NASAの参加
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/28 05:17 UTC 版)
当初、エクソマーズの概念はオーロラ計画の目玉計画として計画された大型の探査車からなり、2005年12月にESAの閣僚会議で承認された物である。この大型の探査車は、探査車だけでなく、固定式の基地局も併せた計画であった。それらはソユーズロケットを用いて、2011年に打ち上げが計画されていた。 2007年、探査車の車台の設計製作を行うイギリス企業のEADS アストリアムによって、カナダのマクドナルド・デットワイラー・アンド・アソシエイツ(英語版)が100万ユーロ規模の契約企業として選ばれた。アストリウムは最終設計にも同社と契約を締結した。 2009年7月にNASAとESAは火星の探査を共同で開始するという、いわゆる「火星探査共同イニシアティブ」に合意し、この中ではソユーズロケットに代えてアトラスロケットの利用が計画され、技術的な設定・計画の財源を大きく変更した。2009年7月19日時点では、探査車はマーズ・トレース・ガス・オービター(英語版)(TGO)の相乗り機として計画されており、将来の協定はアトラスの打ち上げ能力とNASAの探査衛星に合わせて、エクソマーズの探査機の重量を充分に減らす事が必要とされていた。この時点では、幾つかの宇宙機を、2基のアトラスVで打ち上げる計画であった。探査車のTGOは、この計画に統合され、気象観測用の固定式基地局と相乗りで2016年に打ち上げる予定であった。この中では2台目のローバーとして、MAX-C(英語版)も計画されていた。 2009年8月に、ロシア連邦宇宙局とESAはフォボス・グルントとエクソマーズの2つの火星探査計画での協力を含めた契約に合意した。具体的には、ESAはプロトンロケットを、ロシアの装置を積んだエクソマーズ・ローバー打ち上げ機のバックアップ機として確保した。 2009年12月17日にESAは、NASAとの協力で行う2回の打上げミッションで構成される火星探査計画に最終認可を与え、2016年と2018年の計画に8億5000万ユーロを委託する事を承認した。 2011年4月に、資金的な問題から同行予定であったMAX-Cローバーの開発中止が公表され、計画されていた2台のうち、より大型のエクソマーズ・ローバーだけを2018年に打ち上げると決定された。この計画変更の際に、新しいローバーをヨーロッパで製造し、ヨーロッパとアメリカの観測装置を混載する案が提案された。NASAが火星への輸送のためのロケットを提供し、マーズ・サイエンス・ラボラトリーで採用されたスカイクレーン着陸機構を提供するという案である。しかし再編案が提案されたにもかかわらず、2018年の計画目標時期は変更しないままであった。そして結局、2012年2月13日にバラク・オバマ大統領が公開した2013年度予算の下で、NASAはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の予算超過分に資金を回すため、エクソマーズ計画への参加を打ち切った。同時に、エクソマーズ計画のための準備資金の拠出も全て中止され、計画の大部分の見直しが迫られた。 なお、ESAは2018年に予定されていた打ち上げに関して、NASAが小規模な範囲で計画に戻る可能性までは排除していなかった。
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