MTSATシリーズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/06 04:46 UTC 版)
「ひまわり (気象衛星)」の記事における「MTSATシリーズ」の解説
詳細は「MTSAT」を参照 GMSシリーズの後継機として計画されたのが運輸多目的衛星 (MTSAT) で、予算の都合で航空管制衛星に相乗りする形をとっている。スーパー301条の適用を受けた影響で、「ひまわり5号」の後継となる運輸多目的衛星1号 (MTSAT-1) は米スペースシステムズ/ロラール社からの完成品を購入することになった。 ところが、MTSAT-1を搭載したH-IIロケット8号機が打ち上げに失敗したため、ひまわり5号は設計寿命の5年を超えて観測を続けた。しかし静止軌道を保つための姿勢制御用燃料の残量が少なくなり、2003年5月22日をもって気象衛星としての運用を終了し米国の気象衛星GOES-9 (ゴーズ9号) による代替運用が開始された。気象庁は、このGOES-9の愛称を「パシフィックゴーズ」としたが、「ひまわり」ほど一般に広がるには至らなかった。NHKでは気象情報の中で、気象衛星からの雲画像を「ひまわりからの映像」と説明していたが、ゴーズでの運用中は「気象衛星からの映像」と置き換えていた。 ひまわり5号は、GOES-9による代替気象観測業務中、地上で処理された気象データを利用者に中継配信する業務を行うため、後継機の「ひまわり6号」稼動までそのままの位置 (東経140度) にとどまる必要があった。一方のGOES-9は、アラスカ州フェアバンクスにある衛星通信所を使用する関係から、日本から見て東寄りの東経155度に置かれた。これは衛星追尾視野限界に近いが、気象庁では「観測には大きな支障はない」とした。 MTSAT-1の代替機運輸多目的衛星新1号 (MTSAT-1R) は2005年2月26日にH-IIAロケット7号機により打ち上げられ、3月8日には無事に静止軌道に乗った。国土交通省は、広く親しまれている「ひまわり5号」の後継と位置づけ、愛称を「ひまわり6号」と命名した。同機は映像送信テストなどを行ったのち、2005年6月28日の正午から気象衛星としての運用をGOES-9から引き継ぎ、また2006年7月6日から航空管制の通信業務の運用を開始した。気象衛星としては2010年7月1日まで運用され、以降はひまわり7号のバックアップとしての待機運用、そして画像データの中継配信業務を行っている。 再び国産衛星となった運輸多目的衛星新2号 (MTSAT-2) は2006年2月21日にH-IIAロケット9号機により打ち上げられ、2月24日に静止軌道に乗ったことが確認され、「ひまわり7号」と命名された。2006年9月4日には静止軌道上で気象衛星としての待機運用が開始され、ひまわり6号のバックアップ態勢が整った。2007年9月には航空機の航法情報の提供を開始した。2010年7月1日の正午より、気象衛星としての運用をひまわり6号から引き継ぎ、気象観測を開始した。後継機のひまわり8号の運用が2015年7月7日の午前11時より開始されたため、以降は待機運用となっている。
※この「MTSATシリーズ」の解説は、「ひまわり (気象衛星)」の解説の一部です。
「MTSATシリーズ」を含む「ひまわり (気象衛星)」の記事については、「ひまわり (気象衛星)」の概要を参照ください。
- MTSATシリーズのページへのリンク