K-ATS
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 13:35 UTC 版)
2015年12月より京阪電気鉄道京阪本線の深草駅(現在の龍谷大前深草駅) - 出町柳駅間で使用開始された多情報連続式ATSである。現在は大津線を除く全線に拡大されている。 車上データベースを使用している。上記2者と同様のATS表示器が運転台に設置されてはいるが、その表示内容は上記2者とは異なるものとなっている。 地上装置から列車に伝送された信号現示や転轍機の開通方向などの情報と、車上装置に記憶された信号機位置・勾配などの情報に基づいて、列車が走行している位置での上限速度を算出し、列車速度との常時速度照査を行う。信号現示や曲線などの情報に基づく速度制限に加えて踏切やホームでの異常にも対応する機能を備えている。地上子による位置補正および信号機直下や終端部の絶対停止地上子により非常制動を作動させる機能もある。 ATS表示器は、上段に「7連」などのように列車の編成両数が表示される。中段にはパターン発生時の「P」や、パターンに接近した際や曲線区間などでの制限速度を超えて進入した場合、または一部条件下において前方が停止信号だった場合に「NB」が、自動で非常ブレーキがかかった際には「EB」と表示される。下段には「停車」・「通過」や、一部条件下で制限速度などが表示される。また、旧型の点制御ATS区間では下段に「点制御」と表示される。パターンに最接近した際などになる音はC-ATSのチンと鳴るベルに対し、K-ATSではピコンと鳴るチャイム(C-ATSとは異なり、パターン区間終了までチャイムは継続される)であり、また停車を促す目的でブッ・ブッと鳴るブザーも用意されている。その他、「NB」「EB」の表示が出た際、ビーボービーボービーボーと鳴る音も存在する。 曲線区間などに列車が制限速度を超えた状態で近づくと、「ピコン」とチャイムが鳴動し、ATS表示機には中段にパターン発生時の「P」が表示される。運転士はここで手動でブレーキを掛ける。制限速度の+5 km/hでチャイムは鳴りやみ、ATS表示機のパターン発生時の「P」は消灯する。 カーブの制限速度を超えた状態でそのカーブに入ると、自動で制限速度まで常用最大ブレーキで減速し、ATS表示機には中段には「NB」表示とともに下段には制限速度が表示される。 列車が停車する駅に近づくと、駅によっては停車を促す目的でブッ・ブッとなるブザーが鳴動する。ホームに入るとほとんどの駅では30 km/hの速度照査を行い、その後停止位置付近ではATS表示機の下段に「8」と表示される。これは10 km/hの速度照査で、停止位置付近では10 km/h以上の速度が出せない。この速度照査は出発時刻または出発信号が進行現示になった場合に解除される。 ただし、出発信号機が停止位置から近いところにあったり、ホームの先端から近いところに踏切がある場合など、駅によっては30 km/hまたは25 km/h、15 km/hの速度照査を行う(当該駅では駅手前に「補30」「補25」の標識がある)。両数によっては停止位置の手前に「8K」の標識がある場合があり、ここで10 km/hの速度照査が行われる。 K-ATSのKは自社の会社名の頭文字である「KEIHAN」の「K」から採られている。また、システムは京三製作所製のものを採用している。 なお、2021年から、最後まで残っていた点制御区間(土居駅守口市側から西側=京橋方面)がK-ATS化され、また同年度中には残る車庫内の線路もK-ATS化したことで、京阪線から点制御ATSは消滅した。
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