2種類動機持ち、掛留の対主題合わせて魅力的な響き生み出される
 比較長い主題提示部の合間に、主題動機用いて短いカデンツ連続する間句がおかれる。ここでは、5度関係、平行調関係、単純な摸続進行などを媒介めまぐるしく調が推移する。もっとも、せいぜいが平行長短調の属調あるいは下属調ていどで、それほど遠隔の調へ跳んでゆくわけではない。やがて、全体3分の2過ぎたあたりで反行主題登場する16分音符による主題後半動機高音域へと追い込まれ旋律的短音階連続するが、この緊迫感長く続かず、すぐに分散和音の走句によって押し流される。第91小節から10小節以上に渡るペダルポイントは、オルガンならば更に効果的に響くと思われるが、ピアノでも充分に演奏可能である。再び反行主題右手現れるが、これは左の低音引きつけられるようにゆるやかに中音域に戻ってくる。終結部分の最後セクション両手ユニゾン主題前半動機繰り返し単純な和音終止する。
 フーガにはこのようにさまざまな工夫凝らされているが、残念ながら100小節越え長大規模を完全に満足させているとは言い難い。特に反行主題のあと、下行の走句が現れてからの30小節は、対位法動機による展開をうちやってしまった真の作者が誰であるにせよやや惜し終結部言わざるを得ないが、前半堂々たる展開は、充分に演奏する価値がある作品いえよう




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