ヘラー
今日、ヘラーは概して中級者向けの練習曲作曲家とみなされている。1840年代に出版された一連の練習曲作品45、46、47は学習の過程で時折用いられる教材として有名である。今日我が国でも《旋律的練習曲》作品45(全音出版社)が出版されている。近年では《前奏曲集》作品81、150、《孤独者の散歩》作品78、《ベートーヴェンの主題による33の変奏曲》作品130など、彼の主要作品を録音するピアニストも増えてきてはいるものの、日本では相変わらず馴染みのない作曲家としての地位にとどまっている。
しかし、19世紀中葉から彼が亡くなるまで、ヨーロッパ音楽界におけるヘラーの存在は想像される以上に際立っていた。当時、数多の主要な音楽家・批評家たちは、ヘラーへの賛辞を惜しまなかった。シューマン、ベルリオーズをはじめケルン音楽院の院長でライン音楽祭の元締めF.ヒラー、パリ音楽院ピアノ科教授マルモンテルやル・クペといった音楽家たち、さらにはベルギーの音楽学者兼作曲家フェティス、ヴィーンの美学者ハンスリックのような著述家までもが、口をそろえてヘラーを称賛した。
ハンガリー生まれのフランスのピアニスト・作曲家(ハンガリーでの名はヘレル・イシュトヴァーン、フランスではステファン・エレ)。
ブダペストで音楽の手ほどきを受けた後、ツェルニーに学ぶためウィーンに向かうが、高額な授業料を支払うことができず、代わりにアントン・ハルムの弟子となる。ハルムを通して、ヘラーはシューベルトやベートーヴェンに出会った。
出版されたピアノ曲は160曲以上に上り、op.45, op.46, op.47(1844)などのすぐれた練習曲は今も多くのピアニストに親しまれている。
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